透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

塩尻市金井の石碑

2015-03-14 | B 石神・石仏



 三州街道沿いに在る三嶋山神社のすぐ近くに祀られていた石碑。もっと広範囲を写せばどんなところにあるのか、周辺の様子が分かる。だが、どうも対象以外のものはあまり写したくないという気持ちがはたらくので、いつもこんな写真になる。

左から道祖神、二十三夜塔、庚申塔。裏に建立年が刻まれていたが、庚申塔が大正9年、庚申の年であることを記憶したのみ。道祖神は安政だったかと。二十三夜塔は確認しなかった。

欲張ってはいけない、今回は狛犬に会いにいったのだから・・・。


 


三嶋山神社の狛犬

2015-03-14 | C 狛犬

   

 阿禮神社の次に訪れた三嶋山神社も塩尻市内にあります。ここにもユニークな狛犬がいると聞いていました。

国道153号から少し南に入ったところ(三州街道沿い)に在る小さな神社です。狛犬、いました!

  



阿形の獅子、たてがみがシャンプーハットのように見えます。ライオンのイメージをストレートに表現したのでしょうか。ガハハと豪快に笑っているようです。



後ろはこんな様子です。長いしっぽがあります。



吽形はイヒヒと笑っているかのようです。なかなか大胆な造形です。





台座の後ろ側に寄進者の住所と名前とともに石工の名前も彫ってありました。なんとか、石工赤羽要人と読むことができました。阿禮神社の2対の狛犬の内、はじめに取り上げた狛犬もこの石工の作なんだとか。なかなかおもしろいというか、ユニークな感性の持ち主だったのでしょう、きっと。

こんな狛犬たちが全国あちこちで待っていると思うと、熱心なファンならずとも会いに行きたくなります。


 


阿禮神社の狛犬

2015-03-14 | C 狛犬


阿禮神社(塩尻市)拝殿

 カフェ バロで、のぶさんからこの神社にユニークな狛犬がいることを教えてもらった。何でも県外の狛犬マニアは長野県内ではこの神社を必ず訪れるのだとか。これは出かけて観察せねば・・・。

塩尻は旧中山道(国道153号)のひとつ北側の狭い生活道路沿いに阿禮神社は在る。広い境内の正面に拝殿があって、その手前に狛犬が居た。




向かって右側、阿形の獅子像 観る眼を持たないからユニークとしか言いようがない。赤羽要人という石工が彫ったという。





こちらは左側の吽形の狛犬像(一般的には右の獅子と左の狛犬をまとめて狛犬と称す)。 体の模様(?)は抽象的な形に整えられている。


拝殿により近い位置に小振りの狛犬がもう1対居た。



ムム、なんだか不気味な表情・・・。



合い方とは違ってマンガチックな表情の狛犬。  体が損傷していて元の姿が分からないのが残念。


 


「松本景観ルネサンス」

2015-03-14 | A 読書日記



■ 松本の医師・溝上哲朗氏が著した『松本景観ルネッサンス』という本があります。松本城下の街が周囲の山を意識して計画されたという溝上氏の論考が要領よくまとめられています。謎解きのような(というか謎解きそのものですが)おもしろい内容です。

内容を紹介することは謎の答えを明かしてしまうことに他なりません。さてどのように内容を紹介したものか・・・。

江戸の街が富士山や江戸湾を意識し、それらを通りのアイストップとして計画されたという説はよく知られています。

『見えがくれする都市』 という本がありますが、その本のなかの「微地形と場所性」という章に次のような記述があります。

**日本には古くから周囲の山を生けどって借景をする造園手法があった。この場合遠景の山は単なる背景ではなく、より積極的に造園内部の構成と関係付けられている。こうした庭づくりの感覚が江戸の市街地の町割にも生かされたのではいかと思う。(118、9頁)

溝上氏も松本城下の街路が周囲の山を意識して計画されていたとして、カラー写真とともに天神小路のアイストップとして真正面に王ヶ鼻があることなど、具体例を紹介しています。

では、北アルプスの山並みはどのように生かされているのか、中でも象徴的な存在の常念岳はどうか・・・。

**瞬時にすべてが了解できた。** 『松本景観ルネッサンス』の後半でこの謎の答えが感動的に書かれています。

「囲われた常念岳」と一輪の朝顔、この見出しに答えのヒントがあります。一輪の朝顔というのは秀吉に所望されて利休が行った朝顔の茶会のことです。私はこの茶会のシーンを映画で観ました。床の間に生けた一輪の朝顔を際立たせるために庭の朝顔を全て摘み取ってしまった利休。

常念岳の見せ方、演出は茶会での朝顔のそれと瓜二つという溝上の捉え方に、なるほど!と納得しました。これ以上具体的に内容を紹介することは前述した理由によりひかえることにします。


『見えがくれする都市』 槇文彦他著/鹿島出版会


早春の朝 0313

2015-03-13 | E 朝焼けの詩


早春のフォトアルバム 撮影日時 150313 06:11AM

夜明けが早くなった。

6時10分過ぎ、リビングの窓から見る東の空が紫みを帯びた淡いピンク色に染まっていた。

その色は刻一刻と微妙に変化していく・・・、その様は見ていて飽きない。



別の部屋から少し南寄りの空を見ると雲が淡い朱色に染まっていた。

二度と出現することのない、この時限りの光景・・・。


 


これは何?

2015-03-12 | A あれこれ


標識  私的解釈

 この道路標識を新潟の方が肩に見立てた。 なるほど!  腰の曲がったお年寄りどうしの挨拶と見えなくもない。  

毎晩アルコールの酔いどれ中年にはこれがボトルに見えてしまう、そうウィスキーボトルに・・・。  お、この先に酒屋があるな。そう、これは全国共通、酒屋の標識、これホント!


 黒い太線の内側の黄色い図に注目です。ボトルでしょ?


― 「シェイクアウト訓練」

2015-03-12 | A 火の見櫓っておもしろい

■  東日本大震災から4年経った昨日(11日)、松本市で初の「シェイクアウト訓練」が行われた。



シェイクアウト訓練って何? アメリカで2008年に考案された、地震発生時の身の安全確保を主眼にした訓練。具体的には上図のような3つの基本行動をする。

松本市内の小中学校や事業所などの4万人以上がこの訓練に参加したとタウン情報が伝えている(信濃毎日新聞は**市によるとこの日は3万人以上が参加したとみられる。**と伝えている3月12日付朝刊)。

私の勤務先でもこの訓練に事前申し込みをしており、当日参加した。午前9時、市内の防災行政無線(町中に設置されている拡声スピーカー)から音声が流れた。防災行政無線の音声は聞き取りにくい、このことを実感した。

私は窓を開けてこの放送を聞いたが、複数のスピーカーから流れる音声が周囲の丘などで反響してずれて重なり、伝達内容がよく聞き取れなかった。

何か重要な内容を聞き落してしまったのではないか・・・、放送の内容が聞き取れないと不安になるものだ。これでは災害発生時にはパニックを引き起こしかねない。

多くの人が参加した訓練について改良すべき問題点はなかったのか調査・検証して、その結果を今後活かすべきだろう。

以前次のような記事を書いた(20141105)。**鈴鹿市では津波の避難訓練で防災行政無線のスピーカーの音が聞こえにくいという住民がいるために、寺の梵鐘を叩いて知らせる訓練をしたそうだ。** 

伝達内容はシンプルに、誰でも分かることが重要だ。小さな子どもにも当然分からなくてはならない。ならば、火の見櫓の半鐘!  

火の見櫓を見直すべきなのだ(実際そのような自治体もあるようだが)。災害発生を伝える時には半鐘を連打することにしておけばどうだろう。叩き方が分からない、などということがないように簡単な叩きかたにしておく。

消防団員の不足?火の見櫓の上り下りが大変?危険? 半鐘を地上で叩く装置が開発されている。

江戸時代から連綿と続いてきたシンプルで明快な防災システムを簡単に断ち切ってしまっていいものか、再考すべきだ。

だが、既に時遅し、かな・・・。


 


あっ キジだ!

2015-03-12 | D キミの名は?


撮影日 150311  長野県朝日村にて

 キジの姿を見ることが時々あります。大抵車で移動中のときですから、写真を撮ることはできません。今日の午後、朝日村内を走行中にキジのオスが道路の端をひょこひょこ歩いているのを目にしました。

幸い交通量の少ない道路上でしたから、車を停めて車内からキジの様子を観察しました。キジは道路から藪の中へ身を隠すように移動していきましたが、なんとか写真を撮ることができました。


 


「日本近代建築の歴史」再読

2015-03-10 | A 読書日記


『日本近代建築の歴史』 村松貞次郎/岩波現代新書

 1977年刊行の本書が岩波現代文庫で再刊されたのが2005年。この年に読んで以来10年ぶりの再読。やはり名著には再読させる力がある。

この手の本は専門的な記述に終始していて、読んでいて楽しくないことが少なくない。が、この本は読み物としても好著、おもしろい。旅行で洋館などを観ることが好きな人におすすめ。


 


下手な写真も

2015-03-09 | D キミの名は?


松本市内にて 撮影日150309

君の名はツグミ?

 野鳥は人の気配に敏感で近づきすぎると飛び去ってしまいます。遠くから望遠でねらいますが、手持ちだとぶれてしまいます。特に今日のような曇天で暗い日にはシャッタースピードが遅くなるので。

でも何枚か撮ると1枚くらいはなんとか写るものです。そう、下手な写真も数撮りゃ、写る。


 


青山熊野神社の狛犬

2015-03-09 | C 狛犬

 

  

 東京の友人が渋谷区にある青山熊野神社の狛犬の写真を送ってくれた。感謝! 右側が口を開いた獅子でなんと頭に宝珠を載せている。左側が口を閉じた狛犬だが、頭に二股の角がある。

狛犬のことはよく分からないが、角がある狛犬は珍しくない。だが、頭に宝珠が載っている獅子というのは珍しいのでは?かなり古い狛犬だと木造のものがあるが、大半は石造だ。だがこの狛犬はブロンズ造。宝珠を頭に載せたブロンズ製の狛犬(獅子)。これは珍しいのでは・・・。

この狛犬のことをネットで調べると、建立は慶応元年(1865年)という記事がみつかったが、台座の文字は判別できないようで、友人は確認できなかったとのこと。

東京に神社がどの位あって、狛犬がどの位いるのか見当もつかないが、火の見櫓に比べたら遭遇する機会ははるかに多いだろう。

桜咲く東京で神社巡りをするのも悪くないかもしれない。


 


蔵のあるまちにて

2015-03-08 | A あれこれ

路上観察 中町の蔵の店

■ 松本の中町は蔵のあるまちとしてよく知られ、通年多くの観光客で賑わう。中町のまちづくり事業について関係者から講義を受ける機会があった。

中町は蔵という具体的なデザインのイメージ、コードによって街並みの修景、整備が進められてきた。

受講後中町を歩いていて、この蔵の店が目に入った。中町の蔵はきれいに修復されているものが大半で、もちろん個人的な印象だが、どこか都会的ですまし顔のような雰囲気を感じてしまう(それだけ私が田舎者ということなのだが)。まあ、観光客にはちょうどいい表情なのかもしれない・・・。

そのような街なかにあって、この蔵は、化粧っ気のない、すっぴんの美しさがある。 

学生のころ、民家の素朴な美しさに魅せられて、全国各地に民家を訪ね歩いた。この蔵を見てそんな遠い日々を思い出した。


 


― 消えゆく火の見櫓

2015-03-08 | A 火の見櫓っておもしろい



 カタクラモールの再開発エリア内の消防団詰所と火の見櫓の解体撤去工事が進捗していて、昨日(7日)の朝の時点で詰所は姿を消していた。おそらくこの1週間で火の見櫓も姿を消してしまうだろう・・・。

大正末期に建てられ、昭和の時代、平成の時代、地域の人びとの暮らしを見守ってきた火の見櫓、その最後の姿を撮った。何だが悲しい、寂しい・・・。



見張り台の床を支える構造 実に丁寧にそして丈夫に造られている。







平沢の諏訪神社

2015-03-07 | C 狛犬


拝殿

木曽平沢の集落の北の端に諏訪神社がある。朱と黒の懸魚は何だか和ではないような意匠。



本殿 朱と黒の格子戸 和のデザインではあるけれど、見慣れない意匠。

       

本殿を守る狛犬 台座に刻まれた文字で昭和11年建立だと知る。狛犬ではそれ程古くはない、新しい部類に入る(たぶん)。



モダンな印象の美しい蔵 神社内での役割とか名称は分からない・・・。


 


木曽平沢の街並み

2015-03-07 | B 繰り返しの美学

■ 重要伝統的建造物群保存地区は昨年末(平成26年12月10日)現在、全国で109箇所選定されているという。

岐阜県白川村の合掌造民家の集落、飛騨高山の町屋の街並み、川越の蔵造の商家町、京都美山町の茅葺き民家の集落などをはじめ、よく知られた保存地区が全国各地にある。

長野県内では中山道の宿場の妻籠宿(南木曽町)や奈良井宿(塩尻市)などがよく知られていている。同じ中山道の漆工町平沢(現塩尻市、旧楢川村)も平成18年7月に重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された(ことを実は知らなかった、と正直に書く)。



今日(7日)、初めて平沢の街並みを観察した。平沢は生物の教科書に出てきそうな形(って何の?)をしている。みかんの房に喩えれば形が具体的にイメージできるだろう、できないか・・・。この形は奈良井川の大きく湾曲した河川敷に発達したことに因る。





この2枚の写真で中山道に対して建物が雁行していることが分かる。これは地割(敷地分割)が中山道に直角ではないことに因る。中山道も湾曲しているから敷地を直交させると形が矩形にならない。

パンフレットによると寛政2年の大火の後、尾張藩に3尺のセットバックを命じられたことにより、建物と道路(中山道)との間に台形の空地が出来、この部分をアガモチと呼ぶという。この配置こそ平沢の街並みの特徴だろう、こんな雁行配置は初めて見た。同じ街道沿いの中山宿(塩尻市)でも見られるそうだが。

街道沿いの街並みはどこもゆるやかに秩序付けられていて、繰り返しの美学が魅力だ。そう、伝統的保存地区の魅力は繰り返しの美学に他ならない。











軒を支える腕木とその下の持送りに見られた繰り返しの美学。垂木や腕木、持送りの小口を白く塗装され、繰り返しが視覚的に強調されている。



登録有形文化財の建物 街道に面した町屋の主屋 昭和初期の状態が保持されているのだそうだ。 敷地前面の三角形の空地アガモチ。



主屋の後ろの中庭を介して配置された塗蔵(左)とホウゾウ蔵と地元で呼ばれる収納蔵(右) ホウゾウは宝蔵か。



塗蔵の開口部 湿度と温度を一定に保てる蔵は漆塗の作業に適しているという。

平沢の街並みの魅力は観光地化されていなくて、カフェやどこの観光地でも売っているような土産物を並べた店などがなく、リアルな生活感があることだ。漆器が今も平沢の主産業として保持されていることがその理由だろう。街並みがタイトに秩序付けられていないので映画のセットのような違和感が無いところも好ましい。



出し桁で2階をせり出し、さらに軒桁をせり出している。このように側面からにるとそのことがよく分かる。 


文化庁のホームページに載っている重要伝統的建造物群保存地区の選定基準(昭和50年11月20日文部省告示第157号)。

伝統的建造物群保存地区を形成している区域のうち次の各号の一に該当するもの。ちなみに平沢は(二)に該当するとのこと。

(一) 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
(二) 伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
(三) 伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの