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「ダブルマリッジ」橘玲

2017年05月18日 20時17分34秒 | 読書(小説/日本)


「ダブルマリッジ」橘玲

商社勤務の桂木憲一。
かつて、フィリピン駐在の際、現地女性と教会で式を挙げた。
その後帰国して、上司の紹介で、日本人女性と結婚、娘も生まれて年月が流れる。
ある日、パスポート取得のために戸籍謄本をとると、現在の妻と並んで「ロペス・マリア」と記載されている。

これを契機に妻は弁護士に依頼、家庭は崩壊していく。
桂木とその娘・マリは、それぞれ別に、調査を始め、現地にも赴く。
後半は、フィリピンが舞台となり、いよいよ面白くなってくる。
著者は脱税に絡んだ作品が中心であったが、新境地である。
このような作品も書かれるのか、と驚いた。
今後も期待したい。

JFC=Japanese Filipino Children新日系フィリピン人
P118
「新日系人?」
「ええ。第二次世界大戦の終戦でフィリピンに住んでいた日本人のほとんどが本土に引き揚げましたが、彼らと現地の女性のあいだに生まれてフィリピンに置き去りにされた子どもたちが日系フィリピン人、1980年代以降、フィリピン女性が興行ビザで日本にやってくるようになって、彼女たちと日本人のあいだに生まれ、フィリピンで育てられた子どもたちが新日系フィリピン人なんだそうです」

【参考リンク】
「ダブルマリッジ」フォトツアー(フィリピンに行った気分になれるかも)
http://doublemarriage-tour.tumblr.com/

【おまけ】
私の使っているATOKでは、JFCと入力するだけでJapanese Filipino Childrenと変換した…社会問題として認知され定着しているということだ。

【ネット上の紹介】
大手商社五井商事の部長、桂木憲一がパスポートの申請のために戸籍騰本をとると、婚姻欄に、妻の名前と並んで、「ロペス・マリア」なるフィリピン人女性の名前が入っていた。いったいどういうことなのか。戸籍が乗っ取られたのか?そもそも、日本では重婚は認められていないはずではないか?市役所市民課の山下という課長補佐に問い合わせると、「刑法には重婚罪がありますが、民法では『配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない』として、当事者がその取消しを請求できると定めているだけですから、請求がなければそのままです」との驚くべき返事が返ってきたのだった―。

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