■ 建築トランプ、後半のスタートです。
「代官山ヒルサイドテラス」はあの辺一体の地主だった朝倉家の「良質な生活環境の創出を」という願いを受けて槇文彦さんが30年以上もかけてじっくり創ってきた街です。ひとりの建築家がこれほど長い間、同じクライアントと関わりながらひとつの街を創り続けてきたということは極めて稀、幸運な事例でしょうね。
以前にも書きましたが代官山ヒルサイドテラスの魅力、それは公的な(街に開かれた)空間と私的な空間のヒューマンなスケールとそれらの巧みな構成。建築相互を関係付ける「リンケージ」という概念によって創出されるまとまりのあるグループフォーム(群造形)ということでした。
混沌とした東京にあってこの街の秩序はまさに奇跡、このような空間が周辺にも広がっていけばいいなと思っていましたが、残念ながらそうはいかなかったようです。
先週の土曜日、ここを久しぶりに訪ねてみましたが、早朝のためまだ街が活動を始めていませんでした。建築のデザインは時の流れと共に少しずつ変わってきていますが、変わらないこの街の上品で知的な雰囲気、それはやはり設計者の都会的でオシャレなセンスの反映でしょうね。