青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

千曲川銀河鉄道

2018年02月03日 07時00分00秒 | 飯山線

(北信に星降る夜@桑名川駅)

白い星降る桑名川。北信妻有の里を走る飯山線の、幻想的な冬の夜です。降り続く雪が強さを増し、辺りを改めて白に染めて行きます。駅前に車を止め、積もり始めた新雪を踏み鳴らして真新しい駅に入ると、風と雪がないだけでほっと一息つける。待合室には座布団が敷かれた木のベンチがあって、駅ノートがまだ見ぬ旅人を待っています。


そう言えば、春に来た時も、帰りしなに桑名川に立ち寄ってバルブをした事を思い出した。あの時は、信濃平が菜の花で満開だったんだっけか。桑名川は、飯山線内では6つしかない貴重な交換駅の一つで、冬場は除雪と保線作業の基地にもなる線内の重要な拠点駅。側線を擁するやや広い構内と島式ホーム、申し訳程度に架かるホーム上屋が、雪ん子のかぶる藁帽子のようでかわいらしい。


突然の構内踏切の音。そして自動のアナウンスが列車の接近をけたたましく告げると、列車が滑り込んで来ます。170D、戸狩野沢温泉行き。千曲川銀河鉄道の夜。


夢か現(うつつ)か、僅かな停車時間を残して、列車が消えて行きました。


青いカンテラと水銀灯が二つ、暗闇の中で凍て付いた鉄路を照らします。深い雪に閉ざされる飯山線の冬、雪と戦う鉄路の厳しくも頼もしい姿です。真冬の厳しい自然の中で息づく人々の暮らしと、寒さを忘れさせてくれる美しい里山の風景。そして冷え切った体を暖めてくれる名湯の数々と、飯山線の沿線には私の心を捉えて離さない魅力があります。どの季節に訪れても、それそれの季節の魅力をレスポンスしてくれる路線だと思うので、お気に入りの飯山色のDCが走っている間に、なるべく通っておきたいと改めて思いますね。


お帰りのシメの一湯は津南町の「ゆくら妻有」。塩辛く温まるお湯でサッパリと疲れを流してR353十二峠から湯沢方面へ。結構ガッチガチに固まってて怖かったわ。ちなみにこの日は関東の大雪で軒並み交通網はズタズタ、結局帰りは関越が鶴ヶ島から南で通行止めになっていたので花園ICから下道で帰るハメになった。花園ICを23時ちょっと前に出て、そっから下道で雪の中を延々と走ったのだが、途中国道16号の箱根ヶ崎あたりでトラックの大渋滞に閉じ込められ1時間近くピクリとも動かなかったのは焦ったねえ。これがいわゆる立ち往生ってヤツか。

結局家に着いたのは午前4時。さすがに花園から5時間かかるとは思わなかったぞ。
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降る雪は思い出とともに

2018年02月02日 17時00分00秒 | 飯山線

(雪に煙る千曲川@上境付近)

135Dを十日町手前まで追い掛けた後は、ゆっくりと戸狩方面へ向けて流していきます。15時前から降り出した雪が、いつしか本降りになって来た。そう急ぐ話でもないので、ゆっくり千曲川左岸の県道を進んだのですが、小集落が続く道は消雪パイプが入っていて雪が積もる事もなく快適。先日は関東も大雪で交通網がズタズタになってエラい事になったのですが、ホント消雪パイプは神だわ。


どうも運用の流れでは、今度の飯山色は長野から141Dの次位で出て来るようです。但しこの141Dは戸狩野沢温泉行きと言う事で、戸狩より先には入線しないので飯山の一つ手前の駅である蓮(はちす)の駅にやって来ました。16時を過ぎてだいぶ暗くなって来たし、雪はいよいよゴンゴンという感じで粒が大きくなってきたねえ。そして何より気温が下がって寒い寒い…


5分どころか、1分でもどんどんと露出が無くなって行く蓮の夕暮れ。降りしきる雪の中で足と手の感覚がなくなりそうになりながら耐えて待っているのですが、どうも降りしきる雪で速度が稼げないのか所定の時刻を過ぎてもさっぱり列車がやって来ない。もういい加減寒くて厭になったところに、駅手前のスノーシェッドを抜けて141Dが姿を現しました。所定からおよそ10分程度の遅れです。


時刻は17時過ぎと言うのにもうすっかり雪の夜。蓮駅で下車した人は足早に、駅前に待っていた家族の車で帰途に就きます。しんしんと音もなく降る北信州は飯山の雪。さすがにレンズと被写体の間に相当量の雪が挟まってしまうと、いくらスローにシャッターを落としてもなかなか明瞭には映らない状況になって来ました。


返しの141Dは信濃平の駅ホームで。141Dも飯山色は次位に下がってしまうので、ケツから撮ってばっかもつまらないからローアングルで軽くバルブ。先頭車に本日初登場の「飯山線の四季」ラッピングが入ってくれました。18時近くの列車ですが、長野駅周辺で飲み会でもあるらしく若い人が3~4人連れ立って列車に乗り込んで行きます。遅い新年会かな。


信濃平と言えば、印象に残るのがこのワフという有蓋緩急車(荷室付き車掌車)を改造した待合室。この手の駅舎は「貨車駅」なんて言われて、密かにマニアに人気のジャンル。貨車駅の本場は北海道らしいけど、本州で貨車駅って珍しいかもね。現役時代は真っ黒なカラス色に塗られていた貨車ですが、第二の人生は白と緑のJR東日本カラー。

以前は周辺の農産物の集積で栄え賑わった信濃平の駅。駅舎として建っているワフ29000は昭和29年製、昭和29年製だからワフ29000なのかどうかは謎。形は変われど、現役から通算して60年を超えたベテラン貨車は、今も現役として信濃平の駅の乗客を出迎えている。信濃平に降る雪は、老貨車の思い出とともに、この冬も優しく降り積もります。
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観光列車は増えたけど

2018年02月01日 18時00分00秒 | 飯山線

(おいこっと、平日のお勤め@寺石トンネル)

後攻の135Dは、駅入口の4種踏切から森宮方の寺石トンネル飛び出しを。おっと、平日はヒマを持て余しているおいこっと車両が先頭でやって来ました。土休日は指定席料金を取って観光列車として運転されている「おいこっと」ですが、平日はこんな感じで普通列車に充当されることもあります。ただ、そうなると土日の指定席料金って一体…?と言う話になりそうだ。アテンダントが乗車して、お土産に野沢菜が貰えるだけじゃ指定席料金分のバリューがあるのかというね。最初のうちは物珍しさで乗る人もいるんだろうけど、最近は結構空気輸送になっちゃってるらしい。


ちなみにGoogle Mapで飯山駅のところに人間乗っけると、おいこっとの車内が見られる。車内をフルレストアして、革張りの椅子にウッドテーブル付きボックスシートや格子状のロールカーテンとか雰囲気は悪くないよ。悪くないけど、観光列車に吊り革をぶら下げちゃいかんでしょ。とは思う。平日にこーやって普通列車に組み込んで使いたいからだろうけど、そーいう「非日常に徹し切れない」中途半端さが透けて見えてしまうような。今は日本中で観光列車ブームみたいなトコあるけど、数ある観光列車の中で選ばれて乗ってもらえる車両にどう煮詰めて行くかって大事だと思うよ。


足滝の駅を出る135D。ただ、平日に指定席料金なく乗れるのであれば「おいこっと」の車両は非常に乗り得な車両と言える。惜しむらくはその運用は共通運用なので乗れるかどうかは運次第と言う事だ。115系リバイバルカラーで盛り上がっているしなの鉄道じゃないけど、個人的には飯山色とおいこっとの運用くらい教えてくれはしないものか長野支社様よ。あ、そうなったらわざわざ土日に指定席料金払っておいこっと乗る人いなくなっちゃうか(笑)。


午後になっていよいよ雪が降り始めた飯山線沿線。足早に当間川の鉄橋を十日町へ急ぐ135D。ちなみに春~秋は長野~十日町間を1往復(土日)で運行しているおいこっとですが、冬場は基本的には長野~戸狩野沢温泉間の2往復運用に短縮されてしまうのも非常に勿体ない話である。除雪スジとかの絡みで難しいのかもしれないけど、冬の飯山線の魅力って戸狩から先でしょ。津軽鉄道の地吹雪体験ツアーじゃないけど、冬こそリアルな豪雪地帯のありようを観光列車でしっかりアピールしてこそ、鉄道による地域の底上げに繋がって行くんじゃないかと思うんよねえ。森宮野原でもうちょっと停車時間を取って、駅前で物販とか供食やってもらうとか、おいこっとで行く真冬の秋山郷ツアーとか、やりようはあると思うんだけどね。
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