■ 昨年の11月に『情報生産者になる』上野千鶴子/ちくま新書を読んだ。研究テーマの設定方法、研究の進め方、研究論文の書き方・プレゼン・書籍化の方法について、長年の幅広い経験を基に説く「上野式研究及び論文マニュアル」だ。
『中高生からの論文入門』小笠原喜康 片岡則夫/講談社現代新書を読んだ。『情報生産者になる』の類書と言えなくもないが、本書は書名の通り、論文を初めて書く中高生のための入門書。勉強になることも少なくなかった。例えばこんな基本的なことも。国立情報学研究所が提供しているCiNii(*1)、これをサイニーと読むということを今まで知らなかった(私はシニーと読んでいた)。
第3章3節「研究の土台づくり」では論文の基礎を固める項目として
①定義(〇〇とはなにか)
②起源(〇〇はどのようにしてはじまったのか)
③歴史(〇〇にはどのような道のりがあったのか)
④分類(〇〇にはどのような種類や区別があるのか)
⑤現状(〇〇はいまどうなっているのか)
以上を挙げている。
これを今準備中の「火の見櫓っておもしろい」に当て嵌めてみて、火の見櫓の定義、火の見櫓の起源、火の見櫓の歴史、火の見櫓の分類、火の見櫓の現状と、①から⑤まですべてについて書いていることを確認した。別に論文を書いているわけではないが、やはりこれらの基本的な項目について落とすわけにはいかない。また、第5章の「論文作成のルール」に書かれている基本的なことについても改めて確認しておきたい。
幅広の帯に**学校の探求学習、卒業論文、新・大学入試対策にも最適!**とあるが、本書によると、2021年から大学入試が大きく変わり、これまでのような小論文ではなく、本格的な(かどうかはわからないが)長い論文をパソコンで書かせられるそうだ。探求力・構築力・表現力がこれからは入試でも求められるということか。
*1 私が関わった研究論文の概要をCiNiiで今でも閲覧できる。ン十年前のあの頃が懐かしい。