【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「子育てはもう卒業します」垣谷美雨

2016年11月06日 08時37分08秒 | 読書(小説/日本)


「子育てはもう卒業します」垣谷美雨

3人の女性を対比しながら、それぞれの成長を描いている。
大学生の時に彼女たちは出会う。
その後、就職、結婚、出産、さらに、子どもの受験と就職。
それぞれのポイントで悩みながら、生きていく。
これでいいのだろうか、これで良かったのか。
いかに子離れし、子どもは親離れするのか。
垣谷美雨作品の中でも、上位の面白さ、と思う。

1981年、就職
P85
就職課の壁の前で、私は呆然と立ち尽くていた。
自宅通勤に限る?
それ、どういうこと?
(中略)
いったい、なんなの。
田舎から出てきた女子はどうすりゃいいの?
田舎モンを馬鹿にしているの?

P147
「人間っていうのは、誰しも話せばわかるものよ」
「もちろん、それはわかっている」
 なんと単純なヤツ。
 話せばわかるなんて、本気で信じているのか、我が夫よ。
 あんな常識外れの両親や義姉たちとうまくやっていける嫁なんて、この世の中にいないよ。

P182
 どんな集まりでも派閥ができて序列ができる。女ばかりの気楽な飲み会やカラオケに魅力を感じないではなかったが、新たなストレスの種になる予感がした。それに、そういうグループはいったん入ると抜けるのが困難だ。

【ネット上の紹介】
「いくつになっても心配だけど、遠くから見守るしかないよね」 母親業に終わりはない。だけど、“子供のために生きる私”のままでいいの? 注目作家が、親離れ・子離れを等身大で描く書下ろし長編小説 教育費を捻出するため夫の両親と同居するお受験ママの「淳子(Junko)」 娘には一生続けられる仕事に就(つ)いてと願う専業主婦の「明美(Akemi)」 親の猛反対を押し切り結婚したことを後悔するお嬢様育ちの「紫(Yukari)」 就職、結婚、出産、子育て、嫁姑、実家との確執、職場復帰…… 故郷を離れた18歳から40年、3人は悩みを語り合ってきた。時には口に出せない痛みを抱えながら─── 


「オーバー・ザ・エッジ 」グレッグ・チャイルド

2016年11月05日 21時25分28秒 | 読書(山関係)

竹書房文庫<br> オーバー・ザ・エッジ
「オーバー・ザ・エッジ 」グレッグ・チャイルド

キルギスにビッグウォールがある。
2000年、トミー・コールドウェルたち米クライマー4人が登りに行く。
ところが、イスラム過激派に誘拐され、山岳地帯を引き回される。
彼らは、いかに脱出したのか。

P37
世界中に山はたくさんあるが、氷河時代の氷河によって花崗岩の岩盤が削り取られてできたビッグ・ウォールのある場所はきわめて少ない。すなわち、ヨセミテ、バフィン島、グリーンランド、パキスタンのトランゴ・タワー、フレンチ・アルプスのシャモニー、そして1980年代後半に加わったカラフシンといったところだけだ。16キロにおよぶ二つの渓谷――カラス渓谷とアクス渓谷――ロシアのトップ・クライマーを養成する地となり、その後、クライミング交流を通じて同地を訪れた外国人クライマーたちにとっても技術を磨く場所となった。

P38
90年代半ばは、ロシアのクライマーに出会うことがまだ珍しく、私たちは盛んに装備を交換し合った。ロシア人は、丈夫で軽量なチタン製ハーケンやアイス・スクリューを出してきた。音が静かなことで有名なロシア潜水艦を製造する工場で、管理者の目を盗んで作られたものだった。

P211
コールドウェルは、空になったコンタクトレンズ用液の瓶を取り出し、片手で泉の水をすくって、瓶に詰めた。彼は三日間、コンタクトレンズをつけたままにしており、いまやレンズがたんぱく質でおおわれて、視界がかすんでいる。

P270
“ダノ”ことオズマンは、1998年、ヨセミテでロープを使った難しいクライミングの最中、ロープが切れて300メートル落下し、死亡した。(これは書き方がおかしい。あたかも、登っていて落ちたかのような印象を受ける。彼は「フリーフォール」でロープが切れて亡くなった…有名な事実である。訳者が事情を知らず、このような書き方をしたのだろうか、それとも、著者が書いたとしたら、本作品自体の質が問われることになる)


【ネット上の紹介】
1999年キルギスで、国際協力事業団から派遣された日本人4人が、イスラム過激派ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)によって誘拐される事件がおきた。そして翌2000年、同じくキルギスでIMUにより4人のアメリカ人クライマーが誘拐された。ゲリラたちに引き回され、険しい山の中を迷走し、キルギス軍との戦闘にまきこまれる4人。生と死の間の極限の状況で、彼らはある行動を選択した…。中央アジアの混迷した現状を伝える衝撃のノンフィクション・ドキュメント。
[目次]
ファースト・コンタクト
旅行者への勧告
あなたがたはトビリシに行っていない!
カラフシン渓谷を下る
紛失した荷物
災難の前兆
ジュマ・ナマンガニとウズベキスタン・イスラム運動
バトケンにおける最初の紛争
イエロー・ウォールを登る
虐殺〔ほか〕


「坂の途中の家」角田光代

2016年11月04日 21時55分28秒 | 読書(小説/日本)


「坂の途中の家」角田光代

里沙子は刑事事件の裁判員の通知を受ける。
事件の内容は、幼児虐待で、母親による子殺し。
裁判の進行とともに、彼女は被告の母親の心に寄り添って考えてしまう。
里沙子も、まもなく3歳になる女の子の母親だから。
わが子を殺した母親は、自分だったかもしれない。
そんな思いが、裁判の進行と共に増幅していく。
子供への苛立ち、子育ての悩み。
その中で、夫や義母と折り合いが悪くなっていく。
感情のすれ違いの描き方が絶妙に巧い。

P350
なんであんなことを言ったのだろうと、里沙子は後悔する。六実の夫のように、心配してほしかったのだとこの段になって気づく。心理的に多大な負担を引き受けている、私もそのように社会に参加していると、分かってほしかっただけだ。言ってほしい言葉があるとするなら、本当にたいへんだよな、その程度のことだ。なのに、いつもおかしな方向に話が着地する。それとも、私が何か求めすぎているのだろうか。求めながら、言葉にすることもしないで、わかってくれと要求しているだけなのか。

P418
閉廷が告げられる。里沙子は自分が泣いていることに気づいてあわててハンカチを取り出す。白いワンピースの女が目の前を通り過ぎていく。たった十日間かかわった、私でない女。いや、違う、もうひとりの私。自分で自分の人生をコントロールし損なった私。母親として生き抜くことができなかった私。

テーマがテーマだけに、読んでいて楽しくない。
しかし、気になる内容なので読んだ。
それにしても、角田光代さんて、これほど筆力があったのか、と驚いた。
昔、読んだときは、さほど感情表現が巧くなかったように思う。
心理描写に深みが出た。
未読の作品で気になるものを読んでみようと思う。 
(この作品を図書館で借りるのに、だいぶ順番待ちをした。世間で評判になっていて人気なんでしょうね)

【ネット上の紹介】
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。 


ポンポン山▲678.9m

2016年11月03日 21時22分51秒 | 登山&アウトドア(関西)

ポンポン山に登ってきた。
家の近くに山があるのは、ありがたいことだ。

ここが山頂

神峰山寺

登山口の景色

帰宅するとバッタがいた…今年は虫が多い

垂壁をものともしない身体能力が素晴らしい