青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

サラバ、富士の嶺の申し子

2014年11月30日 07時00分36秒 | JR

(引退興行@JR東海371系)

2012年の3月に「特急あさぎり」の定期運用から外れて以降は、季節臨などでJR東海管内を走っていたJR東海371系が今月をもって運行終了との由。その引退に際し、かつての主戦場としてゆかりのある御殿場線の80周年を記念し、「御殿場線80周年記念号」として浜松~沼津~松田を往復する急行列車が11月の後半の土休日に設定されました。かつては小田急線内を走り、1日2回は新宿まで顔を出していた事でも馴染みの深い車両。定期引退時にもそれなりに撮ったつもりではいましたが、引退ともなればまた違った感慨があるもの。戦闘機のコクピットを思わせる紡錘形の前面ガラス、今回のために作られた方向幕には富士山と紅葉、そして御殿場線と言えば足柄山であり、足柄山と言えば金太郎ですね。


371系のラストラン行路、往路は浜松7:38→松田10:39、復路が松田17:06→浜松20:07とたっぷり3時間の行程でしたが、2年前までは定期で静岡(出区)→沼津→新宿→沼津→新宿→沼津→静岡→浜松→静岡(入区)と言うモーレツ運用をほぼ毎日こなしていた編成にしてみれば大した話ではないのかもしれません。そんだけのロングランなら撮る場所も色々あるんじゃないかなとは思うのですが、まあこの日は家の近所からでも富士山とか見えてないしムリするこたあないと言う事で慣れ親しんだ松田駅近くの桜観音ストレートへ。ちょっとリレーボックスが邪魔になってしまう撮影地ですが、ラストランを控えてピカピカに磨き上げられた371系が定刻よりやや遅れて通過して行きました。

  

松田駅では到着後に御殿場線のあさぎり号用のホームを使っての長時間留置があり、撮影してからでも駅にて十分にその姿を拝むことが出来ました。1編成しかないこの371系は「X1」と言う編成番号を貰っているんですが、写真を撮るとこの編成番号が誇らしげにフロントマスクに浮かぶのが個人的にはとてもカッコよかった。松田と言う比較的首都圏から行きやすい場所でもあり、多くのマニアが371系の最後を見届けようと集まっていましたね。

  

371系の特徴である2階建てサロ。1枚ガラスが3連続で1・2階を繋ぐと言う大胆なデザインでしたが、ついぞ乗る事は叶いませんでした。そのカラーリングからしても同じく2階建て車両を組み込んだ新幹線100系とよく比較されましたが、この371系が貰った編成番号が「X1」なのも、新幹線100系の編成番号が同様に「X1」から付けられていた事を大いに意識しての事だと思われます。松田駅の1番線に停車するその姿は、「特急あさぎりのりば 新宿・御殿場方面」と言う案内板とともに定期運用当時の姿を思い起こさせてくれますな。


本来であれば、定期時代は松田駅1番に入った後は小田急との連絡線をゆっくりと通過し、新宿に向けて四十八瀬の渓谷を縫うように走って行くはずの371系。今回は、夕方までの留置を松田駅の先の上大井駅で行う運用らしく、回送が定期では走らなかったルートに入ります。松田駅の先の川音川橋梁は広い河原に障害物の少ないデッキガーターと言う「ここしかないでしょ」と言うロケーション。カブリツキには既に50人近くのヲタがひしめいていましたが、子供と一緒なのでややカメラの構え座は離れた位置で控えめに。少し空気のヌケは悪かったものの、色付く松田山と土手の桜もみじを従えてゆっくりと371系が川音川を渡って行きます。

  

   

わりかし御殿場線ってのは近くにあった事もあって、この371系は結構な回数のカットを撮っていたのを思い出して画像フォルダをひっくり返してみる。まあしょうもないボツカットも多いけど、その中でもマシなカットを何枚か。再掲があるのはお許しいただきたいが、いや~思った以上に枚数を撮ってたね(笑)。そんなにこの車両好きだったかオレ?って感じなのだがw


そんな中でも、やっぱり御殿場線の名撮影地である狩屋踏切を行く姿には別格の存在感がありましたね。特に12月からの冬の時期、早朝の御殿場って余裕で氷点下になるんだけど、371系は朝のあさぎり1号でこの撮影地を確か8時半ちょい過ぎくらいかな?に通過するんで、早朝のまだ雲がかからない状態のクリアーな富士山と合わせて実に絵になる一枚を撮ることが出来ましたね。このワンカットは確か初めて狩屋踏切に三脚立てた時の一枚。すっきりしたホワイトに群青のライン、やっぱりこの車両は富士山と合わせるのが一番絵になる、まさに富士の嶺の申し子のような車両でした。この先、同僚だった小田急RSE20000系のように譲渡先があるのかどうか分からないし、とにかく1編成しかない事から酷使され倒した車両ですし、ツブせる編成がない分部品取りもしにくい抵抗制御の車両と譲渡に際しては難題は山積みだと思いますが、ちょっと富士急行の社長こっち来いやくらいの勢いでトレードを希望しておきますw

Thank You & Forever Central Japan Railway series 371(X1)
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