「播隆上人」 松本駅東口広場
■ この像の後方に設置されている石碑には槍ヶ岳開山の祖 播隆上人(1782年---1840年)は幾多の苦難をのりこえ1828年に槍ヶ岳登頂を極めた
日本アルプスの命名者の英人ガウランドの登頂に先だつこと50年、まさに近代アルピニズムの黎明を開く不滅の業績を残した
ここに岳都松本の駅頭にその像を建立し偉業を永く讃える とあります。
この像の作者が長野県朝日村出身の彫刻家上條俊介です。
■「国の中央に立つ」松本市役所
■「東天紅」 今井小学校
■「でいらぼっちゃ」 朝日小学校
■「あすを拓く」 朝日村中央公民館
■「春の祭典」 朝日美術館
■ 朝日美術館と「播隆上人」
これらの彫刻の他にもあがたの森の「蒼穹」や美ヶ原頂上にある美しの塔の「山本俊一胸像」などここ松本平を中心として何点もの作品があります。
彫刻に関心がなければ松本駅前の播隆上人像すら気がつかないかもしれません。ましてその作者にまで関心が及ぶことなど無いかもしれません。
上條俊介(1899~1980)は長野県朝日村に生まれ、松本中学(現・松本深志高校)を卒業後早稲田大学に進学。卒業後北村西望(長崎平和記念像の作者)に師事。日展を始めいくつもの展覧会に作品を発表し続け、前述のように郷里にもいくつかの作品を残しました。晩年は心のやすらぎを求めてでしょうか、仏像なども手掛けています。「播隆上人」の制作に上條俊介は10年の歳月を費やし、完成(1979年)の翌年、81歳で亡くなりました。この最高傑作を遺して。
上條俊介を顕彰して計画された朝日美術館は今年開館5周年を迎えました。美術館では現在「線と彫刻」展が開催されています。それに合わせて『線と彫刻--- 上條俊介の生涯---』が刊行されました。
地方の美術館はどこも入館者が少なく運営が困難だと聞きます。この美術館も例外ではないでしょう。厳しい財政、支出の縮減対象として真っ先に挙げられるのが「文化的事業」です。このような施設は批難もされます。「文化」など不要というわけですね。このようなこの国の現状はやはり残念です。このような状況下、この事業を実施した朝日村に拍手です。中央の大きな美術館の展覧会にばかり関心が向きがちですが、地方の小美術館でも興味深い展覧会が開催されます。
新緑の季節、地方の美術館巡りを! 新たな美の発見を!