透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓の屋根に蕨手があるのはなぜ?

2022-09-14 | A 火の見櫓っておもしろい




山梨県富士吉田市上吉田の火の見櫓の脚を潜る神輿(過去ログ


灯籠 富山県高岡市の勝興寺にて

 火の見櫓の屋根の蕨手(わらびて)は何のために付けられているのだろう・・・。「特に意味はなく、単なる飾り」ではなさそうな気がする。蕨手は祭り神輿や神社仏閣の灯籠にも付けられているから、なおさら何か意味がありそうだ。

NHKのテレビ番組「チコちゃんに叱られる」で座布団の隅に房があるのはなぜ? が放送された(9月9日)。座布団の4隅の房には中の綿がずれないようにするという実用的な意味の他に、「邪気を祓う」意味があるとのことだった。房は卓上ほうきに形が似ている。大相撲の土俵の上の吊屋根の房にも同じ意味があるという。これはよく分かる。

番組を見ていて、蕨手にも同じ意味があるのではないかと思った。蕨手は名前が示す通り山菜の蕨をモチーフにしたデザイン。早蕨はこれからどんどん生長する元気なもの。そう、蕨手はみなぎる生命力の象徴なのだ。元気なものに邪気は取り憑きにくいといわれる。

双体道祖神には熱々な男神と女神の姿が彫られている。熱々カップルにも疫病神は取り憑きにくいといわれている(過去ログ)。『道祖神』降旗勝次編(鹿島出版会1981年)には次のような記述がある。**道祖の神々に官能的な姿態をとらせ、生命力の旺盛さを強調し、それによって悪霊などの外敵の侵入を防ごうとした人たちの心根は微笑ましい。**(182頁 太文字化 筆者)

蕨手が持つ意味をネット検索したが見つからなかった。で、ここで唱えてしまおう。火の見櫓の蕨手には厄除け、災害除けの意味がある、と。


追記:これは眉唾な珍説ではなく、案外当たっているかもしれないと勝手に思っている。