透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

御柱展@馬場家住宅

2012-01-08 | B 石神・石仏



国の重要文化財に指定されている馬場家住宅(松本市内田)



 馬場家住宅で開催中の「松本平・安曇野の御柱展」を見てきました。

ポスターに床の間に飾ったオンベ(左側)とソバ(右側)の写真が載っていますが、これは松本市内田北花見(きたけみ)の御柱のものです。展示パネルの説明文によると北花見講の講中27戸の人たちが1月14日の昼過ぎに地区の公民館に集まって、オンベとソバ(*1)をつくるそうです。それを床の間に飾り、神事を行ってから御柱に飾り付け、その日のうちに立てるそうです。この御柱は20日の早朝、日の出前に倒されて、飾りは皆が持ち帰って魔除けとして玄関などに飾るそうです。

同僚に三郷北小倉の御柱のことを聞きましたが、北小倉では元日未明に子どもたちが集落内を回って大人たちを集め、初日が昇るころまでに立てるそうです。7日の早朝に御柱を倒すそうですが、これを「寝せ御柱」というそうです。御柱を飾っていた御幣(オンベ)を子どもたちが各戸に配って回り、同時に松飾りと1年前の御幣を集めて、同日のどんど焼き(同僚は三九郎ではなく、どんど焼きと言ってました)で焼くそうです。

展示されている各地の御柱の写真、当然のことながら、それぞれデザインが違っていて興味深く見ました。全部で29ヶ所の御柱が紹介されていましたが、こんなにあることを知りませんでした。立てられる期間が短く、また目立たないところの御柱も多いのでしょう(松本市梓川上野花見の御柱を見に行ったのですが、探すことができませんでした)。

このような伝統的な行事を絶やすことなく継続していくためには、まず多くの人が関心を持つこと、それから文化財に指定するなどして行政もバックアップすることが必要なのではないかと思います。

年の始めに道祖神の周りを火祭り(三九郎)で清めると共に神様を送り、御柱を立てて新たな年の神様を道祖神に招く・・・。毎年この行事を繰り返して来たんですね~(*2)

**御柱はどうやら三九郎(正月飾りやだるまなどを焼いて無病息災を願う伝統行事)や道祖神と関係のある祭りらしいのですが、詳しいことは分かりません。** 以前このブログにこのように書きましたが(過去ログ)、前述のような理解をすることができました。

*1 「ヤナギ」、「イナホ」と呼ぶところもあるそうです。 
*2 火祭りと御柱はそれぞれ別の行事であって、両者は無関係という見解もあるそうです。


論文「道祖神の柱立てと火祭りとの関係」を送ってくれた友人に謝意を表します。


「居場所の社会学」

2012-01-08 | A 読書日記


『居場所の社会学 生きづらさを越えて』  阿部真大/日本経済新聞社

 予定通りこの年末年始の休みに『楡家の人びと』北杜夫/新潮文庫の上巻を読み終えた。他にも数冊読んだが、この本もその内の1冊。

家庭で学校で職場でサークルで地域社会で・・・、あらゆる社会的領域で問題になる「居場所」が無いという問題。 いかに居場所をつくるかというテーマを社会学する。

まあ、「和して同ぜず」という論語(だったっけ)に示されている生き方をすればいいのだろうが、小人には難しい・・・。聖徳太子の「十七条の憲法」のコンセプトというか、基本理念の「和を以て貴しとなす」を実践すればいいのだけれど、どの領域においても難しい・・・。本を読みながらこんなことを考えた。

もっとも居場所の問題というのはどの領域のことであれ、全てその領域に関る個人に帰着するというわけでもない。例えば登校拒否は学校という組織の問題でもあり、職場の中に自分の居場所が無いというのは会社という組織の問題でもあるわけで・・・。

正月のアルコール漬けの脳みそでは、きちんと読むことができなかった・・・。