透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「鉄道でゆく凸凹地形の旅」

2014-06-25 | A 読書日記


『鉄道でゆく凸凹地形の旅』 今尾恵介/朝日新書

 世の中に地図好き、マップラバーは多い。この本の著者の略歴には地図研究家、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査とあるから、単なる地図好きではなく地図マニアの域にある人だろう。

地図マニアにもいろんなタイプがある。どうやら著者は「地図上の鉄道」マニヤ、らしい・・・。この本には鉄道曲線や勾配の話がしばしば出てくる。

地図マニアならば、地図を眺めていればその土地の風景が目に浮かび、更に加えて鉄道マニアなら、地図上の鉄道を旅することができるのだろう。本書はそのようなマニアにはたまらない1冊。


 


「銀二貫」

2014-06-25 | A 読書日記

  

 『銀二貫』 高田郁/幻冬舎時代小説文庫 この時代小説を先日読んだ。

**思えば、自分は偶然の出会いによって、今日まで生かされてきた。仇討の場で斬り殺されるところを和助に救われた。同じ丁稚として出会った梅吉は、恐らく生涯を通じての大切な友となるだろう。天神橋の上で巡り逢った真帆、その父親の嘉平、二人に寒天の世界を広げてもらった。半兵衛に出会うことで糸寒天が生まれた。あれほど自分を忌み嫌っていた善次郎が、今は信頼を寄せてくれている。そうしたこと全てが、今は偶然というよりも、天の配剤に思えた。**(268頁)

この引用部分から物語の輪郭がおぼろげながら浮かんでくると思う。(*1)

人情物語、恋物語。そして涙もろい私には心に沁みる涙物語だった。

プレゼントされなければ、読む機会はなかっただろう。Mさんに感謝。


*1 ウィキペディアにあらすじが載っています。