透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝カフェで小松左京を読む

2019-01-29 | A 読書日記


今年は縦フレの写真を多用しようと思う。

■ 行きつけの書店の新潮文庫のコーナーで小松左京の『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』を見つけ、買い求めた。このところ続けて新書を読んでいたから、文庫は久しぶりだ。

**万国博を貿易振興の道具程度にしか考えていなかった官僚に対して、小松は「人類全体のよりよい明日」を掲げ、ときに怒りながら、理念と言葉の大切さを熱く説いたのだ。このとき、小松左京は35歳であった。**(11頁)

新潮文庫編集部によって書かれた「はじめに」の上掲の引用箇所を読んで、思わず「え~、35歳」と声に出してしまった。やはり小松左京という作家はすごい人だったんだ、と改めて思った。

この本は二部構成になっていて第一部が「やぶれかぶれ青春記」、第二部が「大阪万博奮闘記」だが、どちらも興味深い。


 


「中高生からの論文入門」

2019-01-29 | A 読書日記

 昨年の11月に『情報生産者になる』上野千鶴子/ちくま新書を読んだ。研究テーマの設定方法、研究の進め方、研究論文の書き方・プレゼン・書籍化の方法について、長年の幅広い経験を基に説く「上野式研究及び論文マニュアル」だ。



『中高生からの論文入門』小笠原喜康 片岡則夫/講談社現代新書を読んだ。『情報生産者になる』の類書と言えなくもないが、本書は書名の通り、論文を初めて書く中高生のための入門書。勉強になることも少なくなかった。例えばこんな基本的なことも。国立情報学研究所が提供しているCiNii(*1)、これをサイニーと読むということを今まで知らなかった(私はシニーと読んでいた)。

第3章3節「研究の土台づくり」では論文の基礎を固める項目として
①定義(〇〇とはなにか)
②起源(〇〇はどのようにしてはじまったのか)
③歴史(〇〇にはどのような道のりがあったのか)
④分類(〇〇にはどのような種類や区別があるのか)
⑤現状(〇〇はいまどうなっているのか)

以上を挙げている。

これを今準備中の「火の見櫓っておもしろい」に当て嵌めてみて、火の見櫓の定義、火の見櫓の起源、火の見櫓の歴史、火の見櫓の分類、火の見櫓の現状と、①から⑤まですべてについて書いていることを確認した。別に論文を書いているわけではないが、やはりこれらの基本的な項目について落とすわけにはいかない。また、第5章の「論文作成のルール」に書かれている基本的なことについても改めて確認しておきたい。

幅広の帯に**学校の探求学習、卒業論文、新・大学入試対策にも最適!**とあるが、本書によると、2021年から大学入試が大きく変わり、これまでのような小論文ではなく、本格的な(かどうかはわからないが)長い論文をパソコンで書かせられるそうだ。探求力・構築力・表現力がこれからは入試でも求められるということか。


 *1 私が関わった研究論文の概要をCiNiiで今でも閲覧できる。ン十年前のあの頃が懐かしい。