透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「生態学入門」梅棹忠夫/吉良竜夫 編

2020-06-15 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『生態学入門』梅棹忠夫/吉良竜夫 編(講談社学術文庫1976年第1刷)

 ぼくは生態学に興味があり、こんな本を1977年10月に読んでいた。

カバー裏面の本書紹介文を載せる。

**科学技術文明の急速な浸透はさまざまなところで人間と自然の調和に蹉跌を生じている。公害や自然災害はいったい何に起因するのだろうか。生物科学と社会・文化科学を架橋すべく脚光を浴びて登場した生態学は今日必須科学の一つであり、地球規模での視点が要求される今日、真の生態学的知識が必要であろう。本書はそうした要請に応えるべく生態学の基本用語を項目別に記述し参考文献を付した、斯界第一人者の手になる入門書の白眉である。**


 


植物の「屈性」

2020-06-15 | A あれこれ

 植物の生長には「屈性」と呼ばれる性質がある。例えば植物は光の刺激を受容して生長する方向を変化させる。光のある方向に植物が生長する「光屈性」だ。


撮影日2020.06.15早朝 東(写真右側)の窓から入る朝の光を受けている。

自宅のリビングに置いた観葉植物でしばらく前から光屈性を確認する「実験」をしている。実験などと書くと大げさだが、鉢の向きを変えてしまうという簡単なことをして、このことを確認しているというわけ。

記録しなかったので、いつ頃変えたか分からないが(実験としては失格)、180度鉢の向きを変えたところ、その後は写真右側(東側)に窓があるので、生長しながら光が入る右側へ向きを変えている。もう少しこのままにして、また180度向きを変えてもう一度確認してみたい。

*****

『建築雑誌』の2020年6月号には「建築と生物学の接点」という特集が組まれていて、興味深い記事が掲載されているが、「なぜ今、植物学と建築学が協働するのか?」という記事は屈性にも話題が及んでいる。記事には「重力屈性」即ち重力に抗って植物が身体を起き上がらせる性質を示す写真が載っている。

記事には植物が触れた金網や柵を樹皮で覆って飲み込んでしまう現象(この現象を街なかで見かけることがある)を利用してスチールやガラスなどを飲みこませ、ハイブリッドな建築をつくろうとしていることなども紹介されている。鉄筋コンクリート造は鉄筋をコンクリートに飲みこませて造る建築と捉えることもできるが、スチールを木に飲みこませて建築を造るというわけだ。

記事を読んで想像を膨らませた。

植物は例えば幹についた傷を自己修復する。もし建築にも同じことが可能ならコンクリート壁表面のクラックも自己修復、なんてことができるかもしれない、いやいくら何でも無理か・・・。重力屈性を応用すれば不同沈下して傾きそうになっても修正してもとに戻してしまう建築だってできる? できないか・・・。

やはり自然は人工に優る、ということかな・・・。