徹底的に閉じている。■ JR高円寺駅から中野駅方面に高架に沿って徒歩で5分。「座・高円寺」は外に開く(外の景色を館内に取り込む)ことができるようなロケーションにはない。その意味で伊東さんがサーカスのテント小屋のようなデザインを選択したことは正解だったと思う。
雑誌ではストレートな説明を伊東さんはしてはいないが本音のところは「ここじゃ開けない・・・」ということだったのではないか。
「まつもと市民芸術館」のあわあわなガラスを埋め込んだGRC壁もおそらく同様の理由ではなかったか(プロポーザル段階では、ガラスの大きな開口が構想されていたが、途中で変更されている)と推察する。
所用で東京に出掛けた。用事を済ませてから「座・高円寺」に行ってみた。
エントランスホールや2階のカフェの壁は草間弥生なドットの世界。手摺壁にまでドットを施す徹底振り。
このドットのイメージソースはやはり諏訪湖にあるのだろうか・・・。
テントがつくる曲面そのものの天井。高さ制限という法的な制約をクリアするためだったということだが、上手いなと思う。ただ、階段で2階に上がって、唐突にこの空間になっているのには一瞬戸惑った。まつもと市民芸術館2階のレストラン井(せい)も同様の構成だが、やはり戸惑う。やはり空間的に仕切られていないと落ち着かないのだ。
狭小でロケーションがよくない敷地を上手く生かしてしまう手腕はさすが。