カワニナは卵胎生なので極小のカワニナの姿で生れてくる。今か今かと待ち望んでいた稚貝をついに2匹発見した。サカマキガイは見付け次第排除してきたのだが、やつらの卵塊はいたる所にあっていつの間にか大発生する。そいつらかと思ったのだが虫眼鏡で確認した。私は稚貝のわかる男になった。
吸盤足もちゃんとある。サカマキガイとは区別できる丸くて薄茶色の足だ。巻きもしっかりきれいだ。そのチビカワニナを最大カワニナが吸盤足で踏んづけてしまっていた。窒息はしないだろうとは思いつつ少し心配した。でも数分後には外れていた。生きた心地がしなかった最初の試練であったかも知れないなどと、どうも擬人法の見方をしてしまう。吸盤に稚貝の型が一箇所残っている。その場所でしばらく留まっていたから凹んでしまったのだ。自然界にいたらきっと色んな型が付くのだろう。
カワニナにはどうも交尾という字はあてにくい。尾は貝殻の中なのではないかという感じがするからだ。吸盤足でぶちゅっとやり合ったら見た目にセクシーだろうが、そういうことはしないようだ。交接時間は長い。おそらく数十分は燃え上がっている。紅い気を発しているように見える。背景のいたずらだけれど。
蓋もベレー帽みたいでおしゃれにくっつけているし、どこでどう交接するのかと思うが、腕のようなものを片方が出して差し入れていた。黒っぽい方がオスで赤っぽい方がメスだ。やはりオスが言い寄る格好。
カワニナはぶくぶくの泡に当たるのも好んでいるように見える。自然の川ならもっと流れも泡も当然あるだろう。そんな記憶をたどっているように見えるくつろぎのひと時。全くの偶然でマンガのような画像が撮れた。
左の大きいのは殻長4センチ強の大物。ネットで見ると『4~5センチになるものもある』とあったから、何とか5センチ突破を目指したい。石灰質とかカルシュウムをやる必要があるのだろうか?この水槽には、この大物が1匹と右側の2センチ前後が3匹と2ミリ程の稚貝が2匹(+α)だ。ヒメタニシのオスも1匹いる。こいつらはこの水槽の酸素濃度計だ。
カワニナにも好奇心があるのではないかと思うことがある。面白がって何を喰うのかと色々試して与えるので、自然界にいる何倍も喰うことには満たされているはずだ。
本当はガラス壁面の苔取りしてくれるのではないかと捕ってきたのだが、苔なんか目じゃないだろう。それでかどうか、ゆっくりではあるが水槽全体を活発に動き回る。ぶくぶくのホースに登ったり、水草に登ったり、たまに底の砂利に体半分もぐったりする。温度計を登るのも好きみたいだ。
カワニナは水底を歩くときも、ガラス面を這い上がるときもしゃくるような動きをする。吸盤足のある前部が先行して伸びてから、殻を引っぱる。伸び縮みをして前進するのだ。ガラス壁面から突然水底に落ちることがよくある。吸盤足をゆるめてしまったのか、降りるんだから吸盤の力をゆるめたらラチがあくというわけなのかわからない。
サカマキガイの場合はしばしば2匹から4匹で絡まりあいガラス壁を移動する場面を見る。乗られた方が嫌がって振り落とそうとするような動きをしたり、乗る方は器用にひょいと殻を浮かせて跳び乗るようなことをするのだが、カワニナの場合は動きがゆっくりなので、意志が見えない。
偶然なのかフェロモンに引かれてなのか、いずれにせよ飼っているからといってガラス壁のどこそこに吸い付かせるということは出来ない。吸盤足を使ってくっ付いている場所は彼らの意思なのだ。
カワニナは泥の中を這いずり回るイメージがあるので、あまり奇麗でない環境でも平気だという感じを持っていた。しかし飼ってみるとどうも違う。水槽のエアを暫く止めて置くと、必ずガラスを這い登って水面から少し顔(?)を出した状態でいる。
酸素不足には弱いようだ。ぶくぶくをしている時は、底を這いずり回り餌を見つけたら貼りついてしばらく動かない。ふかしたサツマイモのヘタが好物だ。ジャコも食べる。チクワは大好物のようだ。