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「Kちゃん。どうしてタンポポって種子をつけると球形になるんだろうね? 花の時は円形なのに・・・。花を見ると厳密に言えば円じゃないけどね。こういう形、球欠って言ったかな、球が欠けるって書くんだけど」
「え? なんですか、突然チコちゃんみたいに・・・」
「前から不思議に思っていて、あれこれ考えているんだけど」
「不思議だなって思うところがU1さんらしいですね。U1さんと話していると、なぜだろうってよく言いますよね。なぜタンポポの綿毛が球形になるのか、なんて考えたことなかったです。で、U1さんの答えは?」
「自然のデザインには合理的な理由が必ずあると思うんだよね」
「理にかなってる・・・」
「そう。でさ、生物って動物にしろ植物にしろ、子孫繁栄に有利になるような戦略を必ず採るわけだよね、最優先で」
「ええ・・・」
「だから、タンポポってできるだけ沢山の種子をつけたいわけだよね。Kちゃん、理系だから球の表面積の公式覚えてるでしょ?」
「ええと、4πr²」
「そう」
「でもそれが・・・」
「球ってどこを切っても必ず円になるよね。で、中心を切ると切り口は一番大きな円になって・・・」
「面積はπr²ですね」
「そう。だから球の表面積って同じ半径の円のちょうど4倍」
「円の面積がπr²で、球の表面積が4πr²なんだから、確かに4倍ですね。ということは、球と同じ面積の円って半径は2倍・・・。そうか、分かりました。逆に言えば球は円の半分の半径で同じ面積になるんだから、種子を一番効率的にたくさん付けることができる!」
「そう。それに球形だと冠毛枝って言うけど、綿毛と種子をつなぐ棒状のところの長さもみんな同じで良いし。これって、正解なのかどうか分からないけど、眉唾な説でもないと思うけどね。」
「そっか~。だから球形!」