昨日(6/6)奈良県文化会館で、今年度の「奈良県地域貢献活動助成事業」に関する第2次審査(公開プレゼンテーション)が行われた。
※昨年度のプレゼンテーション(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/331e42acce1228571499f4b84e319ae1
開会の挨拶をされる宮谷太氏(県くらし創造部長)。
今年も10:00~16:00過ぎまでの長丁場で、第1次審査を通過した23団体による熱心なプレゼン(外部の有識者等を含む審査委員会による審査)が繰り広げられた。進行順に、その一部を紹介する。
※今回の募集告知(県のホームページ内)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiikikouken.html
※今回応募のあった事業の一覧(PDF形式)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiiki/21presen-dantai.pdf
NPO法人関西青少年自立支援センター(上の写真。吉野町小名)は、不登校やひきこもりの青少年が、共同生活を通じて自立できるよう支援する組織である。プレゼンでは、吉野町の遊休農地で、合鴨農法により無農薬で赤米(吉野の桜米)を作り、これを販売していきたいとアピールした。
http://www.nponola.com/index.html
奈良中国帰国者支援交流会は《県下に在住する中国残留日本人孤児(数十名)の中には日本語の不自由な人、健康を害している人、引きこもりがちの人など、社会との適合性に問題を抱えています。やっと帰ってこれた祖国、長年夢に見た日本で、幸せな余生と個人の問題解決、近隣友好に取り組んでいます》という団体である。会の役員さんは残留孤児の身元引受人となるとともに、日本語教室や各種サークル(交流会)の開催、就学・就労・病院付添などの支援をされており、これには頭が下がる思いである。
http://www.nvn.pref.nara.jp/dantai/detail/index.php?id=633
会場内の様子
このプレゼンで初めて知ったのだが、3/14に行われた「舞(my)1300年祭」で、中国の秧歌(ヤンガー)踊りを披露されたのは、帰国者(残留孤児)の方たちだったのだ(トップ写真)。秧歌踊りは、中国で収穫を祝ったり、お正月などを祝ったりするために踊られているもので、この会に所属する帰国者たちが練習を重ね、本番に臨んだのである。高齢の方が大半であり、ご苦労も多かったことだろう。
※参考:舞(my)1300年祭に行ってきました!(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/35ceea2a212f29002f81e85ddcb7fcc4
午前中に11団体のプレゼンが終わり、午後の部のトップは、ゆう楽(らく)会だった。この会は、陶芸を介した聴覚障害者の仲間作りと健康・文化の向上をめざして06年に設立された。会の名前の「ゆう」とは、「友」人、「悠」悠自適、「釉」薬(やうやく=うわぐすり)の「ゆう」なのだそうだ。作陶指導と陶芸展を開きたいという趣旨だ。
ゆう楽会の次は、国際交流ならふれあいの会。メキシコ祭、国際交流のためのサマーキャンプ、スリランカに井戸を贈るための事業を計画されている。
下の写真はNPO法人日本ワンディッシュエイド協会の樽井雅美さん(生駒市在住)。陶器の食器類を回収し、利用可能なものはリユース市、それ以外のものはリサイクルし、ゴミ(燃やせないゴミ)の減量に取り組んでおられる。
※同協会のホームページ
http://www.onedish.net/
彼女の活動はさまざまなメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いだろう。この仕組みが素晴らしいのは、リユース(そのまま再利用)に回すだけでなく、使えない食器を多治見市(岐阜県)の陶土製造会社にまで運び、粉砕後、粘土に混ぜ、再び陶器に再生するというサイクルを回しているところである。運搬も、カラで走っているトラックの定期便に載せることで、追加的な化石燃料の使用を抑えている。不要な陶器が再利用され、ゴミも減る。この素晴らしい「生駒モデル」を、もっと全国に広めていただきたいものである。
http://news.livedoor.com/article/detail/2522906/
http://kankyoshiminradio.seesaa.net/article/96841578.html
上の写真は、社団法人座(くら=奈良ダルク)。薬物やアルコール依存症に苦しむ依存者の日常生活・社会復帰への相談支援を目的として設立された。今回の助成事業は、依存症治療の先進国であるアメリカから講師を招き、講演会(アディクション・フォーラム)を開くというものである。「依存者の相談に乗り、支援するのは、依存経験者が最も適している」として、施設内に研修室(奈良ダルク研修センター)まで設け、熱心に取り組んでおられる。
上の写真は、平群町茶道愛好会の皆さん。平群幼稚園の園児向けに「こども茶道教室」を開きたいという。茶道は礼儀作法や豊かな感性を養うのに良いとのことで、今後は町内の他の幼稚園、保育園、小中学校にまで対象を広げたいと考えている。「子どもに抹茶を飲ませて大丈夫ですか?」との質問には、「子ども用に薄め、飲む量も少なくしているから安心です」とのこと。
信貴山盆踊実行委員会からは、信貴山での蛍鑑賞会、燈火会(なら燈花会のような夜のイベント)、盆踊り大会を行いたいというプレゼンがあった。信貴山といえばトラ(聖徳太子は信貴山で、寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天王を感得したという故事がある)。来年の寅年に向けて、ムードが盛り上がっているようだ。
ティフトン芝
NPO法人グリーンスポーツ奈良は、小学校運動場の芝生化に適したティフトン芝を育て、その芝苗を低価格で提供したいという。小学校グラウンドの芝生化は、「子どもたちの運動機会が増え、体力・運動能力が向上する」「目にも心にも良い効果がある」「土埃を防止し、地球温暖化も抑えることができる」というメリットがあるそうだ。ティフトン芝は従来の高麗芝より丈夫で、繁殖力も強いという。
NPO法人共生学舎は、田原(奈良市)などの風致地区の保全・整備と、その土地での野菜栽培と無料配布(低所得者向け)を行いたいという。現在は篤志家からの資金援助に頼っているが、県からの助成金でNPOの運営を安定させたいとの趣旨だ。
この日最後のプレゼンは、NPO法人スポーツ健康援護協会。健康体力作りや競技力向上のための講演会と実技指導を行いたいという。これまで県陸上選手権、高校総体(陸上)、北京オリンピック(女子ホッケー)をはじめ、南都銀行女子ホッケー部の公式戦などに同行し、コンディショニングなどを指導されているそうだ。
締めくくりは審査委員長・村田武一郎氏(奈良県立大学教授)の講評。6時間の長丁場でお疲れだったろうが、全体をうまく総括して講評されていて、これはもう名人芸だ。
私の印象としては、プレゼンテーションの巧拙はあったものの、中身の濃い事業が多く、これを審査会で決める(助成金700万円の範囲に収まるよう対象先を絞り込む)のは大変な作業だろう。「面白いが、社会的な意義は軽い」ものもあれば、「社会的な意義は重いが、机上論で終わらないか」というものもある。
この日を迎えるまで、担当課(県くらし創造部協働推進課)は説明会を奈良と橿原で計3回開催し、事業企画書の作成からプレゼンの方法まできめ細かく指導されたそうだ。収支計画表に記載する標準金額(積算の目安)も、「インターネット初期導入費用3万円」「両面カラーのリーフレットA4版2つ折り200部で9万円」「講師料(一般)2万円」「講師料(大学教授)3万円」「コピー用紙A4版1箱(5千枚)で3千円」というように細かく決めて示されたそうだ。
それだけに、プレゼンテーションされた団体も真剣勝負だったに違いない。最終的な助成先の決定・発表は今月の17日だそうだが、どの団体が選ばれ、これからどんな事業が県下で展開されるか、今から楽しみにしている。
※昨年度のプレゼンテーション(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/331e42acce1228571499f4b84e319ae1
開会の挨拶をされる宮谷太氏(県くらし創造部長)。
今年も10:00~16:00過ぎまでの長丁場で、第1次審査を通過した23団体による熱心なプレゼン(外部の有識者等を含む審査委員会による審査)が繰り広げられた。進行順に、その一部を紹介する。
※今回の募集告知(県のホームページ内)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiikikouken.html
※今回応募のあった事業の一覧(PDF形式)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiiki/21presen-dantai.pdf
NPO法人関西青少年自立支援センター(上の写真。吉野町小名)は、不登校やひきこもりの青少年が、共同生活を通じて自立できるよう支援する組織である。プレゼンでは、吉野町の遊休農地で、合鴨農法により無農薬で赤米(吉野の桜米)を作り、これを販売していきたいとアピールした。
http://www.nponola.com/index.html
奈良中国帰国者支援交流会は《県下に在住する中国残留日本人孤児(数十名)の中には日本語の不自由な人、健康を害している人、引きこもりがちの人など、社会との適合性に問題を抱えています。やっと帰ってこれた祖国、長年夢に見た日本で、幸せな余生と個人の問題解決、近隣友好に取り組んでいます》という団体である。会の役員さんは残留孤児の身元引受人となるとともに、日本語教室や各種サークル(交流会)の開催、就学・就労・病院付添などの支援をされており、これには頭が下がる思いである。
http://www.nvn.pref.nara.jp/dantai/detail/index.php?id=633
会場内の様子
このプレゼンで初めて知ったのだが、3/14に行われた「舞(my)1300年祭」で、中国の秧歌(ヤンガー)踊りを披露されたのは、帰国者(残留孤児)の方たちだったのだ(トップ写真)。秧歌踊りは、中国で収穫を祝ったり、お正月などを祝ったりするために踊られているもので、この会に所属する帰国者たちが練習を重ね、本番に臨んだのである。高齢の方が大半であり、ご苦労も多かったことだろう。
※参考:舞(my)1300年祭に行ってきました!(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/35ceea2a212f29002f81e85ddcb7fcc4
午前中に11団体のプレゼンが終わり、午後の部のトップは、ゆう楽(らく)会だった。この会は、陶芸を介した聴覚障害者の仲間作りと健康・文化の向上をめざして06年に設立された。会の名前の「ゆう」とは、「友」人、「悠」悠自適、「釉」薬(やうやく=うわぐすり)の「ゆう」なのだそうだ。作陶指導と陶芸展を開きたいという趣旨だ。
ゆう楽会の次は、国際交流ならふれあいの会。メキシコ祭、国際交流のためのサマーキャンプ、スリランカに井戸を贈るための事業を計画されている。
下の写真はNPO法人日本ワンディッシュエイド協会の樽井雅美さん(生駒市在住)。陶器の食器類を回収し、利用可能なものはリユース市、それ以外のものはリサイクルし、ゴミ(燃やせないゴミ)の減量に取り組んでおられる。
※同協会のホームページ
http://www.onedish.net/
彼女の活動はさまざまなメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いだろう。この仕組みが素晴らしいのは、リユース(そのまま再利用)に回すだけでなく、使えない食器を多治見市(岐阜県)の陶土製造会社にまで運び、粉砕後、粘土に混ぜ、再び陶器に再生するというサイクルを回しているところである。運搬も、カラで走っているトラックの定期便に載せることで、追加的な化石燃料の使用を抑えている。不要な陶器が再利用され、ゴミも減る。この素晴らしい「生駒モデル」を、もっと全国に広めていただきたいものである。
http://news.livedoor.com/article/detail/2522906/
http://kankyoshiminradio.seesaa.net/article/96841578.html
上の写真は、社団法人座(くら=奈良ダルク)。薬物やアルコール依存症に苦しむ依存者の日常生活・社会復帰への相談支援を目的として設立された。今回の助成事業は、依存症治療の先進国であるアメリカから講師を招き、講演会(アディクション・フォーラム)を開くというものである。「依存者の相談に乗り、支援するのは、依存経験者が最も適している」として、施設内に研修室(奈良ダルク研修センター)まで設け、熱心に取り組んでおられる。
上の写真は、平群町茶道愛好会の皆さん。平群幼稚園の園児向けに「こども茶道教室」を開きたいという。茶道は礼儀作法や豊かな感性を養うのに良いとのことで、今後は町内の他の幼稚園、保育園、小中学校にまで対象を広げたいと考えている。「子どもに抹茶を飲ませて大丈夫ですか?」との質問には、「子ども用に薄め、飲む量も少なくしているから安心です」とのこと。
信貴山盆踊実行委員会からは、信貴山での蛍鑑賞会、燈火会(なら燈花会のような夜のイベント)、盆踊り大会を行いたいというプレゼンがあった。信貴山といえばトラ(聖徳太子は信貴山で、寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天王を感得したという故事がある)。来年の寅年に向けて、ムードが盛り上がっているようだ。
ティフトン芝
NPO法人グリーンスポーツ奈良は、小学校運動場の芝生化に適したティフトン芝を育て、その芝苗を低価格で提供したいという。小学校グラウンドの芝生化は、「子どもたちの運動機会が増え、体力・運動能力が向上する」「目にも心にも良い効果がある」「土埃を防止し、地球温暖化も抑えることができる」というメリットがあるそうだ。ティフトン芝は従来の高麗芝より丈夫で、繁殖力も強いという。
NPO法人共生学舎は、田原(奈良市)などの風致地区の保全・整備と、その土地での野菜栽培と無料配布(低所得者向け)を行いたいという。現在は篤志家からの資金援助に頼っているが、県からの助成金でNPOの運営を安定させたいとの趣旨だ。
この日最後のプレゼンは、NPO法人スポーツ健康援護協会。健康体力作りや競技力向上のための講演会と実技指導を行いたいという。これまで県陸上選手権、高校総体(陸上)、北京オリンピック(女子ホッケー)をはじめ、南都銀行女子ホッケー部の公式戦などに同行し、コンディショニングなどを指導されているそうだ。
締めくくりは審査委員長・村田武一郎氏(奈良県立大学教授)の講評。6時間の長丁場でお疲れだったろうが、全体をうまく総括して講評されていて、これはもう名人芸だ。
私の印象としては、プレゼンテーションの巧拙はあったものの、中身の濃い事業が多く、これを審査会で決める(助成金700万円の範囲に収まるよう対象先を絞り込む)のは大変な作業だろう。「面白いが、社会的な意義は軽い」ものもあれば、「社会的な意義は重いが、机上論で終わらないか」というものもある。
この日を迎えるまで、担当課(県くらし創造部協働推進課)は説明会を奈良と橿原で計3回開催し、事業企画書の作成からプレゼンの方法まできめ細かく指導されたそうだ。収支計画表に記載する標準金額(積算の目安)も、「インターネット初期導入費用3万円」「両面カラーのリーフレットA4版2つ折り200部で9万円」「講師料(一般)2万円」「講師料(大学教授)3万円」「コピー用紙A4版1箱(5千枚)で3千円」というように細かく決めて示されたそうだ。
それだけに、プレゼンテーションされた団体も真剣勝負だったに違いない。最終的な助成先の決定・発表は今月の17日だそうだが、どの団体が選ばれ、これからどんな事業が県下で展開されるか、今から楽しみにしている。