透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「平安女子の楽しい!生活」を読んだ

2023-04-29 | A 読書日記

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『平安女子の楽しい!生活』川村裕子(岩波ジュニア新書2014年発行、2022年第16刷)を読んだ。

ジュニア新書だから主な読者層は中高生。この新書の帯に**“ちょっと深く”がちょうどいい!**とある。そう、ぼくはいつもこう思って新書を読んでいる。広く、ちょっと深く、という望みを満たしてくれる新書。

この本はインテリア&ファッション編、ラブ編、ライフ編の3部から成り、それぞれ3章で構成されている。女子中高生は「平安女子って私たちと一緒じゃん!」ってこの本を読んで思うかもしれない。

第1部 第1章「 ビッグなおうち」で寝殿造りが説明される。その中で著者の川村さんは『蜻蛉日記』の一節を現代語訳で引き、**これは『蜻蛉日記』という王朝ブログの一部です。**と説明する。ラブ編の第3章は「王朝メールの必殺技」。和歌を詠んで送るのは、恋愛メールなのだと。

現代の若者ことばを多用、くだけた表現で平安女子の日々の暮らしを解説している。読み終えて「文章、ちょっとくだけすぎじゃないのかな」と思ってしまったのは歳のせいか。 

紫式部の『源氏物語』やブログ『紫式部日記』、清少納言のエッセイ『枕草子』、『古今和歌集』、『伊勢物語』などから引用した文章はどれも現代語訳しか載せていないが、原文も載せて欲しかった、とおじ(い)さんは思った。この本は、古典っておもしろそう。何か読んでみようかな、という動機付けが意図されているのだろう。でも古典を読むのはちょっと、いやかなり大変だということも知ってもらい、覚悟を促すために。

インテリア&ファッション編の第2章「重量級ファッションに命がけ」に平安時代の服装が解説されている。掲載されている早川圭子さんの説明図はくだけた文章とは対照的でデフォルメされることもなく、きちんと描かれている。**最初はイラスト風に、ということだったのですが、彼女はたくさんの絵巻を見たり、資料を調べたりして、昔の姿を再現できるように細かいところまで気をつかってくれました。また私も何度も注文をつけたりしました。**( 216頁)とあとがきにある。

この章は本書で一番興味深く有用だと思った。日本の服装史について詳しく書かれた「専門書」もあるが、広く、ちょっと深くという発散人間の私にはぴったりだった。今後、古典を読むことがあれば(あるかな)、この章を参照したい。

**各分野のプロが入門者向けに書いているので、専門的な知識の入口をだれでも楽しむことができます。**(この本の帯より)そう、岩波ジュニア新書はジュニア層だけでなく、シルバー層でも楽しく読むことができる。


 


3松本市入山辺の火の見櫓

2023-04-29 | A 火の見櫓っておもしろい


1464 松本市入山辺追倉 3柱86型ロング三角脚 2023.04.27


 多元的にものを見る。火の見櫓を常に分析的に見るのではなく、時には火の見櫓の立っている場所に注目してみる。すると写真の撮り方も変わる。火の見櫓の全形をきっちり捉えるのではなく、場所を分かりやすく撮ることを優先する。


 


2松本市入山辺の火の見櫓

2023-04-29 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)松本市入山辺(JA松本ハイランド 入山辺地域交流センター前)2023.04.27 

 『火の見櫓暮情』内藤昌康(春夏秋冬叢書2008年)に掲載されている火の見櫓の写真を見ていて、「そうか何も常に全形を写す必要なんてないんだ」と思った。掲載写真には消防倉庫や樹木に隠されて火の見櫓の下半分が写っていないものなどがある。でもその場所の雰囲気が実によく伝わってくる。

火の見櫓のある風景をスケッチするときは、火の見櫓の全形を描こうとは思わないのに、なぜか写真を撮る時は全形を写そうとしていた。火の見櫓が立っている場所の雰囲気を写してみようと、一昨日(27日)松本の郊外、入山辺まで出かけてきた。スケッチするつもりで写真を撮ればよい。