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75段の階(きざはし)、谷間の水神さまを祭る丹生川上神社下社(下市町)/毎日新聞「やまとの神さま」第51回

2023年07月22日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2023.7.13)掲載されたのは〈「階」75段、絵馬発祥の社/丹生川上神社 下社(下市町)〉、執筆されたのは、同会会員で奈良市にお住まいの本井良明(もとい・よしあき)さんだった。
※トップ写真は、丹生川上神社 下社の拝殿(手前)と丹生山の本殿(奥)をつなぐ屋根付きの「階」=下市町長谷で

今回が丹生川上神社の最後となる。丹生川上神社は三社すべてが水の神さまを祭るが、それぞれ性格が異なると書いた。今回のご祭神・闇龗神(くらおかみのかみ)は、谷間の水の神さまである。境内には井戸「丹生の御食の井(みけのい)」があり、蛇口をひねるとご神水が出てくる(ただし水量は少ない)。この水は「いのちの水」とも呼ばれている。では、記事全文を紹介する。

丹生川上神社 下社(下市町)
神前に供える台「三方」や割箸などの木工製品で有名な下市町。中心部から大峰山に向かう丹生(にう)川沿い(旧丹生村)に丹生川上神社 下社(しもしゃ)は鎮座しています。正式名は丹生川上神社で、上社(かみしゃ=川上村)、中社(なかしゃ=東吉野村)と区別するため「下社」を付けて呼ばれます。

社伝などによると、丹生川上神社は675年に天武天皇により建立され、平安時代の「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に記載されました。室町時代後半から所在地が不明になりましたが、江戸時代に丹生大明神と呼ばれた現在の下社が有力地の一つに認められました。1952(昭和27)年には上社、中社、下社が別々の宗教法人として独立しました。

御祭神は闇龗神(くらおかみのかみ)という谷間の水の神で、境内にはご神水「丹生の御食(みけ)の井(い)」があります。拝殿と、後方の丹生山の本殿との間は、屋根が付いた75段の「階(きざはし)」(約30㍍、傾斜約30度)でつながる独特の造りです。

古くから朝廷より祈雨(きう)に黒馬が、祈晴(きせい)には白馬がそれぞれ献上されたことから「絵馬」発祥の社としても有名です。560年ぶりに2012年から境内で黒馬と白馬が飼育されています。丹生川から運び込まれ、奉納された産霊石(むすびいし)には、安産などのご利益があるとされています。(奈良まほろばソムリエの会会員 本井良明)

(住 所)下市町長谷(ながたに)1の1
(祭 神)闇龗神(くらおかみのかみ)
(交 通)近鉄下市口駅から笠木・洞川(どろがわ)温泉行きバスで「長谷」下車すぐ
(拝 観)境内自由
(駐車場)有り
(電 話)0747・58・0823


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