透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓のある風景を描く

2020-06-21 | A 火の見櫓のある風景を描く

 上伊那郡辰野町の横川地区は横川川沿いに集落が点在している。谷あいの川沿いに連なる集落ではその地形的な条件から必然的に「道路山水」的風景が見られる。横川も例外ではない。道路の両側の家屋や庭木などで遠近感が強調され、そこに火の見櫓が立つ魅力的な風景が何か所も見られる。



今日(21日)、長い外出自粛を解いて横川へスケッチに出かけた。描いたのはこの写真の風景。魅力的な「道路山水」風景だ。ただしスケッチするのは難しい。背景の山を遠景として扱い、表現を省略するには近すぎる。中景の針葉樹の連なりをどう描くか・・・。その後方に連なる山の色をどうするか。道路が直線ではないから道路沿いの民家の向きがそれぞれ違う。道路は右に曲がってブロック塀に隠されて見えなくなっているが、その道路から白壁の蔵に至る幅広の上り坂が伸びている。複雑な構図だ。この風景を例によって鉛筆で下描きをしないで、ペンで線描する。そう一発勝負。線描にはいつもより時間がかかり、9時過ぎに始めて終わったのが10時半ころだった。いつもはその場で着色までして完成させてしまうが、今日は自宅に帰ってから着色した。


火の見櫓のある風景 上伊那郡辰野町横川にて

時間をかけて正確にそして細密に描写することをぼくは好まない。旅行先でササっとスケッチできたらいいなと思っている。いつかそんなスケッチ旅がしたい。


 


「古寺巡礼」和辻哲郎

2020-06-21 | H ぼくはこんな本を読んできた

「ぼくはこんな本を読んできた」 このカテゴリーでは先日の減冊(過去ログ)でおよそ250冊になった文庫本を取り上げています。

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『古寺巡礼』和辻哲郎(岩波文庫1979年第1刷)

 ぼくはこの本を1979年の4月に当時住んでいた国立市の東西書店(*1)で買い求めている。本の発行が3月だから、その直後ということになる。『古寺巡礼』は、しばらく前に取り上げた谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』と共に建築を学ぶ者の必読書であった。

この文庫にはパラフィン紙のカバーがあったが、いつの間にかなくなってしまった。カバーのおかげできれいな状態が保たれていた。

**和辻哲郎は直観力に優れた人だったと思う。『風土』そして『古寺巡礼』を読んでそう思った。和辻は文化的事象を観察することでその背景にある抽象的で曖昧模糊とした風土を読み取った。それは論理的な思考ではなく、直観力によってのみ可能だったと思う。**(2009.07.07の記事より)



巻末に記した購入日、購入書店のメモ

*1 東西書店についてネット検索したところ、2015年の8月31日に閉店したという記事が見つかった。

そうか・・・、何だか寂しい。


「濹東綺譚」永井荷風

2020-06-21 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『濹東綺譚』永井荷風(岩波文庫1993年改版第49刷) 

 永井荷風の作品は若い時に読んでもその内容というか、魅力を充分味わうことができないかもしれない。『濹東綺譚』は荷風の代表作の一つだが、還暦近く(58歳)になって書かれた作品だ。ぼくも荷風の作品を味わうことができる年齢になった(年齢だけかな)。

これからは荷風の作品を読みたいと思う。 書店では荷風を探したい。その前に『濹東綺譚』の再読か。併せて荷風研究の第一人者である川本三郎さんの著書も読みたい。