■ 早や4月。先月読んだ本のレビュー。
『犬のしっぽを撫でながら』小川洋子/集英社文庫
先週末東京したとき、丸の内オアゾの丸善で買い求めた。単行本で書店に平積みされていたとき、手にして気になっていた本。電車の中は読書に集中できる。都内を移動する地下鉄などで読了。
川上弘美さんはエッセイ集『なんとなくな日々』のあとがきで小説家にはなりたかったが、小説家はエッセイも書かなくてはならないから、なんだかなりたくないなあ、と矛盾した思いを長い年月いだきつづけていたそうだ。が、小説の雰囲気に似たいいエッセイを書いている。
小川洋子さんのこのエッセイ集では創作過程が綴られていて興味深い。やはり彼女の小説と雰囲気が似ている。真面目な人に違いない。文章からそんな印象を受ける。
『奈良の寺』奈良文化財研究所編/岩波新書
この新書はブログでは取り上げなかった。執筆者が45人と多い。それだけ総花的な印象を受けた。
**将来新技術が開発されて謎が解き明かされる日がくるかもしれません。**
**この問題の本格的な研究はこれからです。今後解明すべき課題でしょう。**
**今は非破壊分析法が発達しています。いずれ調査結果が出るものと期待しています。**
最後に今後の課題を示しておくことが、研究論文の基本的なスタイルなのかもしれないが、上のような結語が続くのはやはり物足りない。
北品川の原美術館、カフェダールにて
『風土 人間学的考察』 和辻哲郎/岩波文庫。
今や古典的名著。なぜ今この本を再読しているのかは、別の機会に。