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境内に椎の原生林「志都美(しずみ)神社の社叢(しゃそう)」(香芝市)/毎日新聞「やまとの神さま」第52回

2023年07月24日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2023.7.20)掲載されたのは〈病気に霊験 清水の伝承/志都美神社(香芝市)〉、執筆されたのは同会理事で、香芝市在住の柏尾信尚さんだった。
※トップ写真は、志都美神社の拝殿=香芝市今泉で

志都美とは珍しい名前だが、「清水」が転じたという説や(かつて清水の湧く池があった)、「椎積み」から来ているという説がある(境内に椎の原生林がある)。

奈良県内の神社としては珍しく、FacebookおよびInstagramを開設されているし、昨年は拝殿の修繕や巫女神楽の存続のため、クラウドファンディングで資金を募られた(見事、目標額の350万円を達成された)。では、記事全文を紹介する。

志都美神社(香芝市)
志都美(しずみ)神社は香芝市の武烈天皇陵の南に鎮座し、「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載された古社。祭神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)はじめ3柱で、東側を太子道(たいしみち=斑鳩~大阪府太子町の太子葬送の道)が通っています。

社伝によると、813(弘仁4)年、藤原氏の一族である片岡氏が草創したとされます。かつては神仏習合思想に基づき境内に清水山明王院(きよみずさんみょうおういん)という真言宗の寺が建てられましたが、明治の神仏分離で廃寺になりました。現在も明王院という石灯籠(とうろう)が残っています。

境内には、かつて清水の湧く池があったといわれ、盲目の僧侶が目を洗い、霊験を得て見えるようになったという伝承があり、「清水(きよみず)八幡宮」「シズヒメ明神」とも呼ばれていたと伝わります。今も境内の手水鉢(ちょうずばち)などに「清水八幡」の刻印が見られます。現在の本殿は正面の柱間が三つある三間社流造(さんけんしゃながれづくり)で、江戸時代中期の建立と考えられます。

1880(明治13)年、コレラが大流行したとき、氏子の祈願で当地からは感染者が出なかったといい、感謝の気持ちを表した碑が本殿背後の石垣に奉納されています。神社の後方に広がる森にはシイを中心とした貴重な原始林が残っており「志都美神社の社叢(しゃそう)」として県の天然記念物に指定されています。(奈良まほろばソムリエの会会員 柏尾信尚)

(住 所)香芝市今泉582
(祭 神)天児屋根命(あめのこやねのみこと)、誉田別命(ほんだわけのみこと)、中筒之男命(なかつつのおのみこと)
(交 通)JR志都美駅から西へ徒歩約10分
(拝 観)境内自由
(駐車場)有
(電 話)0745・77・5069


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