透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「落日燃ゆ」城山三郎

2012-09-14 | A 読書日記

 今年は高卒後の節目の年ということで11月に記念式典が予定されている。今夜(14日の夜)、実行委員会が行われた。

その席で顔を合わせたKさんから「どうしたの?」と訊かれた。彼女はこのブログを毎日閲覧してくれているらしいのだが、このところ更新していなかったので具合でも悪いのではないか、と思っていてくれたようだ。

確かにこれほど更新しなかった(たったの4日間だけだが・・・)のは初めてだと思う。別に具合が悪くて寝込んでいたわけではない。食前のビールを ♪もう飲み過ぎちまって 君を抱く気にもなれないみたい は吉田拓郎だけれど、ボクは♪ブログを書く気にもなれないみたい という日が続いたというわけだ。朝早起きして書く気にもなれないみたい だった。

さて本題(というほどでもないが)。



『落日燃ゆ』城山三郎/新潮文庫を隙間時間の細切れ読書で読み終えた。

近現代史は教科書で通り一遍の知識を得ただけで、それも今ではほとんど忘れてしまっているという、老人力強化に努めている私だが、本書を読んで歴史というものは数多くの人生が幾重にも幾重にも重なってできているものなのだな、と改めて思った。

第二次世界大戦後の東京裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯のうち、ただ一人の文官、広田弘毅の生涯を描き切った作品。裁判中一切自己弁護をしなかった広田に下された死刑判決には、主席検事でさえ「何とバカげた判決か」と嘆いたという。

それにしても、なんと潔い生き方だろう・・・。

この作品は「夫婦愛のものがたり」としても読むことができるだろう。次は『男子の本懐』を読むか・・・。


 


― 火の見櫓と送電鉄塔

2012-09-09 | A 火の見櫓っておもしろい

 
共に山形村で撮影(この火の見櫓は撤去されて現存しない)

 火の見櫓と送電鉄塔 両者似てはいるが違う。

何が違うのか・・・。

火の見櫓は人が登ることではじめて機能する。だから人が登ることを前提にデザインされている。送電鉄塔は人が登ることができないように、人を拒絶するデザインがされている。火の見櫓は人(一般人ではなく消防団員だが)を歓迎し、送電鉄塔は人を拒絶する。この差は大きい。

火の見櫓は風景によく馴染む。景観構成要素として好ましい。ずっと立ち続けていて欲しいが次第に撤去されている。送電鉄塔は風景に馴染まない。景観上好ましくない。無い方がよい。将来電力が地産地消となれば不要になって撤去されるかもしれないが、そんな大転換はまず実現しないだろう・・・。



 


21 新聞記者の取材を受けた

2012-09-07 | C 名刺 今日の1枚

21 松本平タウン情報の記者の八代さん

■ 「松本平タウン情報」は週3回発行されているタブロイド版の地方紙。その名の通り松本平の身近な話題を取り上げている。

今日、「あること」で取材を受けた。ボツにならなければそのうち記事になるだろう。記事になるまでは内容については書かないでおく。それが仁義というものだ。

仕事がらみの取材ではないから、プライベートな名刺を渡した。

さて、一体どんな風に紹介されるのだろう・・・。


 


ブックレビュー 1208

2012-09-07 | A ブックレビュー



 早くも9月。8月の読了本はこの3冊のみ。1週間あった夏休みは火の見櫓巡りをしたが、読書に充てることはなかった。オリンピックもあったからなぁ。

『ぼくの住まい論』内田樹/新潮社 

『日本辺境論』(過去ログ)で知られる内田氏が住まいについてどんなことを書くのか大変興味があって読んだ本。

**日本人は「蔵」が好きなんですね。ユーラシア大陸の東端にあって、大陸からさまざまな文物が列島に流れ込んできたけれど、ここが東の端でこの先はもう海しかない。しかたないから、どんどん貯め込んでゆく。大陸で発症したけれど、起源の地にはもう存在しないものが日本列島にはたくさん残っています。仏教も原産地のインドにはもう伝統が絶えて久しいけれど、日本中に寺院があり、教学研究も1000年以上続いています。とりあえず、入ってきたものは捨てないで、アーカイブにしまい込んでおく。それが辺境のひとつの手柄なんだろうと思います。**(29、30頁)

と、日本辺境論的建築論?。

「土地を買う」「間取りを決める」「材木を得る」「職人に出会う」「能舞台をつくる」「凱風館に住む」「ぼくの住まい論」という章構成。

『ニッポンの国境』西牟田靖/光文社新書

竹島、尖閣諸島、そして北方領土。いま国境問題に無関心ではいられない。現地を訪ね、問題の歴史を辿り、真相をさぐる。

『少しだけ、無理をして生きる』城山三郎/新潮文庫

広田弘毅、浜口雄幸、渋沢栄一。政財界で活躍した人たちの生き様に感銘。

今、『落日燃ゆ』で広田弘毅を読んでいる。


今日は白露、読書の秋。


342 343 富士見の火の見櫓

2012-09-06 | A 火の見櫓っておもしろい

 342








 

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撮影 120902

 富士見町で見かけた火の見櫓。

この2基、姿・形がよく似ているが、共に地元の坂本鉄工所で製作されたことが銘板で分かる。上が昭和33年、下が昭和36年の竣工。兄弟櫓だ。

兄櫓の錆が気になる。そろそろメンテナンスをした方がよいと思う。弟櫓(前稿のま~るい踊り場)には錆はなく健全。共に50年以上の歳月、地域を見守り続けてきたのだから錆も出るだろう・・・。

人でもこの年齢になるとあちこちガタがくるものだ。実感!



 


19、20 松本山雅!

2012-09-04 | C 名刺 今日の1枚



19 Oさん

20 Iさん

Iさんとは同級だった。OさんはIさんの友人。

 Oさんの知り合いが松本山雅にいるとのことで、2日に松本山雅の対ザスパ草津戦の応援のためにふたりで来松。私を含め5人のおっさんがふたりと共に試合を観戦した。

守備を固めている草津に対して山雅はただただ中央突破を狙うという単調な攻撃。細かなパスが全く繋がらなかった。なぜサイド攻撃をしかけなかったのかなぁ・・・。

前半をなんとか0-0で折り返した。だが後半、草津にミドルシュートと、FKからのヘディングを決められて0-2、山雅の完敗に終わった。

アルウィンに詰めかけた1万人を超える山雅ファンのために、黄色い声援を送り続けたふたりのために少しはいいところを見せて欲しかったなぁ・・・。

Oさん、Iさん 応援お疲れ様でした。


 


18 古民家再生

2012-09-04 | C 名刺 今日の1枚

18 Kさん

 まもなく取り壊される旧富士見高原療養所(富士見町)を今月2日に見学した。その後、火の見櫓を探そうと町内を車で移動していて、出し桁造りの民家を見かけた。外部の見学をお願いすると、よろしければ内部もどうぞ、と言われた。で、名刺交換。


出し桁造り:持ち出し梁に桁を架けて軒の出を大きくしている。

間口5間、奥行き11間の総2階建てだから延べ床面積は110坪(約363㎡)。大きな民家だ。住人のKさんによると築後100年以上経っているという。食堂・台所に招かれて、まず目に入ったのがこの木製建具。見付寸法が3ミリくらいのごく細い組子の障子が美しい。壁は藁すさ混入の塗り壁に改修されている。天井は張られておらず、2階の床組があらわしのまま。床梁の側面に碍子を付けて配線してある。これが渋くていい。




こみ栓を使った2階の桁の継ぎ手

窓を開けて桁の外側の継ぎ手の様子を見て追掛大栓継だと思った。左右で部材の断面形状が違う場合はこのように継ぐのだろうか。それとも別の継ぎ手だろうか・・・。

今は仕口・継ぎ手(構造材の接合部)の加工をプレカット工場で機械でしてしまうので何とも味気ない。それに比べると、匠の技が光る古民家の構造は力強く、実に美しい。

Kさんの名刺には古民家鑑定士*1 とある。時間があるときに自分でこの大きな民家の改修工事をしているそうだ。

Kさん どうもありがとうございました。


*1 名刺の裏面の説明文によると、古民家鑑定士とは古い民家の保存、活用、再利用を目的に建築的見地及び環境保全の見地に立ちユーザーに適切なアドバイスを専門的な知識と技術を用い行える能力を有し、(財)職業技能振興会に備える古民家鑑定士名簿に登録を受けた者 だそうだ。


 


立場川橋梁

2012-09-03 | A あれこれ




立場川橋梁 @諏訪郡富士見町

 バルチモア・トラス(ボルティモア・トラスとも表記される)と呼ばれる珍しいトラスの鉄道橋。明治37年(1904年)に建設され、昭和55年(1980年)に中央線の複線化のために廃止された。やはり構造的合理性だけで決まっている姿形は美しい。



ああ、この鉄道橋がいまも現役で使われていたなら・・・。下はすぐ近くに新たに建設された鉄筋コンクリート造の鉄道橋。


富士見高原療養所

2012-09-02 | A あれこれ

 富士見高原療養所(現在は資料館になっている)といえば堀辰雄、堀辰雄といえば『風立ちぬ』と連想ゲームのように思い浮かぶという人が少なくないと思う。実は私もそのひとりだ。

その療養所が近々解体されるということを数日前の新聞記事で知った。解体を前に今日、2日まで一般公開されると記事にあったので見学に行って来た。文学的な興味からではない。大正15年の建築ということに興味を引かれたからだ。


旧療養所の正面玄関上部の妻壁に残るマーク おそらく開所当時のままの姿だろう。


旧療養所のエントランスホール ホールに立っている2本の円柱はモザイクタイルで仕上げられている。


旧療養所の南側の外観 


妻側の外観


北側の外観

2階の展示室に展示されている資料で、堀辰雄の他に画家の竹久夢二や小説家の横溝正史、伊藤礼(伊藤整の息子)らがここで療養生活を送っていたことを知った。

老朽化のかなり進んだ様子をみて、解体やむなしと思った。でも歴史的、文化的価値のある建物だから、もっと保存に努めて欲しかった・・・。



 


個人情報

2012-09-02 | A あれこれ

■ 個人情報保護・プライバシー保護の必要性が指摘され、またそれを求める声も高まっているが、その一方でツイッターやフェイスブック、ブログなどの利用者が日々増えていて、厖大な個人情報がネット上に公開されている。

旅行で出かけた場所、利用したレストラン、食べた料理、泊まったホテル。読んだ本、見た映画、購入した商品・・・。これらの厖大な個人情報が収集・分析されている!?

GPS機能付きのカメラで撮った写真から、いつ、どこにいたのかという情報を集めることができる。「スイカ」から、いつ、どこの改札口を通過したかという情報を集めることができる・・・。

「情報が宝の山になりつつある」

先日(8月30日)、「日本全国8時です」という朝のラジオ番組で、月尾嘉男さんがこのことについて語っていた。

ネットである言葉を検索する時、間違って入力すると、もしかして○○ではありませんか?と表示される。あるいは入力の途中で検索しようとしている言葉の候補が表示される。「他の人と同じ間違いをあなたもしましたね。正しくは○○ではありませんか、あなたが検索したいのは○○ではありませんか」というわけだ。これは厖大な入力情報を収集・分析することによって可能になっているのだそうだ。

本をネットで検索すると、類書や同じ著者の本も表示される。これもまた厖大な情報を低コストでストックし、簡単に分析することができるようになって可能になったという。

「どこか」で個人情報が収集・分析されている・・・!? 個人の検索傾向を分析して、個人をターゲットに情報が提供される・・・。これは凄い。でも不気味だ。

データ・イズ・ニュー・オイル  情報は新しい油(宝の山)という言葉があるそうだ。

ツイッター、フェイスブック、ブログ。無料で利用できるツール。これらに載せられている厖大な情報を収集・分析すれば、巨大なビジネスになる・・・。早くもアメリカはこのことに注目して、国家戦略として巨費を投じて研究を進めているという。


 


341 大町の火の見櫓

2012-09-01 | A 火の見櫓っておもしろい

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 大町市平の火の見櫓。

梯子が櫓の外に設置され、依然として名前が分からないが、籠状の囲いが付けられている。これは大町の火の見櫓のごく一般的なタイプ(過去ログ)。櫓がすっきりしているのはブレースに○、リング式ターンバックルがついていないから。

脚元に消火栓とホース格納箱が立っている。消火器ボックス付き。なぜか櫓の脚部だけ錆止め塗装が健全。なんだか、おじいちゃんと小さな孫ふたりが立っているようだ。おじいちゃんは足腰がまだ元気な様子。

火の見櫓を擬人化してみるのもおもしろい。