ブレグジットという言葉がある。Brexit、Britain+exitである。
2016年、国民投票では僅差で英国はEU離脱となった。
この背景と、その後をリポートした作品。
また、トランプ現象とEU離脱は、同じポピュリズムの流れで論じられたが、それってどうなの?
Bregret=ブレグジット+Regret(後悔)というけど、彼らは離脱を後悔してるの?
気になる案件を分かりやすく解説。
P23
英国のブレグジットが、「労働者たちの反乱」といわれるほど、労働者階級の人々に支持されたのに対し、米国のトランプ大統領は、じつは貧しい層には支持されなかったことが明らかになっているのだ。
P28
彼ら(英国労働者階級)はトランプを支持した米国の人々とは異なり、政治の経験も乏しいのに奇抜な政策を唱えるような人物を国のトップにするようなリスク・テイカーではないのだ。
P59
『ワイフ・スアップ』は、2004年から2013年までのあいだ、チャンネル4で放送された人気シリーズで、実在するリアルな2つの家庭の母親を入れ替えて、1週間生活させてみるというリアリティー番組である。(中略)
それが4年ぶりに、単発特別番組として『ブレグジット・スペシャル』を放送したのだ。(これは興味深い。日本でもテーマを変えてやってみてはどう?モニタリングやドッキリなんかより、よっぽど面白いんじゃない?)
P172
第一次大戦が始まると、中流・上流の家庭から、召使いたちがいなくなった。若い女性たちが軍需工場に集められたからだ。
P173
戦時中に軍需工業で働いた女性たちは、戦争が終わっても召使いの仕事に戻りたがらなかった。工場で働く女性たちは、メイドを自分たちよりも劣る存在と見なしていたし、第一次世界大戦は、若い労働者階級の女性たちにとって、階級社会の不平等を切実に考える機会となったのだった。(ちなみに「エマ」は19世紀末が舞台。メイドになるかガヴァネスになるか…選択は少ない→「奇跡的めぐりあわせ」 http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-d027.html#more)
EU離脱の原因は何?
P273
日本の多くの人々は、「欧州の危険な右傾化」と「ポピュリズムの台頭」が原因であるというところで止まってしまい、「緊縮が理由などと書くのは、右傾化した労働者階級を擁護することになり、レイシスト的だ」と苦情のメールが来た。
P186
1928年の第5回選挙法改正で、ついに21歳以上のすべての女性に選挙権が与えられたのである。(1918年の改正では、30歳以上の納税している女性にしか選挙権が与えられなかった)。(選挙権はともかく、被選挙権って私のような者でも立候補できる…通らないけど。これってどうなの?って思う。日本国憲法を理解し、法律、歴史、経済…それなりの知識は、政治家に必要と思う。共通一次じゃないけど、試験をして、その点数を選挙ポスターに記載するくらいの措置をしてもいいんじゃない?)
【蛇足】
英国には愛憎相半ばするものがある。
好きかと聞かれて、素直になれない。
英文学、ブリティッシュロックは、好きなので影響を受けた。
けれど、世界史を見ると、どうだろう?
中東、アフリカ、アジアで彼らがしたことは。
植民地の宗主国として彼らはどうだったのか。
イギリス人がいなかったら、もう少し平和だったのでは?と思ってしまう。
でも、これを極めていくと、地球にとって人類ってどうなの?って話になるのでキリが無い。
人類は悪性腫瘍なので、地球が免疫として戦争を起こして人類を減らしている、と。
…などという、うがった、こざかしい事は考えないようにしている。(今日は独白が多くなってしまった。妄言多謝 )
【ネット上の紹介】
英国在住、「地べたからのリポート」を得意とするライター兼保育士が、労働者階級の歴史と現状を生の声を交えながら伝える
第1部 地べたから見たブレグジットの「その後」(ブレグジットとトランプ現象は本当に似ていたのか
いま人々は、国民投票の結果を後悔しているのか
労働者たちが離脱を選んだ動機と労働党の復活はつながっている ほか)
第2部 労働者階級とはどんな人たちなのか(40年後の『ハマータウンの野郎ども』
「ニュー・マイノリティ」の背景と政治意識)
第3部 英国労働者階級の100年―歴史の中に現在が見える(叛逆のはじまり(1910年‐1939年)
1945年のスピリット(1939年‐1951年)
ワーキングクラス・ヒーローの時代(1951年‐1969年) ほか)