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灌漑や鎮火の水神さまを祭る 丹生川上神社 中社(東吉野村)/毎日新聞「やまとの神さま」第50回

2023年07月14日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2023.7.6)掲載されたのは〈雨乞い、雨止めの神/丹生川上神社 中社(東吉野村)〉、執筆されたのは、同会会員で広陵町にお住まいの箕輪成記さんだった。
※トップ写真は高見川沿いに鎮座する丹生川上神社中社。鳥居越しに拝殿が見える=東吉野村小

丹生川上神社は上社(かみしゃ)、中社(なかしゃ)、下社(しもしゃ)と三社あり、水の神さまを祭るが、それぞれ少し性格が違う。中社の神さまは「罔象女神」(みずはのめのかみ or みつはのめのかみ)だ。

世界大百科事典によると、「日本神話にみえる神の名。水の女神」「ミは水,ツは格助詞,ハは〈早い〉の意。灌漑に用いられる水や火を鎮める水の霊能を神格化したもの。記紀神話では,伊弉冉(いざなみ)尊が火神を生み,病臥したとき,その尿に生まれた神とある」。なお文中の伊行吉(いいゆきよし)は、伊行末(いぎょうまつ)の長男である。では、記事全文を以下に紹介する。

正式名は「丹生(にう)川上神社」ですが、同神社の名を冠した上社(かみしゃ=川上村)や下社(しもしゃ=下市町)と区別するため、通称「中社(なかしゃ)」と呼ばれています。大正時代に「官幣大社(かんぺいたいしゃ)丹生川上神社」に改称する前は「蟻通(ありとおし)神社」という名称でした。

高見川沿いに鎮座し、祈雨(きう)・止雨(しう)の社(やしろ)として崇敬を受けています。主祭神の罔象女神坐像(みずはのめのかみざぞう=鎌倉時代)など20体(平安~鎌倉時代)が2022年、重文に指定されました。

像を祭るのが流造(ながれづくり)で桧皮葺(ひわだぶき)の本殿、東殿、西殿。柱や梁(はり)に極彩色が残り、欄間には花鳥が彫刻されており、往時の壮麗な様子がうかがえます。



これら2枚の写真は小川祭りの様子。ずいぶん以前に私が撮影した

本殿前の石灯籠は中国・宋人の名工、伊行吉(いいゆきよし)の1281(弘長4)年の制作で、重文に指定されており、東大寺法華堂の灯籠と並ぶ名作です。

当社は、763(天平宝字7)年に朝廷の求めで祈雨神事を初めて催し、奈良~室町時代に計96回の神事が行われたと伝わります。雨乞いには黒馬、雨止めには白馬か赤馬が献上され、神社に馬を奉ったことが、絵馬の起源とされています。



毎年10月には、当社最大の祭典「小川祭り」が行われます。村内から8台の太鼓台が境内を所狭しと競い合い、「喧嘩(けんか)祭り」とも呼ばれ、多くの観光客でにぎわいます。(奈良まほろばソムリエの会会員 箕輪成記)

(住所)東吉野村小(おむら)968
(交通)近鉄榛原駅からバスで東吉野村役場停留所まで約45分。同役場からコミュニティバスで蟻通停留所まで約10分(平日のみ)
(拝観)境内自由、駐車場有り
(電話)0746・42・0032


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