北側(道路側)外観
■ 安曇野市内にあるかつて養蚕に使われていた繭蔵。木造3階建て、明治27年建設。路上観察、敷地内観察、さらに内部観察もさせていただきました。
1階部分の外壁は下見板張り、上部の土壁には突き出し窓が市松模様に配置されています。鉄板の突き出し窓を開けたり閉めたり、さらに開放する角度を変えて風通しを調整したそうです。市松模様に窓を配置したのは風通しを自在に調整するための工夫なんですね。
南側外観
南側には下屋が付いていますが上部は北側同様に窓が市松模様に配置されています。
蔵の持ち主の方にお願いして内部を見せていただきました(内部の写真は載せないでおきます)。5間×7間の大きな蔵です。2本の通し柱が棟木を支えています。棟木は継ぎ手なしの1本もの。桁行方向7間ですからその長さは約13mです。クレーンなどの重機が無い時代のことですから建て方も大変だったでしょうね。
この蔵は県外で再生の計画があるそうです。再生されたら是非見学に行きたいと思います。
■ 白馬村佐野坂の蔵
そうか、蔵の外側の柱って雪囲いのためにあるのか・・・。北安曇郡白馬村で目にした蔵を観察しました。雪囲いは春になると外してしまうのでしょうが、この蔵には残っていました。近づいて囲いの内側を観察。柱に貫を通して、その外側に縦胴縁を打ち付けて板を張って雪囲いの完成。
柱は登り梁を先端で支えて積雪荷重を負担すると共に雪囲いを取り付ける下地の役目もしているんですね。 豪雪地ならではの工夫です。
松本辺りでは軒の部分の屋根下地は垂木だけですが、ここ白馬や小谷では登り梁を軒の先端まで持ち出して母屋を載せています。これも雪に備えて軒先を丈夫にするための工夫です。
所変わればデザイン変わる。だから民家は面白い。