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■ 作家・山本茂実は大竹しのぶが主演した映画「あゝ野麦峠」の原作者として有名だが、私の書棚に並ぶのは『喜作新道』(角川文庫1978年)だ。
カバー折り返しの本作品紹介文から引く。
**日本アルプスの山々が、まだ荒々しい大自然の掟に支配され、カモシカや熊を追って、命知らずの〈鉄砲撃ち〉が山奥深くに分け入っていた大正のころ――今はアルプス銀座と呼ばれてにぎわう槍ヶ岳への道を独力で切り拓いた猟師がいた。その名は小林喜作。(中略)アルプスの盟主として君臨したこの山の巨人も、ある日ナダレに巻き込まれて謎の死を遂げた・・・。
著者は、綿密な取材活動を通じて“人間”喜作とその死の真相を描くことにより、当時の社会のひずみとその底辺に生きる赤裸々な人間の姿を浮き彫りにすることに成功した。
推理的手法で描いた第一級の文芸ノンフィクション!**
この本を1978年の8月12日に買い求め、翌13日に読了している。この作品は是非とも再読したい。
文庫本に関しては、新たに買い求めるのではなく、書棚に残したものを再読していきたい。