tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

『千の風になって』疑惑またはTwitterの猛威

2010年03月13日 | 意見
千の風になって

講談社

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これは驚いた。新井満氏の『千の風になって』が、先行書籍からのパクリではないかという疑惑が、ネット上で大きな波紋を広げているのだ。私は寮美千子さんからの情報で初めて知ったのだが、きっかけはTwitterのこんな書き込みだったそうだ。
※HARMONIA(寮美千子の意見)
http://ryomichico.net/bbs/review0011.html#review20100312151134

《私はずっと「千の風になって」ブームにうさんくさく思っていた。売ってはならんものを売っているぞ、と》《新井満『千の風になって』の背後には、こんなことがあったのか。本当なら許されないことだよなあ》(3/10 1:43AM 松浦晋也氏)。
http://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/10264460319

ジャーナリストの佐々木俊尚氏も、Twitterで《あまりにも酷い「千の風になって」の盗作問題。新井満氏と朝日新聞はきちんと回答すべきではないか》と書いておられる(3/10 6:45PM 佐々木俊尚氏)。
http://twitter.com/sasakitoshinao/statuses/10302758863

これら情報のネタ元は、南風椎(はえ・しい)氏のブログである。
※南風椎氏のブログ「森の日記」
http://blog.greetings.jp/?cid=6

1000の風―あとに残された人へ (ポケット・オラクル・シリーズ)

三五館

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ブログ「天漢日乗」には《1995年6月、南風椎氏は、1000の風―あとに残された人へ という書籍を三五館から出版した。この書籍が新井満の「千の風になって」の大元であり、新井満がそれを剽窃して現行の「千の風になって」の「和訳」を行ったのは、南風椎氏のblog「森の日記」を読む限り、動かしがたい事実ではないかと思われる。是非、以下をご一読下さい。なお、新井満が講談社から写真詩集『千の風になって』を刊行したのは、2003年6月のことで、南風椎氏の著作との先後関係は明らかである》。
※わたしは「千の風になって」を歌わない(天漢日乗)
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2010/03/nhk-4625.html

天漢日乗には、南風氏の8本のブログ記事が紹介されている。《これを読むと驚くのだが南風椎氏と新井満とは旧知の間柄だったのである。(5)には南風椎氏と新井満が一緒に収まった写真が掲載されている。まだ「小説家になりたい」と言っていた電通マンの頃の新井満だ。そして、驚くべきことに(6)を読むと、南風椎氏の『1000の風』の写真のアイデアを新井満『千の風になって』の表紙がパクっているのだという。で、これを南風椎氏に見せたらしい》。

《旧知の人間の著作物を盗んで平気(新井満は「南風椎の本がなかったら自分があの詩に出会うことはなかったし、本も歌も作れなかった。これからは取材のときも講演でもそのことをかならず最初に言います」と言って帰ったと(6)には書いてあるが、本当にそれを実行してるんですか?)というのだけでもアレだけどそれをその本人に堂堂と見せるという神経は全く理解出来ない》。

千の風になったあなたへ贈る手紙 (朝日文庫)
「千の風」手紙プロジェクト
朝日新聞出版

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ちなみに、南風椎氏の訳を紹介する。氏のブログからの引用である。

『1000の風』 訳 南風椎

私の墓石の前に立って
涙を流さないでください。

私はそこにはいません。

眠ってなんかいません。

私は1000の風になって
吹きぬけています。

私はダイアモンドのように
雪の上で輝いています。

私は陽の光になって
熟した穀物にふりそそいでいます。

秋には
やさしい雨になります。

朝の静けさのなかで
あなたが目ざめるとき

私はすばやい流れとなって
駆けあがり

鳥たちを
空でくるくる舞わせています。

夜は星になり、

私は、そっと光っています。

どうか、その墓石の前で
泣かないでください。

私はそこにはいません。

私は死んでないのです。

Copyleft by Hae Shii 1995-2010

いかがだろうか。寮美千子さんは慎重意見である。当ブログ記事に寄せていただいたコメントによると《訳文比較の結果、新井満氏が南風椎氏の先行作品を参考にしたであろうことは、ほぼ明らかです。しかし、法的に「盗作」と呼ぶべきものかどうかはむずかしい。翻訳で、先行作品を参考にすることはよくあることです。その場合、先行作品に敬意を払い、参考資料として提示するなどの対処が必要。新井氏と南風氏は友人だったのですから、少なくとも挨拶は必須です。新井満氏が礼を失したことが、今回の騒動の原因だと思います》。
※寮美千子さんによる訳文比較(HARMONIA)
http://ryomichico.net/bbs/review0011.html#review20100312171653

なるほど。新井氏の非礼は明らかであるが、裁判になったとき、南風氏が「盗作だ」と主張して勝てるかどうかは分からない、ということなのだ。さすがにプロの作家らしい冷静な判断である。

週刊 ダイヤモンド 2010年 1/23号 [雑誌]

ダイヤモンド社

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私がこの騒動でもう1つ思い知らされたのは「Twitter」の威力である。週刊ダイヤモンドが1/23号で「2010年ツイッターの旅 140字、1億人の「つぶやき」革命」という特集を組んだとき、正直「そこまで言うか」と思ったが、南風椎氏が《Twitterの威力に目を見開いている。昨日たった一日でこのブログへのアクセス数が8万を超えて驚いていたのに、今日はまたそれを超えそうな勢いなのだ》と書かれているのを知り、その猛威に驚かされた。
http://blog.greetings.jp/?eid=161

南風氏がどの辺りを「落としどころ」にするのか、現状では不透明だが、行きがかり上、私もこの問題を追っかけて行くことにしたい。
http://blog.greetings.jp/
コメント (5)
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とことん奈良

2010年03月13日 | 観光にまつわるエトセトラ
奈良・大和路観光ガイドブック「とことん奈良」をご存じだろうか。今年の1月、奈良県が発行した無料の観光ガイド本(A4版・33ページ)である。東京からお客さんが来られるので、県文化観光局国際観光課のKさんに相談すると、「良いガイド本がありますよ」と進呈していただいたものだ。

裏表紙の説明によると、県文化観光局観光振興課、県ビジターズビューロー、奈良まほろば館(東京・日本橋)のほか、県下各地の観光案内所で配布されているようである。全ページのPDFファイルもあり、県のHPから無料でダウンロードできる。
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_itemid-37958.htm#moduleid27360

表紙には《奈良といえば、大仏さんに、奈良公園の鹿。もちろん、1300年を超える古い歴史と、遠く異国の香りのする豊かな文化も自慢です。しかし、奈良はそれだけじゃない。温泉があります。うまいものもあります。見て、聞いて、感じて、癒されて、もっと、もっと、とことん奈良!》と嬉しいことが書いてある。これには全く同感だ。

当ブログをテレビや雑誌で紹介していただいて以来、よく講演を頼まれるようになり、あちこちでこんな話をしている。JTBの「るるぶ」とは「見る、食べる、遊ぶ」の意味だ。しかし奈良の「るるぶ」は「見る、知る、学ぶ」になっていて、全然面白くない。県ビジターズビューローのキャッチコピー「知れば知るほど 奈良はおもしろい」は、裏を返せば「知らなければ 奈良はつまらない」ということだ。知らない人でも楽しめる工夫こそが、必要なのではないか。

私は奈良のるるぶを「巡(めぐ)る、食べる、喜ぶ」にしよう、と提案している。奈良の楽しみは、ゆっくり歩いて巡る楽しみである。美味しいものも数多い(当ブログで紹介したお店だけで、約200店もある)。そして何より喜び、感動していただいて、また来ていただく(リピーターになっていただく)ことが大切だ。
※ならの魅力創造課の力作!「歩く・なら」
http://www.pref.nara.jp/miryoku/aruku/

「とことん奈良」には、温泉や花ごよみ、土産物などの情報も沢山載っていて、ビギナーからベテラン観光客まで、奈良・大和路を「とことん」楽しめるように工夫されている。

「奈良は、何年も同じ映画しか上映しない映画館のようなものだ」といった人がいたが、外から見てそのように見えている、というところがいけない。「見せ方」をうまく演出しなければならないのだ。正倉院展や阿修羅ブームが、その良いお手本である。

「とことん奈良」は、その見せ方が上手である。観光振興課も、なかなか頑張っている。こんな良いガイド本が無料でもらえるとは、とても有り難い。新聞などで報道されていないので、あまり知られていないのが残念である。皆さんはお近くの観光案内所などで、ぜひ入手し、活用していただきたい。
コメント (3)
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