tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の『霊山へ行こう』(10)あなたには、霊がついています!

2023年03月03日 | 田中利典師曰く
金峯山寺長臈(ちょうろう)田中利典師は以前、『霊山へ行こう』という対談本を準備されながら、上梓されなかった。利典師はその原稿(自らの発言)に大幅に加筆され、Facebookに17回にわたり連載された(2023.1.21~2.10)。心に響く良いお話ばかりなので、当ブログでも紹介させていただいている。
※トップ写真は大和郡山市・椿寿庵のツバキ(2010.2.6 撮影)

第10回のタイトルは「霊は誰でもついている」。アメリカ人やイタリア人に、「あなたに霊がついてます」と言っても信じない。しかし日本人なら、たいてい信じる。それは、日本人が共通して持っている心情なのだ。鈴木大拙いわく「この世は霊の世界で出来ている」。しかし「良い霊」がつくか「悪い霊」がつくかは先天的なものではなく、本人の心がけ次第である…。では師のFacebook(2/1付)から全文を抜粋する。

シリーズ「山人vs楽女/霊は誰でもついている」⑩
著作振り返りシリーズの第6弾は、実は校了まで行きながら上梓されなかった対談書籍の下書きの、私の発言部分を大幅に加筆してみました。内容はなかなか面白い。みなさまのご感想をお待ちしております。

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「霊は誰でもついている」
面白いと思うのはアメリカ人に「あなたに霊がついてます」と言ってもあまり誰も信じません。イタリア人に言っても信じません。でも日本人は案外信じる。

なぜかというと、三つ子の魂百までっていう諺どおり、これまで申し述べてきたような情と形、あるいはスピリチュアルなものっていうのを私たちはどこかで継承してるんです。

継承してるにもかかわらず、頭で勉強してきたことは論理的思考ばかりでしょ。今風の論理に凝り固まった人達にはそんなこと言っても本当は聞こえないんでしょうけども、ベースにはまだまだ日本的な情がありますから、ついのっかっちゃんですね。

ところがみんながみんなそうだったら、そんなことはしないけど、それを脅しに使うというのは、本来ならお天道様が見てござるとかといった神仏が前提にあるという、そういうことがどこかでこわれている。人をだませば罰も当たるし、自分に災いも来るし。

でも一方でそういうものをなくしている人にとっては、日本人の持っている霊に対する情緒的なところは金儲けの対象になってしまうわけです。だからいろんな詐欺話がまかり通ってしまう。はっきりいえば霊なんか、みんなついてますよ。

うちも祈祷寺ですから、子どもが不登校になったり、気が病んだ子を連れてくる親がいます。大概、「この子には霊がついている」と言ってほしそうな顔をするんです。

でも私は言うんですよね。「霊がついてると言うてほしかったらうちに来たらあかんよ、私は言わないよ」ってね。霊はみんなそれなりについてるのですが、でもそういう人はいろんな災いを霊にせいにしたり、人のせいにしたいから、そうやって頼ってくる。まあ、こんな風潮の現代社会ですからね、みんなそれなりになにか病んでますよ。別に霊のせいにしなくてもね。

今は人を迷わすへんな霊があることを前提にしゃべってるんですけどね。先ほどの霊魂の存在を認めないお坊さんの話に戻りますが、彼はこう言うんです。「霊がいることは証明出来ないじゃないか」と。

それを聞いて私は、「君おかしいんちゃうか」と答えます。「ここに空気があるやろ。空気はいまは証明出来るけど、千数百年前はここに空気があることを誰も証明出来なかった。霊があるのをいま証明できないと言うても、千年経ったらその時の科学で証明出来るかも知れないじゃないか。証明出来るからあるというのはそもそもがおかしな話なんだ」ってね。

これも今風の論理が作り出した考えです。あるないは別にして、見える見えないは別にして、みんな霊なんてついてるんです。霊が災いをするなら、その災いを受ける人もあるでしょう。でもそれを受けるのは霊のせいではなくて、災いを受ける自分のせいでなんだ。自分が変わることでよい霊がついたり、悪い霊がついたりすると、いうことを考えてほしい。

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最近、量子の世界に興味を持っていて、いろいろ知るとじつに面白いことがわかったきたのですが、もう20年も前から、同じようなことを言っていたことに、読み返して、自分で驚いています。鈴木大拙の「この世は霊の世界で出来ている」というのは間違いありません。この当時、まだ大拙の『日本的霊性』は読んでなかったんだ…。
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