朝から春の暖かい陽気に、時間を忘れて庭のかたずけ、混んだ木々の剪定をした。
午後、何となく疲れが出て、昼食を済ませのんびりして過ごした。

3時を回って、風も穏やかになったので、里山へ出かけた。例年この時期に現れるホソミオツネントンボの鮮やかな空色を見たいと思い立ったのだ。今年は時期がだいぶ遅れ、今か今かと待っていたのだ。
多少体調も心配だと、妻も付いていくという。日曜日で、夕飯の心配はいらない、娘にお願いすることにしたらしい。。
ポイントへ行くと、付近は田植えの真っ最中だった。田植え中の田んぼに、ちょうど逆さ磐梯を見ることができた。
すでに午後4時に近かく、山の端が陰りはじめていた。でも、気温も高く、西日の当る枯れ草の土手に、オツネントンボがいっぱいいた。近づくと舞い上がり、すぐに止まるオツネントンボをクローズアップレンズで、近づいて撮った。
一頭、珍しいオツネントンボに出会った。レンズを通して見る胸の模様が違っていた。
そのトンボは、別の種類ではないかと思われるほどで、オツネントンボに特有の胸部側面の横筋がなかった。何かうろこ状の金属片をはり合わせたような模様だった。また、はねの先端付近にある縁紋は、前翅・後翅で重ならず前後に並ぶオツネントンボの特徴だったが、腹節の紋様はつながっていないようだった。そして色から、ホソミオツネントンボでもなかった。
オツネンは「越年」から来ている。成虫で越冬するトンボは、オツネントンボ、ホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボの3種がある。
オツネントンボは雄も雌も地味な褐色で色が変化することはない。早春のまだ緑の萌えない茶褐色の原野の保護色になっているからだろう。長い冬を耐え、これから、交尾、産卵し役目を終えるオツネントンボを何枚も写した。




(参考) ホソミオツネントンボ(2009.5.9撮)
畔に寝転びながらの撮影中、妻は付近で出始めていたワラビを一つかみ採った。自分で採るワラビは今年初めてだった。蕗もひとつかみ採った。伸びきった蕗の薹の綿毛が何とも言えずきれいだった。
近くのサワオグルマにはべニシジミやトラフシジミが蜜を吸いに訪れていた。




帰りに、別のポイントに回り、少し増えてきたヒメシロチョウを観察した。ヒメシロチョウは激減していると言われるが、食草のツルフジバカマが少ないのではと思っていた。後で調べるとカラスノエンドウも食べるようで、大丈夫ではないかと思ったりした。



越冬したルリタテハが、ようやく訪れた春の陽を楽しむように飛んでいた。同じところを仲間と追いかけっこしたり、夕日をいっぱい浴びながら止まったりしていた。
越冬した羽は痛んでいたが、あの瑠璃色はまだまだ新鮮に輝いてこの上なく美しかった。



帰りに、リンゴ園の前を通るとリンゴの花が満開だった。

夕方の1時間30分の山里巡りは、これ以上ないリッチな時間だった。
これからの季節、こんなリッチな生活が続くだろうが、こんなことをしていていいのだろうか。
(20010.5.16)