透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「古事記」

2020-06-27 | H ぼくはこんな本を読んできた

 自室の書棚にある『古事記』は以下の3冊。

『古事記 附現代語訳』武田祐吉訳註(角川文庫1956年初版発行 1975年41刷発行)
『古事記(上)』全訳注 次田真幸(講談社学術文庫1977年第1刷発行 2007年第54刷発行)
『古事記』橋本 治(講談社2009年第1刷発行 2011年第3刷発行)

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712年(和銅4年)に太安萬侶の稿により成った最古の古典。

ここに橋本 治氏の『古事記』のカバー裏面の紹介文から引く。**日本にまだ固有の文字がなかった八世紀初頭に成立した『古事記』は、漢字の音と訓を利用して、神話や古くからの言い伝えを書き表した日本最古の書物である。国の成り立ちを説いた歴史の書にとどまらず、古代の人々の想像力にみちた豊かな文学性を感じさせる。(中略)ここには日本人の心と行動のすべての原初の姿を見つけることができる。**


 


「俘虜記」大岡昇平

2020-06-27 | H ぼくはこんな本を読んできた

 外出自粛中のネタ切れ対策として「ぼくはこんな本を読んできた」を始めた。書棚に残した文庫本を載せていく、ただそれだけのことだ。

今までこれらの文庫本を恣意的に載せてきたかというと、そうでもない。亀井勝一郎を載せた後、松本清張を挟んで江藤 淳を載せた。ならば、次は小林秀雄だな、と考えた。で、今回は『俘虜記』大岡昇平(新潮文庫1998年53刷)を載せるが、このことに明確な意図はない。

1,400冊あった文庫本、今は250冊。「読んでおきたい教科書的な本」というようなリストに載りそうなものを残したことが分かる。なんとなくそのように意識していたのかもしれない。『俘虜記』もそのようなリスト、そう300冊くらいのリストに載りそうな小説だ。

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カバー裏面の本書紹介文を載せる。**著者の太平洋戦争従軍体験に基づく連作小説。冒頭の『捉まるまで』の、なぜ自分は米兵を殺さなかったのかという感情の、異常に平静かつ精密な分析と、続編の俘虜収容所を戦後における日本社会の縮図とみた文明批評からなる。乾いた明晰さをもつ文体を用い、孤独という真空状態における人間のエゴティスムを凝視した点で、いわゆる戦争小説とは根本的に異なる作品である。**

記事を書き始めてから本書の解説を読んで、大岡昇平は小林秀雄に勧められてこの小説を書いたことが分かった。それからふたりが友人だったことも。