■ 『日本全国 獅子・狛犬ものがたり』 上杉千郷/戎光祥出版 なかなかおもしろそうな本を見つけた。知らない出版社だが、えびすこうしょうしゅっぱん と売上カードにルビがふってある。
狛犬について分かりやすく書かれた本だ。この教科書的な本を読んで狛犬に関する基礎的な知識を得れば、狛犬の見え方が変わってくるだろう・・・。いままで見えなかったものが見えてくるかもしれない。
既に書いた喩えだが、星座に関する知識がなければ、満天の星をみても星座は見えず、ただ星がランダムに散らばっているとしか見えない。
狛犬についても然り。狛犬について知れば、姿・形の細部の違いが見えてくるだろう。
章立てを書いておこう。
第1章 一歩近づいてみる獅子・狛犬
第2章 獅子、東へ走る
第3章 狛犬はこうして生まれた
第4章 官から民へ、変身する狛犬たち
第5章 日本全国・狛犬めぐり
第6章 シーサーと世界の獅子
第7章 〝獅子舞〟小ばなし
第1章に獬豸(かいち)という中国の想像上の猛獣が図とともに紹介されている。先日見た和田の西善寺の涅槃図には、この獬豸によく似た動物が描かれていた。
**この獣は頭に一角を持ち、人が闘うところを見れば邪悪なほうに挑み、人の論を聞けば不正のほうを噛む、正邪を分かつ獣であるとされています。この獬豸の持つ性質が邪悪を祓う狛犬と重ね合わされ、獬豸の持つ角が狛犬にもつけられたということです。**(25頁) このような知識を得てから狛犬を見れば、頭部に角を探すようになるだろう。
**「狛犬」の「狛」は、広く異国のもの、エキゾチックなものという意に解釈するべきだと思われます。**(64頁)