■ 正月2日、善光寺初詣の帰りに松本駅近くの書店・丸善に立ち寄った。
年越し本の『江戸の都市力 地形と経済で読みとく』鈴木浩三/ちくま新書の再読を終え、今年初めて買い求めた本は『生命デザイン学入門』小川(西萩)葉子・太田邦史/岩波ジュニア新書。タイトルに惹かれて読みたいと思った。
この本の章立ては次の通り。
第1章 生命からデザインを学ぶ
第2章 微生物が超生命体をデザインする
第3章 コミュニケーション空間をデザインする
第4章 空気と雰囲気をデザインする
第5章 予測手法をデザインする
第6章 最適化アルゴリズムをデザインする
終章 生きている社会、そのながめ方・つくり方
ものづくりの分野で注目されている「バイオミメティクス(生体模倣)」手法の適用範囲を様々な分野にまで拡張した「生命デザイン学」について解説した本。バイオミメティクスはバイオミミクリー(過去ログ)という概念を発展させたものだと、この本の「はじめに」書かれている。
第2章で取り上げられている内容が私には特に興味深かった。
ヒトの体内の常在菌は宿主であるヒトの恒常性を維持する役割を果たしていること。そして常在菌叢の異常がさまざまな病気の原因となるということから、**ヒトはヒトゲノム(先天・遺伝要因)と常在菌叢の総体ゲノムであるマイクロバイオーム(後天要因)からなる「超生命体」である、という概念が提唱されています。**(36頁) この件を読んで、ヒトをこのように捉える生命観があることを知り、地球をひとつの生命体だとする捉え方もあることを思い出した。
第2章では腸内細菌叢と病気との関係について、消化器系の病気だけでなく、肥満や糖尿病、更にアレルギーやぜんそく、自閉症などとも関係があることが明らかになってきたことも取り上げられている。腸内細菌叢は神経系の病気とも関係しているのか・・・。
知らないことを知ることは楽しい。今年も読書のメインは安価な新書になるだろう。
細菌叢の「叢」という漢字は叢書ということばを知っていたから読めた。難読漢字だと思う(のは僕だけかな・・・)。