透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

平沢の諏訪神社

2015-03-07 | C 狛犬


拝殿

木曽平沢の集落の北の端に諏訪神社がある。朱と黒の懸魚は何だか和ではないような意匠。



本殿 朱と黒の格子戸 和のデザインではあるけれど、見慣れない意匠。

       

本殿を守る狛犬 台座に刻まれた文字で昭和11年建立だと知る。狛犬ではそれ程古くはない、新しい部類に入る(たぶん)。



モダンな印象の美しい蔵 神社内での役割とか名称は分からない・・・。


 


木曽平沢の街並み

2015-03-07 | B 繰り返しの美学

■ 重要伝統的建造物群保存地区は昨年末(平成26年12月10日)現在、全国で109箇所選定されているという。

岐阜県白川村の合掌造民家の集落、飛騨高山の町屋の街並み、川越の蔵造の商家町、京都美山町の茅葺き民家の集落などをはじめ、よく知られた保存地区が全国各地にある。

長野県内では中山道の宿場の妻籠宿(南木曽町)や奈良井宿(塩尻市)などがよく知られていている。同じ中山道の漆工町平沢(現塩尻市、旧楢川村)も平成18年7月に重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された(ことを実は知らなかった、と正直に書く)。



今日(7日)、初めて平沢の街並みを観察した。平沢は生物の教科書に出てきそうな形(って何の?)をしている。みかんの房に喩えれば形が具体的にイメージできるだろう、できないか・・・。この形は奈良井川の大きく湾曲した河川敷に発達したことに因る。





この2枚の写真で中山道に対して建物が雁行していることが分かる。これは地割(敷地分割)が中山道に直角ではないことに因る。中山道も湾曲しているから敷地を直交させると形が矩形にならない。

パンフレットによると寛政2年の大火の後、尾張藩に3尺のセットバックを命じられたことにより、建物と道路(中山道)との間に台形の空地が出来、この部分をアガモチと呼ぶという。この配置こそ平沢の街並みの特徴だろう、こんな雁行配置は初めて見た。同じ街道沿いの中山宿(塩尻市)でも見られるそうだが。

街道沿いの街並みはどこもゆるやかに秩序付けられていて、繰り返しの美学が魅力だ。そう、伝統的保存地区の魅力は繰り返しの美学に他ならない。











軒を支える腕木とその下の持送りに見られた繰り返しの美学。垂木や腕木、持送りの小口を白く塗装され、繰り返しが視覚的に強調されている。



登録有形文化財の建物 街道に面した町屋の主屋 昭和初期の状態が保持されているのだそうだ。 敷地前面の三角形の空地アガモチ。



主屋の後ろの中庭を介して配置された塗蔵(左)とホウゾウ蔵と地元で呼ばれる収納蔵(右) ホウゾウは宝蔵か。



塗蔵の開口部 湿度と温度を一定に保てる蔵は漆塗の作業に適しているという。

平沢の街並みの魅力は観光地化されていなくて、カフェやどこの観光地でも売っているような土産物を並べた店などがなく、リアルな生活感があることだ。漆器が今も平沢の主産業として保持されていることがその理由だろう。街並みがタイトに秩序付けられていないので映画のセットのような違和感が無いところも好ましい。



出し桁で2階をせり出し、さらに軒桁をせり出している。このように側面からにるとそのことがよく分かる。 


文化庁のホームページに載っている重要伝統的建造物群保存地区の選定基準(昭和50年11月20日文部省告示第157号)。

伝統的建造物群保存地区を形成している区域のうち次の各号の一に該当するもの。ちなみに平沢は(二)に該当するとのこと。

(一) 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
(二) 伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
(三) 伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの