透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

予備知識 要不要

2023-04-23 | A あれこれ

 毎週日曜日の朝9時からEテレで放送される「日曜美術館」を今日(23日)随分久しぶりに見た。「集合!明治以降の重要文化財 一度は見たことのある傑作の秘められた物語」を新聞のテレビ欄で目にして、東京国立近代美術館で現在開催中(会期:3月17日~5月14日)の「重要文化財の秘密」が取り上げられることが分かった。

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さて、芸術鑑賞の際の予備知識の要不要について。

ただ作品の前に立って、自身の美的感性で鑑賞すればよい。美術鑑賞に予備知識は不要、まっさらな状態で鑑賞することが望ましいと言われることもある。反対に予備知識は必要で、知識があるからこそ、味わえることがある、予備知識はノイズにはならないと言われることもある。

どっちだろう・・・。判じかねる。常に必要、常に不要ということではなく、知識(情報)の内容にもよるとしか言いようがない。ただ作品そのものの直接的な解説は不要だ。


「鮭」高橋由一

番組で取り上げられた「鮭」は1967年に油絵で初めて重要文化財に指定されたとのこと。この知識を得て改めて見ると作者・高橋由一のチャレンジ精神が発揮されて描かれていると感じる。美術の教科書には必ず載っているから、知っていたけれど、もう少し大きな作品かと思っていた。質感がよく表現されていた。この鮭を描こうという美的感性が凄いと思う。

番組を見て、「そうだったのか、知らなかったなぁ」は次の2作品について。


「裸体美人」萬鉄五郎

実物を鑑賞して一番印象に残った作品。ぼくが好きなマチスの描法とよく似ているなぁ、と前から思っていた。番組の中でフォーヴィスムという美術用語が出てきたが、マチスはその代表の一人と評される画家。この作品の解説にフォーヴィスムという用語が使われたのだが、ぼくの直感は合っていた、ということになるだろう。鑑賞前にこのような知識をもっていれば当然それを前提に鑑賞することになっただろう。どっちが良かったのか、分からない。

ぼくが番組で初めて知って驚いたことは、萬鉄五郎を指導したのが黒田清輝だったということ。東京芸術学校の卒業制作だったというこの「裸体美人」を見た黒田清輝がとまどったというのも頷ける。黒田清輝といえば「湖畔」。両作品は全く作風が違う。


「湖畔」黒田清輝

「裸体美人」は萬鉄五郎の心の深いところにある美的感性というフィルターをきっちり透過した結果として生まれた作品という印象で、そのことがぼくを強く惹きつけている。予めふたりの関係を知っていたら、もっと興味深く両作品を見比べたと思う。番組では黒田清輝が描いた女性の裸体の作品が紹介されたが、「湖畔」同様リアルな絵だった。その絵を意識して萬は反骨的な気持で「裸体美人」を描いたことがよく分かり、おもしろかった。


※ 展示作品の過半が撮影可だったので、上掲作品の他に岸田劉生の「麗子微笑」と高村光雲の彫刻「老猿」を撮影した。


202枚目

2023-04-23 | C 名刺 今日の1枚


202枚目 

 安曇野市豊科近代美術館で開催されている「あづみの写真交流展 十人十色」(会期は4月23日まで)に出かけて、写真家の皆さんの作品を鑑賞した。「わたしだけの視点」で撮られた写真はとても新鮮で、私の感性(多少はあると思っている)は大いに刺激された。

樋熊フサ子さんの枯れ葉や木の実を使った女性の顔の造形はとても都会的でおしゃれ。魅せられた。

樋熊さんが会場に置いていた50枚の名刺は無くなってしまったとのこと。で、わざわざ会場外のどこからか持ってきていただいた。名刺交換で私がお渡しした名刺は202枚目だった。

ブログに掲載することを了承していただき、展示作品の前でパチリ。擬音語としてはパシャ、かな。