何日ぶりの雨降りだろうか。多少肌寒かったが、終日、網戸越しに雨の庭を眺めながら過ごした。
マッサージチェアに横たわり毛布を膝にかけ、本棚から選んできた適当な本を斜め読みした。
南からの風雨が揺らす緑の木々をぼんやりと眺めていた。
パン屑をちぎって庭に撒くと、すぐにヒヨドリが飛んでくる。
”ヒヨドリと眼が合い心通じ合い”
実に可愛いものだ。
満開の白のキリシマツツジが清楚に見える。
ミヤコワスレの紫色も今日の雨にとても似合っていた。また、紫の桐の花が地面に沢山落ちて雨にぬれていた。

エビネも咲きだした。

雨に打たれるヒメウツギ

雨に似合うミヤコワスレ

燃える赤ツツジ
ようやく萌え始めたサルスベリの若葉が赤い。
見回すとトウカエデや豊後梅の梢の新芽もほのかに赤っぽい。

芽ぶいたサルスベリ
ついこの前まで萌黄色とは、萌木色と勝手に判断していた。そして、淡い多少赤みがかった薄緑色の春の野山を想像していた。
Wikipediaには「萌黄(もえぎ、萌葱)とは鮮やかな黄緑色系統の色。春に萌え出る草の芽をあらわす色」とあった。
また、サイト「日本伝統色名」には、「萌え出た若葉のような、冴えた黄緑色を言う。萌木とも書き、若草色とも呼ばれる。」と。
茜色、紅色、桜色、山吹色、紅梅色、萌葱色と、日本人の文化の歴史や生活が反映された伝統的な和色名に、あらためて興味を抱いた。
ふと、志村ふくみの『一色一生』を思い浮かべ、本棚を探した。
雨の日は、山里の虫たち観察の誘惑にかられることなく、落ち着いた時間が流れるのが常だ。
他愛もないことを思いめぐらしながら、今日もゆったりとときが流れていった。
