透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

繰り返しの美学 千手観音立像群

2009-04-02 | B 繰り返しの美学



■ 雑誌「ブルータス」の最新号は仏像特集。くだけた文章で仏像について解説してるが、なかなか内容が濃い。是非手元に置いておきたい。

三十三間堂の千手観音立像の写真が**造れば造るほど功徳が増える。ブツゾウを造って極楽へ行こう! 春の極楽浄土キャンペーン実施中です。**という上手いコピーと共に載っている。

1001体もの仏像が規則的に並ぶ様は壮観。繰り返しの美学! 

平安時代の人たちも繰り返しに美を感じていたにちがいない。


 


立体写真の載っている小説

2009-04-02 | A あれこれ

 先日馬籠宿まで出かけたとき同行者のMさんは立体写真の撮れるカメラを持参していた。プリントした写真を専用眼鏡で見ると、すごい。立体的に見える。桃介橋は遠近感が実にリアル。


立体写真を見る専用眼鏡

安部公房の小説『方舟さくら丸』新潮文庫にこの立体写真のことが出てくることを思い出した。

**突然としか言いようがない唐突さで、低いところが遠ざかり、高いところがせり出してくる。ただの遠近感ではなく、実物模型がそこにあるとしか思えない。** と立体写真について書いているがまさにその通り。

安部公房は写真が好きだったようで、小説にもよく写真が載っている。

安部公房・・・、もう過去の作家か。若い人は名前すら知らないかもしれない。作品はフランスなど海外で高く評価され、最もノーベル文学賞に近い日本人作家と目されていたのに。

この作品も既に絶版かも、と思って調べてみると大丈夫だった。いくらなんでもこの傑作を絶版にするはずがない(でもいつも行く市内の書店にはこの本は無い)。

手元の文庫本は製本がばらけてしまった。再読するのに図書館で借りるのもたまにはいいか・・・。