■ 今年の6月に木材活用推進協議会の主催で「木の魅力を拡げる」というテーマのシンポジウムが東京の建築会館ホールで行われた(シンポジウムは2005年からほぼ年1回のペースで行われている)。この冊子にはシンポジウムで行われた中村勉さんの講演「木でつくる2050年ゼロカーボン社会」が収録されている。昨日読んだ。以下備忘録。
地球温暖化や資源枯渇という人為的な地球環境問題に対処するために「自立した小さな環境世界をつくる」という基本理念が示される。そのための有効な方策として都市のコンパクト化、建築の木造化が提言され、具体例を示しながら説明がなされている。
建物のLCCO2(ライフサイクルCO2排出量)は木造の場合RC造の約1/3だという。だが、制度や法規制が建築の木造化を阻んでいる。そのような状況で、創意工夫して取り組んだ学校や集合住宅、老人ホームなどの建築の木造化の事例がカラー写真と共に紹介されている。
丹沢の里山に建つ「七沢希望の丘初等学校」。敷地内の大木を伐らないようにクネクネとした平面で計画されている。内部は木造の架構がそのまま表しにされ、魅力的な空間になっている。
構造や内装に関する制限が緩和されれば建築の木造化がもっと促進されるかもしれない。が、現行の法規制の中でも様々なことが可能だということを示した密度の濃い講演。