(いつ以来か@母校)
年も四十に近くなれば、同世代と会って話す話題の中に「戻れるならどの時代に戻りたい?」と言うネタはあると思うのだが、こと自分に置き換えてみるとそれは圧倒的に大学生の頃に戻ってみたいなあと思う訳です。まあニッポンの大学、特に文系の大学なんぞ入ってしまえばこっちのもんで、御多分に漏れず「そんな大学」に入ったアタクシは有り余る時間を怠惰に自由にむさぼり、やりたい事をやりたいようにやり、したくない事はせず、夢のような4年間を過ごさせていただきました。アタマは大して良くはならなかったけど、社会に出る前のこの4年のモラトリアムと言うのは人間形成に必要なものだったと思いますね。ってな事でいつ以来か忘れてしまったけど、久しぶりに母校の空気を吸いに来てみた青空の栴檀林。
ちなみにもう卒業して20年に近いくらいの年月が流れているんだけど、母校の雰囲気は「基本的に何一つ変わってねえなあ」と言うのがまず第一の感想(笑)。元々狭いキャンパスで変えようがないのかもしれないけど、恐ろしいほどに目に映る基本的な風景に変化がない。たぶんこの坂道を左に下ってって建物の中に入ると右側にコピー機が置いてあるはずだ。確認しなかったけど間違いないだろうと思わせるほど何も変わっておらず、正直笑えてくる。
この辺りの風景になって来ると、ここを見ているあらかたの連中には説明無用と思われる。ただ見て感じていただけるだけで十分。建物の外壁の塗装や無造作に置かれた出店の長イスを見て思わずいい意味でため息が出た。学費の安い大学だったのが母校のいいところだったけど、基本的には施設改善をするほどカネがないのかもしれないw
そんな麗しくも甘美な遠き日の思い出の中に、このお店がありました。名前を「TEA ROOM パオ」と言います。つーか「TEA ROOM」だった事を今知ったのだが(笑)。誰も中でお茶飲んでるのなんか見た事ねーよ。スパゲティと軽食(サンドイッチとか)をテイクアウトで販売する店なんだが、この学校に通った者なら知らぬ人はいない、知らなかったらモグリ確定レベルのお店。ガッコに来たら、仲間とダベるも麻雀するのも授業に行くのも4限かったりいから家帰るのも、「とりあえずパオでなんか食ってから」と言うレベルの、もはや息をするのに等しいほどにキャンパスライフに染み込んだ店でもありましたが…情報を聞いてビックリしたんだが、今年の2月で店を閉める事になったらしい。「パオ、2月で店閉めるってよ」ってのも何だか「桐島、部活やめるってよ」みたいだが、とにかくネタとしては衝撃でしてねえ。何だか心にぽっかり穴が開いたようで、とりあえず一方的にこの店に感じていたいくばくかの恩は返さねば、と言う意味不明な使命感が湧き上がってきてしまいまして本日馳せ参じたと。そう言う次第なのですよ。
出走表。じゃなかったメニュー表。えーと、ところどころ切ったり貼ったりはありますが、コレ、我々がいた時から使ってるのと同じものですよね?(笑)。ドリンクもスパゲッティも基本線は不変のラインナップにまずは感動。王道のミート&コンソメは不変、新商品で目立つのは明太スパ&肉スパ?冷やしコンソメの上に紙が貼られて冷やし中華スパになったのは改変か。焼きモノの中の「パオ×ぱおピザトースト」が気になる。つーかチャーシューカレーってなくなったんですかね。結構な人気メニューだったと思ったんだが。個人的にはチャーシューカレー大盛りはブルジョワ階級の食い物で、山菜頼むヤツは変わり者で、ポパイとか食うのはひねくれ者だと思ってました(笑)。あ、たぶん今日のこのエントリーはここに来て常連で食ってたヤツじゃないと全く面白くないと思うのだけど、逆に言えばこのメニュー表だけで2時間はいい酒が呑める人間も相当数いる事を知ってもいるので続けますwちなみにアタクシはポパイ結構好きでした。ええ、ひねくれ者ですとも。
何を頼むか…そりゃあ食えれば4~5種類食ってみたかったけど、そうもいかないとなればこれで決まりの「ミート大盛り」。330円が今日はパオデイで50円引き!合わせて大好きだったレモンジュース(100円)をオーダーしたんだけど、「冬場でアイスはあんま出ないから今日あるのはバナナジュースだけなんですよ!ごめんね!」と言われて非常に悲しかったwそーいやあの容器の中が噴水みたいになってるレモンジュースの機械がなかったなあ。ともあれパオのミート、通算実食回数はもはや何回かも定かではないあの4年間の主食。ビジュアル合格。全く変わってねえ。ちなみにミートはパックで提供されるので、フタにくっつかないように粉チーズを目いっぱい振って緩衝材にするのも当然のお約束。そう言えば個人名を出して申し訳ないのですが、その当時久地にお住まいになられていた某先輩は、毎回毎回フタにくっついたミートを実に丁寧に時間をかけてハシでこそげ取って、麺の上に戻してから食べるのが凄く印象に残ってるんですよね。物事に対する組み手がマニアックで細かい熱量のある性格が出ているなあと思っていたものです(笑)。
茹でてからくっつかないように油を混ぜた麺に絡まる実に粘り気のあるミートソース。アルデンテとか言うジャンルの食い物ではないので、コシとか何とか言うのは野暮。ともかくまずはかき回してミートを全体に行き渡らせて、口に入れた瞬間からDNAに植え付けられた味が蘇ると言うか、間違いなく味もあの頃のまま。テンプレ化されたレシピで作られているんだろうけど、ブレてなさ過ぎて涙出そうだ(笑)。うーん、もう左官屋に渡したらキレイにカベ塗ってくれんじゃねえかと思わずにいられない粘り気のあるミートソースが、このモサモサ麺に絡まるベッタリコッテリ感で口の中を一杯にして思う。美味いかまずいかじゃなくて、もうこれは思い出の味100%。
みんなでパオデイ。つーか、家族全員で神奈川の片田舎から田園都市線に乗って行くなよって感じもするんですが(笑)、子供にオヤジが食ってきたものを伝えてやるのも文化の継承と勝手に解釈する。まああの頃にここにヨメさんと2人の子供を連れて来る事になろうとはゆめゆめ思わなんだなあと気持ちの中で自分を俯瞰してみたのだが、周囲を見るとおそらく同じような感じの親子連れがチラホラ。こんな事やってんの自分だけかと思ったんだけど、いかにこの店が愛されてたかを改めて知ったよ。
ミート一発でキレイに締めるのも良かったんだけど、折角なんで新商品の明太スパなんぞを。初めて食べたので比較のしようがないんだけど、まあミートのほうがいいような気がした(笑)。それだけパオのミートが完成されてるって事なんでしょうけど、明太スパも売り切れる日があるみたいですから、今の学生連中にはスタンダードなメニューとして定着しているんでしょうな。
お断りをしてパオ店内全景。なんか昔と比べて広くないか?って思ったんだが、そういや昔は店内にテーブルとイスがあった記憶がある。今は取っ払われてるのね。そして書かなかったんだけど、攻めの吉田が健在だった…(涙)。涙すんなよって言われてもこれはビックリしたよ。俺が知ってる攻めの吉田から何だか立川志の輔みたいになってたけど、あれは間違いなく攻めの吉田。すっかり白髪になっちゃってたけど、ミートの食券出して待ってたら奥から出て来たんだよ攻めの吉田。おもむろにスパゲッティの入ってる鍋にハシ突っ込んで、パックに盛る時にもバシッと一発で量をピッタリ合わせるあのハシ捌きは間違いなく攻めの吉田。この画像を見ればわかる人はわかるでしょ、健在でしたよ攻めの吉田。
何度でも言おう、攻めの吉田、健在。
そしてありがとうパオ。ごちそうさまでした。
そしてありがとうパオ。ごちそうさまでした。
聞けば営業は40年を超えるそう。
40年間もカネのない学生の腹を満たしていただき、感謝しかございません。
あと、パンの耳勝手に取って食ってすいませんでしたw
40年間もカネのない学生の腹を満たしていただき、感謝しかございません。
あと、パンの耳勝手に取って食ってすいませんでしたw
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