tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

東京の奈良ファン(桜井さん)の声 観光地奈良の勝ち残り戦略(74)

2013年07月21日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略

7/17(水)、東京の奈良ファン(あやかさん)の声「観光地奈良の勝ち残り戦略(73)」というブログ記事を書き、Facebookにも転載したところ、大きな反響をいただきました。「奈良を愛するあやか」さんのご意見に対し、会社員のNさんからは《確かにおっしゃる通りかと思いますね 奈良に住む人間として考えさせられますね なんとか改善して、観光客を少しでも奈良に呼び寄せたいものです》。

明日香村で食事処を営むSさんからは《一つ一つなるほどなって思えることです。そんなこと言われても、簡単には出来ないわ!って思わずにそこに関わる人が対処していく気持ちになるだけでも、ずいぶん違ってくるような気がします。私も微力ですが、自分のためにもこの辺りの良さを伝えていけたらと思っています》。

東京のKさんからは《tetsudaさんの様に本当に奈良全体を考えてどうやったらって方がいらっしゃるのは心強いです 奈良は奈良で世界や京都と比べる必要はなく奈良なりで良いとは思いますが、奈良を愛してやまない外の人間的には、余りにも足りない点が多くて歯がゆいです》。

姫路のIさんからは《奈良には奈良の良さがあるのですから、全て首都圏の人の視点に合わせる必要はないと思います。JR大和路ライナーは1時間に4本もあれば十分です。せかせかと目的地をめざすのではなく、JR法隆寺駅から歩いて、松並木を通り、あるいは上宮遺跡公園や駒塚古墳、中宮寺を経て参詣するのも良いものです》。大阪のHさんからは《Iさんに同意です。ただ、その徒歩の良さを伝えきれていないと思います。そこの工夫が欲しいですね…》。

東京で奈良の魅力を発信されているTさんからは《奈良の史跡や観光地を巡ると、靴がほこりまみれになり、汚れます! そんな体験は、東京ではなかなか体験できません。こんな小さな驚きが、奈良にはいっぱいつまっています。良さかどうかはともかく、強みをもっと掘り起こして「お靴が、へーんしん!w」とか、PRして。そこにサービスを付加してみたらどうかと思いました。たとえば、駅に靴を綺麗にするサービスとか。こういう小さな強みを発見してくれるのが、よそ者視線なのでしょうね。私も「文化の発祥の地奈良」を首都圏に発信するばかりでなく、もう少し身近な奈良の強みを発信してゆきます。公募しても面白いかも。「小さな奈良の強み(他にはない、差別化)」》。

「奈良を愛するあやか」さんが、他の観光地と比較して奈良の不便さをおっしゃるのに対し、IさんやTさんは、むしろ奈良独自の強みを発揮すべき、とのご意見です。当該ブログ記事のコメント欄にも「奈良を愛する東京の桜井」さんから、「必要最低限のインフラ整備ではいけないの?」というコメントをいただきましたので、以下に紹介します(青字は桜井さん、黒字は私のコメント)。

10代後半からの奈良好きで、かれこれ30年通い続けているOLです。ここ2年は月に1度のペースで奈良を訪れています。通い初めの頃は解り難かった大和西大寺駅も、今は表示が徹底されて迷わなくなりました。バスの本数が少なくなった法隆寺行きをあてにしなくても、JR法隆寺駅からのバスや、王寺までJRを使ってそこからバスで法隆寺前まで戻ったり、近鉄線からバスに乗り換えたりと、少しずつ自分も勉強しながらですが、便利になったと思う今日この頃です。最近はJR奈良駅を含めた周辺が使いやすくなったので、宿泊をこのあたりに求めることができ、混雑時でも泊りに不自由することがなくなりました。

「あやか」さんが近鉄利用者の目で「法隆寺へ行くのが不便」とお書きなのに対し、「桜井」さんはJRをうまく使えば決して不便ではないとお書きです。JR奈良駅の周辺では「ホテル日航奈良」「スーパーホテルLohas JR奈良駅」「コンフォートホテル奈良」など、宿泊施設が充実しています。

東京から新幹線で京都、京都から奈良は近鉄特急を使われても、近鉄奈良駅からJR奈良駅は徒歩で10分、市内循環バスで5分です(本数は少ないですが、JR「みやこ路快速」なら京都―JR奈良は44分です)。「あやか」さんには、いちどJR奈良駅周辺にお泊まりいただいて、「JR線で行く奈良」も楽しんでいただきたいですね。万葉まほろば線(桜井線)を使って柳本、巻向(纏向)、三輪など山の辺の道周辺や、大和路線(関西本線)で王寺、三郷にも足を運んでいただきたいです。

奈良を好きになれば、再訪してくださいます。じわじわですが、私の周囲に奈良好きが増えてきています。皆さん勉強していますよ。私にアドバイスを求めに来られたり、日本橋まほろば館やJR東海等の各種セミナーに参加して奈良を知ろうとしています。そういう方は今ここにある奈良が好きで、変化は求めていません。商業施設が少なくてもそれが奈良だからと許容しています。京都みたいになったらいやだ。そうも仰います。

よく奈良と京都を比較して「奈良には華やかさがない、夜の楽しみがない」とおっしゃる方がいますが、一方で「奈良が京都みたいになってはつまらない」という人もたくさんいらっしゃいます。雅(みやび=都の美)の京都があって、俚(さとび=里の美)の奈良があります。「庭の京都」があって「仏像と建造物の奈良」があります。奈良がムリして京都のようになる必要はありませんね。

なお日本橋・三越前の「奈良まほろば館」では、本年10月からNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」のメンバーが交替で、90分の無料セミナーを実施します(隔月開催の予定)。10月は私の当番で、天誅組の話をします。改めてお知らせいたしますのでぜひ、お越しください。

世界から集まる観光客に優しい街づくりは、極端に言えば環境破壊につながる恐れがあると思います。たとえば、便が悪い明日香村に車で来てもらおうと道路を整備し駐車場を作るために、そこかしこにある古墳を含めた景観が破壊されています。

かつて車で竹内(葛城市)から三輪(桜井市)に向かった司馬遼太郎がこんなことを書いています。《大和盆地に降り、三輪明神まで車を走らせるあいだ、両側の建造物の乱雑さはすでに大和ではなくなりつつあった。都市郊外特有の猥雑な無秩序は田園を荒廃させつつあり「大和さびた」ところなどはどの視覚にもなくなろうとしていた。大和は、いまほろびようとしている》。司馬がこれを書いたのは、1966年(昭和41年)! 今から47年前のことなのです(日本読書新聞「大和竹ノ内」同年7/25付)。

観光客とそこで生活されていらっしゃる方の温度差があるのは当然ですが、どちらも世の中の動きに無理して合わせることはないと思います。それが正しいか正しくないかは別にして。奈良は奈良であり続けていただきたい。それが願いです。

奈良県は、常に「開発か保存か」の問いをつきつけられています。最近でも奈良ビブレ跡地活用のおりに「高さ規制を緩和して高層ホテルを」という声が出ていました。さらに「今の高さ規制全体を見直すべきだ」という声も。私はこれには反対です。こんなことをすれば、それこそ奈良は「高層マンション」だらけになります。「大和さびた」風景などは皆無となり、司馬が懸念したように、大和は滅びてしまいます。

「桜井」さんのコメントに対しては、すでに「あをによし南都」さんが、「奈良は奈良であり続ける」というコメントを書かれています。《「奈良は奈良であり続けていただきたい」とのお言葉、まさにその通りと実感しております。やや大げさですが、奈良は単に奈良の住民だけのものでなく、長い歴史を背負った国民全体の資産であり、国富と云えるかと。奈良時代だけでなくそれ以降の時代も常に国富が注ぎこまれ、とても地元だけで賄えるような規模でない文化財蓄積になっていることについて意識しないといけないでしょう。世界的な観点で奈良の何がユニークでこれからどう保全、維持していくべきか、行政も住民も大事な受託者責任を背負っていると思います》。

奈良は住民だけのものではなく「国民全体の資産」とは、全くお書きの通りです。開発は、景観や自然環境の保全に配慮しながら進めなければなりません。

先日、旧知のYさんから「良いコメントをたくさんいただいて、tetsudaさんは幸せ者ですね」というお電話をいただきました。本当に有り難いことです。奈良ファンの皆さん、これからもどんどんご意見をお願いいたします。
コメント (7)
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