透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

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2022-10-25 | A 火の見櫓っておもしろい



 フェイスブックを始めたのは2019年の秋に自費出版した『あ、火の見櫓!』を宣伝しようという不純(?)な動機からでした。

現在は上掲した記事のように夫婦の会話形式で各地の火の見櫓を紹介しています。毎週土曜日の朝、記事をアップすることにしています。フェイスブックも閲覧していただければ幸いです。

火の見櫓広報担当(って何?)からのお願いです。


 


「国立代々木競技場と丹下健三」

2022-10-25 | A 読書日記


『国立代々木競技場と丹下健三』豊川斎赫(TOTO建築叢書2021年)

 サブタイトルに「成長の時代の象徴から、成熟の時代の象徴へ」とあるように、国立代々木競技場は完成後ずっと時代を象徴する建築であり続けている。

丹下健三の建築は遠景の建築だと思う。都市の中のシンボリックな存在として魅力があるのであり、間近で見るディテールに魅力があるわけではない。多くの丹下作品の中でも、この意味において国立代々木競技場は代表作だ。

先日(16日)、日帰り東京した際、丸善でこの本を見つけて迷うことなく買い求めた。建築関連書籍は総じて定価が高いが、この本は1,760円(税込み)と安い。

昨日(24日)朝カフェ(いつものスタバ)でこの本を読んだ。分かりやすいテーマ毎に章立てされていて読みやすかった。

第1章では、1964年に開催された前回の東京オリンピックの競技会場として設計・建設された「代々木競技場」がその後どのように使われてきたのか、朝日新聞の紙面から関連記事をピックアップして分類整理して、その移り変わりを示している。

第2章、丹下健三の代表作である広島平和記念公園計画(陳列館など)や旧東京都庁舎、香川県庁舎、東京カテドラル、山梨文化会館(以上全て見学した)などを取り上げて丹下建築について論じている。

第3章、代々木競技場の建設地の変遷を明治期から辿っている。


第4章、代々木競技場の設計・建設プロセスの紹介。本書で一番興味深く読んだ章。設計期間が短いのにも関わらず、未知の架構はじめ、新しい試みを続けた設計チームの奮闘に感動。当時はCADもなく、構造解析の基本的な手法は今と変わらないのかもしれないが、あの平面形状、屋根の曲面を思うと大変だったことだろう(過去ログ)。そして施工、これまた工期延長ができない状況で変更、変更、繰り返される設計変更に対応しながらの工事は大変だっただろう。

第5章、代々木競技場竣工後の維持管理について。地盤沈下、雨漏り、壁のクラック、アスベスト等々への対応、耐震補強にバリアフリー化。

代々木競技場を凌ぐ現代建築は未だ出現していない(というのが僕の見解)。