tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

澄まず濁らず、出ず入らず

2007年12月18日 | 奈良にこだわる
猿沢池は、興福寺の放生池(ほうじょういけ=捕えた生き物を放ち逃がすための池)である。五重塔とともに奈良観光の象徴的な存在だ。

奈良検定のテキストには《猿沢池の月は南都八景のひとつとして室町期以来多くの観光客が訪れた。「澄まず濁らず、出ず入らず、蛙はわかず藻ははえず、魚が七分に水三分」という俗謡もある》と記されている。

これにちなんだ「猿沢池七不思議」がある。地元小学校のホームページによると、
1.水はきれいにならない
2.しかし、それ以上汚くもならない
3.水深は常に7割の線をキープしていて、それ以上増えない
4.しかし減りもしない
5.水の出入口がどこにあるかは謎(実は南西の方にある)
6.生き物のうち魚(コイとフナ以外の魚)が3割
7.亀が3割(残り4割がコイとフナ)
ということだそうだ。
※奈良市立鼓阪(つざか)小学校のサイト
http://www.naracity.ed.jp/tsuzaka-e/time/%E7%8C%BF%E6%B2%A2%E6%B1%A0/sarusawaike.html#mokuji

しかし数年前の夏に魚が大量死したため(コイヘルペスが疑われたが、原因は猛暑だった)、亀ばかりで魚はほとんどいない。水も、ご覧のようにアオコの大量発生で、泥水のように汚れている(写真=本年11月の撮影)。観光客が亀に与えるエサや雨で流れ込む鹿の糞などで水が富栄養化するため、アオコが大発生するのだそうだ。七不思議のうち、2・6・7の生態系バランスが崩れてしまった。

さて奈良県は今年9月、近畿大学と「観光振興に関する協定」を結んだ。これに基づく共同プロジェクトの第1弾が猿沢池の浄化だ。11月に予備試験を実施したところ、これが成功したそうだ。11月時点の透視度は8.4cmと、ひどく汚れていた(塔が映る「適度な濁り」は10~15cm。あまり透明すぎてもダメなのだ)。

《来年度には現地に専用装置を持ちこんで本格的に浄化を開始。来年10月には、五重塔がより鮮やかに映る本来の猿沢池に甦らせるとしている》(12/14付 産経新聞奈良版)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071214-00000030-san-l29

真冬には水はきれいになるが、夏になると再びアオコが大発生して濁る。これも立派な「奈良の景観問題」だ。それが大学との連携で改善するとは有り難い。近畿大学さん、ぜひ頑張って下さい。
※真冬には、ほどよく濁っている(撮影=06年2月)。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/39/8b8f8878471c85f7ea38caaf70f3f314.jpg
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする