毎月1~2回、奈良新聞「明風清音」欄に投稿している。先週(2023.7.20)掲載されたのは「勝手に奈良県十大料理」で、これは面白い企画だったと自画自賛している。しかも当ブログやFacebookの読者の皆さんから、貴重なご意見もたくさんいただいた。おかげさまで、良いリストが完成した。これを超えるものは、現われないのではないか。では、以下に全文を紹介する。
※トップ写真は自家製の奈良茶飯。塩昆布も、ダシを取ったあとの昆布から作った(7/6撮影)
勝手に奈良県十大料理
私がSNSで勝手に募集していた「奈良県十大料理」が、このたびようやくまとまった。きっかけは、書店でチラ見した大阪検定の公式テキストブック『大阪の教科書 上級編』(創元社刊)だった。そこには「大阪十大料理」として、てっちり、大阪ずし、うどん、ウナギまむしなどがリストアップされていた(なお大阪検定は、2022年度をもって終了した)。
「おお、これは面白い。しかし奈良でも、これはできるのではないか」とひらめいた。何しろ奈良は「日本の食文化の発祥地」とも言われているのだ。早速、私のブログ「どっぷり!奈良漬」とフェイスブックで呼びかけた。それを半月ほどかけてまとめたのが以下の10品である(すべて同率1位)。
▼奈良県産手延べそうめん
〈そうめん作りに必要なことは①水が良く、②質の良い小麦粉がとれ、③胡麻油・綿実油(めんじつゆ)が得やすく、④冬の冷え込みが厳しく、乾燥に適していること〉(たべもの起源事典「そうめん」)。これらの条件に適う桜井市、吉野郡、山辺郡などでは、細くてコシがあり、ゆで伸びしない手延べそうめんが作られている。
▼大和の茶粥・奈良茶飯
「大和の茶粥、京都の白粥、河内のどろ食い」という言葉がある。大和の茶粥は、香りが高くてさらっとしているのが特徴だ。それに対し河内の茶粥は、泥のように固いといわれる。奈良茶飯は、米と煎った大豆をほうじ茶で炊き上げる。
▼色ご飯(炊き込みご飯)
春にはタケノコや山菜、秋にはマツタケなどのキノコと、四季折々の具材を入れて炊く。
大淀町のご家庭で手作りされた青葉の柿の葉ずし。1日経ってちょうど食べ頃!(6/7撮影)
▼柿の葉ずし・朴の葉ずし
吉野川の流域では、川開きなど夏の祭事にあわせて柿の葉ずしを自宅で作る。もう少し南(奥大和)では、朴(ほお)の大きな葉で包む。
▼めはりずし
山仕事の弁当として、吉野郡などで作られた。高菜や春まなの漬物でご飯を包む。名前の由来は「目を見張るように大きく口を開けるから」「目を見張るほど美味しいから」など。
▼鮎ずし・鮎の姿ずし
吉野川などの鮎(アユ)を使った鮎ずしは、吉野郡の郷土料理だ。文楽・歌舞伎の『義経千本桜』三段目「すしやの段」に釣瓶鮓屋(つるべすしや)が登場することで、広く知られている。
▼飛鳥鍋
鶏肉や野菜を牛乳とだし汁で煮込んだ郷土料理。飛鳥時代に唐から来た使者が乳製品を伝え、孝徳天皇へ献上したところ大変喜ばれ、乳牛が宮中で飼育されるようになった。これが日本における牛乳飲用のはじまりといわれる。
▼ぼたん鍋(しし鍋)
県南部などで収獲された猪(イノシシ)の肉を使った鍋物。猪肉には特有の臭みがあるので、ゴボウ、ネギ、水菜、菊菜などの香味野菜を多く入れ、薬味にショウガ、粉山椒などを使い、味噌で煮込む。寒い冬の夜、ぼたん鍋を食べると体が芯から温まる。
▼かしわ(鶏肉)のすき焼き
関西では食用の鶏肉を「かしわ」と呼ぶ。かしわのすき焼きは、ハレの日のごちそうとして食べられてきた。締めに、そうめんを入れるお家もある。
▼ご当地ラーメン
県下には、天理スタミナ系ラーメンをはじめ、富雄(奈良市)のラーメン、王寺町のラーメンなど、美味しくて個性豊かなラーメン店が目白押しだ。ミシュランガイドに掲載された店や、カップ麺や半生麺として広く売り出されているものもある。
さて奈良県十大料理、いががだったろうか。いつか「十大料理食べ比べ」などの催物ができないかと密かにたくらんでいるところだ。
※トップ写真は自家製の奈良茶飯。塩昆布も、ダシを取ったあとの昆布から作った(7/6撮影)
勝手に奈良県十大料理
私がSNSで勝手に募集していた「奈良県十大料理」が、このたびようやくまとまった。きっかけは、書店でチラ見した大阪検定の公式テキストブック『大阪の教科書 上級編』(創元社刊)だった。そこには「大阪十大料理」として、てっちり、大阪ずし、うどん、ウナギまむしなどがリストアップされていた(なお大阪検定は、2022年度をもって終了した)。
「おお、これは面白い。しかし奈良でも、これはできるのではないか」とひらめいた。何しろ奈良は「日本の食文化の発祥地」とも言われているのだ。早速、私のブログ「どっぷり!奈良漬」とフェイスブックで呼びかけた。それを半月ほどかけてまとめたのが以下の10品である(すべて同率1位)。
▼奈良県産手延べそうめん
〈そうめん作りに必要なことは①水が良く、②質の良い小麦粉がとれ、③胡麻油・綿実油(めんじつゆ)が得やすく、④冬の冷え込みが厳しく、乾燥に適していること〉(たべもの起源事典「そうめん」)。これらの条件に適う桜井市、吉野郡、山辺郡などでは、細くてコシがあり、ゆで伸びしない手延べそうめんが作られている。
▼大和の茶粥・奈良茶飯
「大和の茶粥、京都の白粥、河内のどろ食い」という言葉がある。大和の茶粥は、香りが高くてさらっとしているのが特徴だ。それに対し河内の茶粥は、泥のように固いといわれる。奈良茶飯は、米と煎った大豆をほうじ茶で炊き上げる。
▼色ご飯(炊き込みご飯)
春にはタケノコや山菜、秋にはマツタケなどのキノコと、四季折々の具材を入れて炊く。
大淀町のご家庭で手作りされた青葉の柿の葉ずし。1日経ってちょうど食べ頃!(6/7撮影)
▼柿の葉ずし・朴の葉ずし
吉野川の流域では、川開きなど夏の祭事にあわせて柿の葉ずしを自宅で作る。もう少し南(奥大和)では、朴(ほお)の大きな葉で包む。
▼めはりずし
山仕事の弁当として、吉野郡などで作られた。高菜や春まなの漬物でご飯を包む。名前の由来は「目を見張るように大きく口を開けるから」「目を見張るほど美味しいから」など。
▼鮎ずし・鮎の姿ずし
吉野川などの鮎(アユ)を使った鮎ずしは、吉野郡の郷土料理だ。文楽・歌舞伎の『義経千本桜』三段目「すしやの段」に釣瓶鮓屋(つるべすしや)が登場することで、広く知られている。
▼飛鳥鍋
鶏肉や野菜を牛乳とだし汁で煮込んだ郷土料理。飛鳥時代に唐から来た使者が乳製品を伝え、孝徳天皇へ献上したところ大変喜ばれ、乳牛が宮中で飼育されるようになった。これが日本における牛乳飲用のはじまりといわれる。
▼ぼたん鍋(しし鍋)
県南部などで収獲された猪(イノシシ)の肉を使った鍋物。猪肉には特有の臭みがあるので、ゴボウ、ネギ、水菜、菊菜などの香味野菜を多く入れ、薬味にショウガ、粉山椒などを使い、味噌で煮込む。寒い冬の夜、ぼたん鍋を食べると体が芯から温まる。
▼かしわ(鶏肉)のすき焼き
関西では食用の鶏肉を「かしわ」と呼ぶ。かしわのすき焼きは、ハレの日のごちそうとして食べられてきた。締めに、そうめんを入れるお家もある。
▼ご当地ラーメン
県下には、天理スタミナ系ラーメンをはじめ、富雄(奈良市)のラーメン、王寺町のラーメンなど、美味しくて個性豊かなラーメン店が目白押しだ。ミシュランガイドに掲載された店や、カップ麺や半生麺として広く売り出されているものもある。
さて奈良県十大料理、いががだったろうか。いつか「十大料理食べ比べ」などの催物ができないかと密かにたくらんでいるところだ。
これからも頑張って情報発信に努めます!
いつも素晴らしい記事ありがとうございます。
これからも楽しみにしています。