信濃毎日新聞190107付朝刊 7面
■ 今朝の新聞に「生物模倣で新技術」という見出しの記事が載っていた。生物模倣(バイオミメティクス)については先日『生命デザイン学入門』岩波ジュニア新書で読んだばかりで、この記事に目がいった。
カワセミのくちばしを模して新幹線の先頭車両がデザインされたこと、すごく細い蚊の針(口吻)を模して痛みをほとんど感じない注射針が開発されたことなど、生物模倣の実例をいくつか知っていたが、この記事で紹介されている、セミの羽を模してつくられた新素材(抗菌素材)のことは知らなかった。
緑膿菌や黄色ブドウ球菌をセミの羽の表面に塗りつけると短時間で死滅することが、オーストラリアの研究チームによって明らかにされたという。
なぜ?
セミやトンボなどの昆虫の羽の表面には微小な突起が無数に並んでいる。(そうなんだ、知らなかった。)シリコン基板を加工して、5千分の1ミリほどの高さの突起(記事では柱となっている)が規則正しく並ぶ新素材をつくりクマゼミの羽の表面構造を再現し、大腸菌をくっつけると、10~20分ほどでほとんどが死んだという。
なぜ?
大腸菌はこの細かい突起につかまって動けなくなり、細胞膜が破れて内部のタンパク質が流れ出して死んでしまうらしい、と記事にある。
なるほど!
この研究を進めている関西大の伊藤健教授の**「低コストで効果が長持ちするのも利点。病室の床や壁、トイレやお風呂などに応用できそうだ」**というコメントが載っている。
やはり神様(造物主)のデザインはすごい。