「子育てはもう卒業します」垣谷美雨
3人の女性を対比しながら、それぞれの成長を描いている。
大学生の時に彼女たちは出会う。
その後、就職、結婚、出産、さらに、子どもの受験と就職。
それぞれのポイントで悩みながら、生きていく。
これでいいのだろうか、これで良かったのか。
いかに子離れし、子どもは親離れするのか。
垣谷美雨作品の中でも、上位の面白さ、と思う。
1981年、就職
P85
就職課の壁の前で、私は呆然と立ち尽くていた。
自宅通勤に限る?
それ、どういうこと?
(中略)
いったい、なんなの。
田舎から出てきた女子はどうすりゃいいの?
田舎モンを馬鹿にしているの?
P147
「人間っていうのは、誰しも話せばわかるものよ」
「もちろん、それはわかっている」
なんと単純なヤツ。
話せばわかるなんて、本気で信じているのか、我が夫よ。
あんな常識外れの両親や義姉たちとうまくやっていける嫁なんて、この世の中にいないよ。
P182
どんな集まりでも派閥ができて序列ができる。女ばかりの気楽な飲み会やカラオケに魅力を感じないではなかったが、新たなストレスの種になる予感がした。それに、そういうグループはいったん入ると抜けるのが困難だ。
【ネット上の紹介】
「いくつになっても心配だけど、遠くから見守るしかないよね」 母親業に終わりはない。だけど、“子供のために生きる私”のままでいいの? 注目作家が、親離れ・子離れを等身大で描く書下ろし長編小説 教育費を捻出するため夫の両親と同居するお受験ママの「淳子(Junko)」 娘には一生続けられる仕事に就(つ)いてと願う専業主婦の「明美(Akemi)」 親の猛反対を押し切り結婚したことを後悔するお嬢様育ちの「紫(Yukari)」 就職、結婚、出産、子育て、嫁姑、実家との確執、職場復帰…… 故郷を離れた18歳から40年、3人は悩みを語り合ってきた。時には口に出せない痛みを抱えながら───