203枚目 グラフィックデザイナー・保坂一彦さん
今から30年以上も前のことになる。建築雑誌の『住宅特集』1992年4月号に中村好文さん設計の「清水高原の家」という作品が掲載された。長野県山形村の森の中の傾斜地にできた実に魅力的な山荘。私は外観だけでも見たいと思って探しに出かけたが、場所が分からなくて見ることができなかった。
時は流れて2015年11月。その頃、時々出かけていた松本市梓川のバロというカフェで偶然にも「清水高原の家」にお住まいの保坂さんと出会った。その時のことをぼくはブログに**いつか拝見する機会があることを願う。**と書いている。
更に時は流れ、2023年5月25日。ようやく「清水高原の家」を見学させていただく機会を得た。保坂さんと仕事上の付き合いがある義弟のK君とすっかり緑が濃くなった清水高原を車で登って行った。緑に包まれるように佇ずむ、目板張りの黒い外壁の家が目に入ってきた・・・。
「中村さん、上手いなぁ」
芽吹き、新緑、深緑、紅葉、落葉。
朝霧、そぼ降る雨、音もなく降る雪。
朝焼け、柔らかな陽ざし。
四季折々、いろんな表情を見せてくれる自然の中で過ごしておられる保坂さんと奥さまの日々に思いをめぐらせた。
大きな窓の外に広がる景色を眺めながら・・・。