エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

 布引高原の風力発電

2010-05-04 | 日々の生活

 昔、タケノコ採りに何回か行った布引山へ行った。ジダケとかネマガリダケと呼んでいるが、クマザサのタケノコである。
採取は5月末、昨日は、かつての教え子W君から招待され、今は高原野菜よりも有名になった布引高原の風力発電所を案内してもらった。
 卒業後一度会っているが、それからもう20年以上の歳月が流れていた。連休で家族で里がえりをしたW君に再会した。
布引山のふもとの赤津の実家にはご両親二人でお住まいで、毎年欠かさず年賀状をいただいていた。
かすかな記憶を頼りに、大きな熊谷ナンバーの車のとまるお宅にたどり着いた。
いつかは、布引山でのタケノコ採りの帰りに、子供たちを連れてお邪魔したこともあった。
 W君と奥さん、それにお子さん二人での里帰り、一泊して昨日のうちに帰るとのことだった。忙しい時間を割いて、連絡をいただきお言葉に甘えた。
 なつかしい話を交わすことができた。
 早速、W君の車に妻と一緒に乗せてもらい、はじめて見る風力発電の布引高原を目指した。W君一家とご両親も同行してくれた。峠の途中に、国の天然記念物の「赤津のカツラ」の大木が見事だった。



あのタケノコ採りから、今、数十年の時が流れ、当時はどのあたりを歩いたのかも見当もつかなかったが、展望台から360度の眺めを楽しんだ。
まだ、枯れ草のところどころに積雪があり、荒涼とした、でも春を迎えた高原のすがすがしい雰囲気を楽しむことができた。
少し春霞があったが、磐梯山と猪苗代湖をはるかに望む高原に33基の風力発電の巨大なプロペラが静かに回っていた。実に壮観だった。
 北に磐梯山、南に那須連山を望める高原の中央部には、駐車場が設けられ、いくつかの店で農産物が売られていた。










 そのころは想像すらしなかったこの国内最大の風力発電は年間発生電力量が約12,500万kWhで、一般家庭約35,000世帯分の年間消費電力量に相当するという。
 予備であろうか、プロペラの3枚の羽が高原の片隅に置かれていた。全長30メートルもある羽をあの曲がりくねった峠道を運ぶのはいかに大変だったことだろう。
お父さんから、これらがトラックで運ばれる時の様子をお聞きした。



 今、40を超えた教え子がその子供たちを連れて、私を案内してくれるという時の流れを思った。何回かお会いしていたご両親も、昔と変わらず元気にされていた。
ご両親が、彼の在校中に、私が3年間書いた学級通信を見せてくれた。色あせた沢山のプリントに、自分の若かりしころの日々がよみがえって、目頭が熱くなった。
 布引山から戻り、お昼を御馳走になった。お餅をついてくれた。あんこ餅と、タケノコ汁の雑煮をおいしく頂いた。また、帰りには、つきたてのお餅、コゴミやシイタケ、漬物、タケノコやあんこの缶詰めと、珍しいもの沢山いただいた。そのお気持が有難かった。
忙しいせっかくの連休の貴重な時間に、妻と二人で、心からのもてなしを受けてしまった。
また逢う日まで、W君一家、御両親の健康を祈ってお別れをした。

 今朝、昨日の思い出の写真をコピーして、W君に礼状を書いた。