「あなたの悩みにおこたえしましょう」信田さよ子
2017年、本書の単行本版を図書館で借りて読んだ。
とても良かったので、買おうかな、と思ったら絶版で入手不可能。
文庫本になったら買おうと狙っていたが、いっこうにその気配無し。
それもそのはず、文庫化した際に、タイトルを変えていたから。
「家族の悩みにおこたえしましょう」→「あなたの悩みにおこたえしましょう」
もうちょっとで、文庫も絶版になって入手不可能になるところだった。
なんとか、紀伊國屋で「在庫僅少」となってる本書を見つけて購入した。
「悩みの相談」に関する書籍は多いが、本書がベスト。
P22
離婚は弱者である女性にとって最終的な切り札です。それを早く出し過ぎると、かえって足元を見られ条件的に不利になりかねません。
P29
復讐は狂乱と紙一重の行為であり、精神的ダメージも大きくなります。奥様は自分が崩壊することを覚悟しているのかもしれません。
P66
母親が娘がかわいくないと感じる理由は三つあります。子どもから拒否されていると感じるとき、もう一つは嫌悪する自分の一部を体現していると感じるとき、さらに子どもに嫉妬しているときです。
P125
夫婦の不一致は、お互いの様子をうかがい、相手の弱点を突いてやろうという力関係を生み出します。それを察知した子どもは対立から身を守るために緊張と状況察知の感度を高めます。
P160
小指が痛む人と大腿骨が痛む人を比較してはならないと思うのです。不幸は序列化できないのです。
P164
娘の人生に嬉々として介入して寄生している母親は、自分の人生の不良債権のツケを娘を使ってゼロにしようとしているのだと思います。
P216
虐待を母=女性の問題に矮小化し、さらに世代間連鎖という因果論で説明することで隠蔽されたものは何だったのでしょう。
P239-240
娘を、妻を、そして家族のことをいったい夫はどのようにとらえているのだろう、と。
残念ながらそんな詮索はほとんど意味がありません。おそらく夫は「何も考えていない」のです。
P251
私たちに与えられた想像力こそが、体験したことのない苦しみに思いを馳せることを可能にします。
もっとはっきり申し上げると、他者の苦しみを「わかる」ことなど私たちにはできないのです。
【参考リンク】
「家族の悩みにおこたえしましょう」信田さよ子
【ネット上の紹介】
現場で日々格闘するカウンセラーの著者は、相談者の数限りない不安や悩みに向き合ってきた。 結婚への不安、DV被害、共依存、子育ての悩み、老後の不安、依存症……。 これらさまざまな人生の悩みを、具体的にどうすれば解決できるのか? 50年近く臨床に携わってきたベテランカウンセラーが、Q&A方式で的確に処方箋を提示する。普段のカウンセリングでは表現しきれない、著者の考えを充分に知ることができる貴重な一冊。解説は酒井順子氏。
64歳の夫との将来の生活に不安をおぼえます モトコ、60歳
妻が不安定で困っています マサオ、55歳
親になるのが怖いのです ミチコ、38歳
妻より姉の面倒をみたいのです タケシ、58歳
二人の子どもが結婚しません ユミコ、68歳
どうして私は腹が立たないのでしょう? ユカ、40歳
娘から毎日のように責められます チエコ、51歳
浮気する妻に対して怒れません ユウジ、39歳
長女がかわいく感じられません アユミ、41歳
別居して戻ってきた娘が私を責めます クミコ、65歳〔ほか〕