庭に置いてる手造り水槽の中の水草を取り出した時にプラナリアを発見した。生物の授業で習ったことがあったのか何かでおぼろげな記憶があってピンときた。小さな容器に入れて観察するとなかなかに面白い。長くなると1センチ程に伸びるのだが、縮んだり反り返ったりヒルのように体は自在だ。頭というのか何なのか先がスルメイカのように三角で、よ~く観ると上に目がちゃんと二つある。前方にあるというより上に付いている。
平べったくて体の周囲は半透明だが中身は赤みがかって見える。何かが詰まっている感じではない。これがどう千切っても元通りに再生するという生き物なのだ。手足や尻尾が再生するというのではなく、手からでも体が再生してしまうという不気味さ。そんな人間の出てくる小説を読んだことがあった。
ネットで少し調べたら、よい条件でないと切り分けたら再生するどころか溶けてしまうと書いてあった。しょっちゅう水を換えてやって餌には生レバーをやって増やすなどと書いてあるのもあった。
ところが飼ってると言えないほったらかし状態で、ウチの水槽ではプラナリアが大増殖している。メダカ2種、淡水エビ3種、ハゼ、ウグイ、サワガニ、ヤゴ3種、カワニナ、タニシ、プラナリアなど飼うものが増えて、小さいプラスチック虫かご、百均たらい、海苔のびん、市販水槽、手作り水槽などなど容器が20個近くになってしまっているのだが、その内の半分位にはプラナリアが居る。
最初に見つけて小さなプラケースに入れた一匹は3ヶ月程でいつのまにか10匹以上になっている。まだ詳しくは調べていないのだが、雌雄があるわけではなく分裂して殖えていくらしい。どうりで1匹でも殖えるわけだ。
水が綺麗でないといけないようなことが書いてあるがそうとは思われない。先日クロメダカの水槽に入れている水草のオオカナダモが伸びて大きくなったので他の水槽に分けようとを取り出して板の上に置いていた時のことだ。ほかの事をしてから、板の上を見て驚いた。プラナリアがびっしりと板の上をうごめいていた。
食卓上に置いている水槽の一つにミナミヌマエビを入れているのだが、その壁面に1センチに満たない糸のような白いものが付いている。ブクブクをしていると少しだけだが、止めてしばらくしたらびっしりと貼りついて動き回る。
ミズミミズだと思っていて、以前は確かにミズミミズだったのだが、近頃動きが違うようだなと感じて虫眼鏡でみたら、なんと全部細いけれどプラナリアなのだった。不思議なことにいつの間にかミズミミズがプラナリアにすりかわっていた。
ミズミミズを喰ってくれないかとヒメダカを入れてみたこともあったのだが、ミナミヌマエビが抱卵したのでヒメダカは他所に移した。稚エビが食われるかも知れないと恐れての事。
それまでに多少は効果があったのか、それともエビがミミズを食い尽くしたのか、ミズミミズがプラナリアに化けた。形はそっくりなのだが動き方が違う。ミズミミズは輪を作ったり糸がからまるように固まったりして、壁面には付いているように見えるだけで付かず離れずなのだが、プラナリアはへばりついて常に這いずり回っている。これはエビが食わないのかなどと疑問は増すばかり。
中のミナミヌマエビは今6匹が抱卵中だ。思わず『ヤ~レン抱卵、抱卵・・・妊娠したかとカモメに聞けば、わたしゃ飛ぶ鳥、卵で産み落とす・・・(字余り)』などと私はちかごろハイである。ミナミヌマエビは産んだ卵を満腹に抱えて孵化まで育てるのだ。水の中では浮力が働いて、鳥と違い身軽になる必要がない。
夏に三重県は美杉の雲出(くもず)川から連れてきた内の1匹が抱卵していて、その繁殖がうまくいき、10匹だったのが何十匹にも増えた。飽和状態になった水槽での繁殖はもう駄目かも知れない。前にヒメダカは移したのだが、卵を投げ入れておいたヤツが孵化して又ヒメの稚魚が何匹もいる。
抱卵したエビたちは、しきりに満腹の卵に新鮮な水を送るパフパフを繰り返しているのでその労に報いたい。2ヶ月程前には1匹の抱卵メスだけを別水槽に隔離して死なせてしまう失敗をした。その前には、卵をボロボロこぼすメスがいて、それも駄目だった。プラナリアはそのままでいいのか、どうしたらいいのか・・・あまり調べもせずに一人思い煩う今日この頃。
プラナリアは撮影しようと小さい容器に入れると、いっときもじっとしていない。なかなか上手く撮れない。私の小さいデジカメでもマニュアルにすれば撮れるのかどうか、説明書を精読する気が起きなくて不鮮明にしか撮れない。三角頭と目は薄っすらと判る。色は黒っぽいのや赤っぽいのがいる。
そろそろプラナリアもちょん切り実験をしてみようと思う。何しろ飼っているというつもりの生き物としてなら、プラナリアがウチでは最多数だ。ゴマンといる。五万以上だ。もしこれが水から出るようになったら恐ろしい。何とか水の中だけの王国であって欲しいなどと空想したりもするのである。