透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝カフェ読書「夜哭烏」

2022-03-15 | A 読書日記

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 朝カフェで『夜哭烏』今村翔吾(祥伝社文庫2017年)を読もうか『和辻哲郎 建築と風土』三嶋輝夫(ちくま新書2022年)を読もうか迷ったが、羽州ぼろ鳶組シリーズの第2巻『夜哭烏』を先に読むことにした。

**火消には独自の規則がある。まずは士分の火消しが太鼓を打ち、それを聞いた後でないと町火消は半鐘を鳴らすことは出来ない。**(25頁)

このことについて**「気付いた者から太鼓なり半鐘を鳴らせばいいじゃないですか。そんなことをしている内に火が広がってしまう」**(26頁)と、登場人物が言うが、ぼくも何年か前にこのことを知った時、同じことを思った。

**ここ麹町半蔵門外は定火消設立当初から火消屋敷が置かれ、(後略)**(47頁)、このことについては『あ、火の見櫓!』に書いた。

小説を楽しみながら江戸の火消し事情が分かるのはうれしい。


 


善光寺参り

2022-03-15 | A あれこれ



 毎年正月2日に善光寺へ初もうでに出かけていたが、昨年(2021年)と今年はコロナ禍で控えていた。

昨日(14日)、お参りをしてきた。平日ということもあってか、参拝者は少なく、ゆっくりお参りすることができた。

ウクライナの惨状にこころが痛む。今できることはお参りして平和を願うことくらい・・・。


 


1326 長野市北石堂町の火の見櫓

2022-03-14 | A 火の見櫓っておもしろい


 所用で長野市へ。帰路、市街地で「あ、火の見櫓!」。


1326 長野市北石堂町 4脚4〇4型 撮影日時2022.03.14

櫓は直線的に逓減している。山形鋼の交叉ブレース。踊り場の作業スペースはカンガルーポケット。東北信によくある姿形。


柱から屋根の下り棟の部材に方杖を突いている。見張り台の床面にも方杖を突いている。


見張り台と踊り場に半鐘を吊り下げてある。見張り台の半鐘は表面がつるりんちょ、踊り場の半鐘は乳付きの古いタイプ。逆の場合が多いと思う。


脚部 正面と左側面だけアーチ部材を用いている。残り、奧と右側面は交叉ブレースを設置している。


消防信号板の下に銘板を設置してある。昭和5年は1930年、今から90年以上も前の建設ということになる。部材相互の接合にリベットが使われている。


 


ハンドルに遊びが必要なように

2022-03-13 | A あれこれ


BWCLにて 撮影日2022.03.12

 「ハンドルに遊びが必要」なようにカフェの作業カウンターにも遊びが必要だと勝手に思っている。この場合、遊びというのはコーヒーなどの飲み物やケーキを提供するための作業カウンターに直接必要ではないものを設えることを意味している。

昨日(12日)の午後、松本市内で用事を済ませ、豊科のカフェ、BWCL(ベルウッドコーヒーラボ)まで足を延ばした。いつも通りカウンター席の一番端に着く。作業カウンターの隅にデンと置かれたサングラスをかけた白い犬が目に入った。単なる置物かと思いきや、さにあらず。フランス製のスピーカーとのこと。店内のBGMはこの白いブルドッグから流れていたのだ。人気商品で品薄らしく、イタリアから直接入手したのだとか。フランス製なのになぜイタリアから? 理由を聞いたが覚えていない。

今まで、作業カウンターにはサービスのために必要な器具類しか置かれていなかったのではないか。それはそれで、プロの仕事という感じがして悪くないとは思う。が、そこに遊び加えられると、ゆったりとした雰囲気が漂うようになる。この白いブルドッグはゆったりさ加減がちょうどよく、都会的でおしゃれ、シャープな空間にピッタリ!

この犬に名前を付けるとしたら・・・。この白いブルドッグって、上記の通り、空間の遊びだと思うから「ホモ・ルーデンス」で人間の本質は遊びにあると論じたホイジンガとするのはどうだろう。 ホイジンガ、ダメかなぁ。ダメか・・・。


 


人々の生活を脅かしつつある地球温暖化

2022-03-13 | D 新聞を読んで

 信濃毎日新聞の昨日、3月12日付朝刊に福島第一原発の廃炉作業に関する記事が掲載されていたことは既に書いた。「デブリ取り出し 最難関」という見出しの記事は1面を全て割いて廃炉作業がいかに困難か、大きな説明図と共に伝えていた。

全国紙は原発の廃炉作業についてどのように伝えているのだろう・・・。塩尻のえんぱーく(図書館)に出向き、調べてみた。朝日、読売、産経各紙はこの問題を記事にしていなかった。毎日だけが「デブリ採取へ 遠い廃炉」という見出しでこの問題を大きく取り上げていた。歳月はこのような大きな問題をも人の意識から遠ざけてしまうようだ。



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ところで今日(13日)の信濃毎日新聞は、人々の生活を脅かしつつある地球温暖化問題を上掲した見出しの記事で取り上げている。

**格差と並んで資本主義の弊害に挙げられるのが、経済の限りない拡大再生産がもたらす環境破壊だ。地球温暖化は国内でも人々の生活を脅かしつつある。**というリード文の後、瀬戸内海の漁で、稼ぎ頭だったクルマエビやワタリガニが全く獲れなくなったことを伝えている。

温暖化の影響は世界各国に及び、日本でも毎年のように豪雨が甚大な被害をもたらしている。もう何年も前から、何十年に一度といわれていた豪雨が頻発している。

更に温暖化の影響で生物が非常に高い絶越リスクに直面する恐れがあり、既に大絶滅時代に入っているとされていると記事にある。絶滅の危機にさらされているのは瀬戸内海のクルマエビやワタリガニだけではないのだ。記事は深刻な事態を伝え、**人類は、手遅れになる前に解決策を見つけられるだろうか。**と結ばれている。

関連記事(上掲写真右)で五箇公一・国立環境研究所室長は**人間は本当に特殊な生き物で、遺伝子を末永く後世に残すという生物学的持続性よりも快楽を優先させることができてしまう。**と指摘している。

宇宙船地球号の警告ランプがいくつも点灯しているというのに。 ♪ わかっちゃいるけど やめられない 人間の業のなんと深いことか・・・。


 


「49 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」

2022-03-13 | E 週末には映画を観よう

 寅さんシリーズでまだ観ていなかった第49作「寅次郎ハイビスカスの花  特別篇」を観た。これでシリーズ全50作品を観たことになる。 本作のマドンナは浅丘ルリ子が演じたリリー。リリーは全国各地のキャバレー回りをしている歌手。本作は第25作のリメイク版。ただし、ストーリーは全く同じ。違うのはファーストシーンとラストシーン。第25作では他の作品と同じように、冒頭旅先で寅さんが居眠りして見た夢をショートストーリーにしている。寅さんが江戸中を荒らしまわる鼠小僧寅吉を演じ、裏長屋で貧しい暮らしをしているおさく(さくら)と博吉(博)夫婦に盗んできた小判を与えるという話。特別篇では冒頭のこのショートストーリーが無くて、列車で全国を営業回りする満男が寅さんを懐かしく思い出すシーンが加えられている。第11作「寅次郎忘れな草」でふたりは出会い、第15作「寅次郎相合い傘」で再会する印象的なシーンも出てくる。

ラスト、第25作では群馬の田舎の停留所でバスを待つ寅さんの前をリリーの乗ったマイクロバスが通りがかり、リリーと一緒に草津に向かうシーンをかなり遠くからカメラが捉えて「終」。 第49作はこのシーンの後に仕事から帰ってきて、柴又の参道を帝釈天に向かって歩く満男を上空から捉えたシーンが加えられている。

「寅次郎ハイビスカスの花」は寅さんとマドンナが相思相愛で、結婚に一番近づく作品。沖縄で吐血して入院したリリーを寅さんが見舞い、退院した後ふたりはそのまま沖縄で一緒に暮らす。過去ログ  この時のリリーの告白を寅さんがまともに受けず、その後ふたりは喧嘩別れ。

しばらくして二人はとらやで再会、今度は「リリー、おれと所帯持つか」と寅さん。するとリリーが「やあねえ、寅さん変な冗談言ってぇ、みんな真に受けるわよ」と片付けてしまう。

寅さんは永遠の旅人なんだな・・・。


 


東日本大震災から11年 今思うこと

2022-03-12 | D 新聞を読んで

 東日本大震災から11年経った。2011年3月11日。この日の午後、私は某小学校の校長室で打合せをしていた。地震発生時に鉄筋コンクリート造2階建ての校舎がゆっくり、そして大きく横揺れした。「遠くでかなり大きな地震がありましたね」その時、私はこう発したことを覚えている。過去ログ

巨大津波にのみ込まれた東北の町。そして大事故が起きた東京電力福島第一原発。多くの人が犠牲になり、今なお全国で約3万8千人もの人たちが避難生活を続けているという。消えてしまったふるさとの風景、深い悲しみ、傷ついた心・・・。政府主催の追悼式は10年の節目だった昨年(2021年)が最後、今年は開催されなかった。

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信濃毎日新聞3月12日付朝刊の32面に福島第一原発の大事故に関して「デブリ取り出し 最難関」という見出しの記事が載っている。**原子炉の燃料が溶け落ち、冷え固まったデブリは、1~3号機で計880トンとの推計があるが、詳しい形状や成分、分布状況は分かっていない。本格的な取り出しは専用装置の開発が必要で、処分先も未定だ。**

先日読んだ『「廃炉」という幻想 福島第一原発、本当の物語』吉野 実(光文社新書2022年)には、**1~3号機のメルトダウンした燃料は、推計で880トンにも及び、いつ取り出せるかの見通しすら立っていない。**(172頁)とある。新聞記事と同じ内容だ。

デブリを取り出す装置が本当にできるのか、仮に装置ができてデブリの取り出しができたとして、880トンもあるデブリの保管場所も保管方法も、全く決まっていないという。




信濃毎日新聞3月12日付朝刊の3面には「原発攻撃 日本は「想定外」」という見出しの記事が載っている。ロシア軍がウクライナの原発や核物質を扱う研究施設を攻撃した。もはや原発攻撃「想定外」はあり得ない。想定内だとして講じ得る対策はあるのだろうか・・・。。唯一あるのは原発を無くすこと。

原発に頼らない社会、産業、経済は成立しないのだろうか。灯りをつけることを電気をつけると今も言う。テレビも無い、洗濯機もない、炊飯器もない、冷蔵庫もない・・・。照明くらいしか電気を使わなかった昭和前期の暮らしに戻るのはもはや無理か。では、どうする。

宇宙船地球号を自ら破壊する搭乗者。宇宙船地球号における生活マニュアル(*1)の全面的な見直しと実行が必要だ。仮に見直しができたとしても実行は無理か・・・。


*1 地球を宇宙船に見立てて『宇宙船地球号操縦マニュアル』を著したバックミンスター・フラー。

フラーの見立てに倣えばぼくたちは宇宙船地球号の搭乗者。この宇宙船の警報ランプがいくつも点灯している、もう何年も何年も前から。警報ランプの点灯に搭乗者たちは気がついてはいるものの、無視し続けてきた。結果、宇宙船地球号は今や修復不可能なほど傷ついている。船体損傷、船内の温度上昇、船内の空気汚染等々。これらのトラブルは全て搭乗者が引き起こしたものだ。(過去ログ再掲)


「重力とは何か」再読

2022-03-10 | A 読書日記

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 『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』大栗博司(幻冬舎新書2012年)をまた読もうと思う。本書が出版された2012年、今から10年前に読んでいる。『探求する精神』を読んで、この本のことが気になって・・・。

カバー裏面の本書紹介文から後半を引く。**重力の謎は、宇宙そのものの謎と深くつながっている。いま重力研究は、ニュートン、アインシュタインに続き、第三の黄金期を迎えている。時間と空間が伸び縮みする相対論の世界から、ホーキングを経て、宇宙は10次元だと考える超弦理論へ。重力をめぐる冒険の物語。**(このブログが横書きのため、紹介文中の一〇次元を10次元と表記を変えた)  

10次元の世界なんて全くイメージすることができない。従って本書の内容を理解することはできないと思う。だが、脳に刺激を与えることはできるだろう。老いた脳にも刺激は必要だ。


 


「探求する精神」

2022-03-09 | A 読書日記

   

 『探求する精神 職業としての基礎科学』大栗博司(過去ログ)(幻冬舎新書2021年)を数日前から読んでいる。昨日(8日)、朝カフェで読んだ。

**世界的知性が語る自らの半生、そして科学研究の喜び。**(帯のことば)

**世界で活躍する物理学者が、少年時代の本との出会いから武者修行の日々、若手研究者の育成にも尽力する現在までの半生を振り返る。これから学問を志す人、生涯学び続けたいすべての人に贈る一冊。** カバー裏面の本書紹介文の後半にこのように書かれている。私は高校1年生に読んで欲しいと思う。世界的知性と評される著者の半生はどのようなものだったのか知ることができる。どんな本を読んできたのか知るだけでも意義があると思う。

**シカゴでは南部さんにとてもお世話になりました。ご自宅に呼んでいただいて、奥様のおいしい手料理をご馳走になったことも何度もあります。夕食の後に映画『男はつらいよ』を見るのも楽しみのひとつでした。南部さん(私の注:南部陽一郎 ノーベル物理学賞受賞者 著者の大栗氏にシカゴ大学の助教授にならないかと声をかけた。大栗氏は応じ、シカゴ大学に着任した。)はこの映画がお好きで、ビデオをコレクションされていました。観賞する姿勢は真剣そのものでした。渥美 清の演じる寅次郎が身勝手な振る舞いをすると、「けしからん」と口には出さないものの、みるみる不機嫌になられました。**(189頁)

巻末に著者の大栗氏が読んだ本で本書で取り上げている84冊のリストが載っている。専門書が多いのかと思いきや、文庫と新書が意外に多く、41冊。『はたして空間は曲がっているか ―― 誰にもわかる一般相対論』都筑卓司(ブルーバックス)を小学生の時に読んだというから驚く。84冊の本のなかで、私が読んだ本はごく僅か。カントの『純粋理性批判』光文社古典新訳文庫、デカルトの『方法序説』岩波文庫などは書名を知っているだけで読んだことはない。大栗氏が高校生の時に読んだという朝永振一郎の『物理学とはなんだろうか』岩波新書(1979年)を私は1979年11月28日に買い求めている。





書棚から取り出して表紙を見ていて、本当に読んだのかなと思い、ページをパラパラ繰ると 「ケプラー:天界の法則 ガリレオ:地上の法則 統合 法則体系 791201 」という書き込みがあった(上巻113頁)。他の頁にも書き込みや▽マークがあったから読んだのだろう。42年ぶり!の再読も良いかもしれない。

リストに載っている『ご冗談でしょう、ファインマンさん』上下巻(岩波現代文庫2000年)は有名な本、読んでみたいと思いながら未読。『真理の探究――仏教と宇宙物理学の対話』佐々木 閑+大栗博司(幻冬舎新書2016年)、『改訳 科学と方法』ポアンカレ(岩波文庫1953年)はじめ気になる本が何冊かある。このリストを目にしたのも何かの縁、気になる本を何か読んでみよう・・・。


 


「鉄道趣味人の世界」

2022-03-07 | A 読書日記

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 今月5日(土)は啓蟄だった。この日、土中で冬ごもりしていた虫たちが地上に出てくるというのに、コロナ禍にある人間社会にあって私は週末には不要不急の外出を避け、巣ごもりを続けている。一体いつになったら、週末の巣ごもりを解除して外に出ることができるようになるのだろう・・・。コロナ禍に「終息」は無く、あるのは第何波だかの「収束」ということなのかな。アフターコロナ社会はなく、ウイズコロナ社会が続くのかと思うと気が滅入る。

巣ごもりですることと言えば読書。で、先週末『鉄道趣味人の世界』池口英司(交通新聞社新書2022年)を読んだ。

この本の章立ては次の通り。

はじめに
第1章 鉄道趣味の歴史
第2章 鉄道趣味人たちの生き方
第3章 学習の場の鉄道趣味~鉄道研究会の存在
第4章 鉄道趣味の今
第5章 鉄道趣味人の終活
おわりに

鉄道大好きという人は多い。その数は100万人とも200万人とも言われているが、この本は鉄道趣味人たちの生態が知りたいという人にはおすすめ。

**「単なる輸送手段であるはずの鉄道が、見方を変えることによって色々な価値を見つけられる。その広がりが面白い」**(67頁)この本で付箋を貼ったのはこの記述の1カ所のみ。私も火の見櫓の観察について、同じように考えている。

巻末に載っている「未来へ伝えたい鉄道書100」というリストは有用。


 


防災のシンボルとして

2022-03-06 | A 火の見櫓っておもしろい



 長野県朝日村の旧役場庁舎(1936年(昭和11年)建設 過去ログ)が今年度中に解体撤去され、役場の敷地内に立っている火の見櫓も同時に撤去されるということを聞いていた。


撮影日2022.03.05

昨日(5日)出かけて見ると、2月上旬に始まった解体撤去工事はほぼ終わり、役場庁舎は姿を消していた(写真②)。奧の方に火の見櫓の見張り台から上の部分が残されていることに気がついた(写真②、③)。 




山形村にて 撮影日2013.03.30

役場の跡地は防災広場として整備されると聞いている。どうやら、広場の一角に火の見櫓の上部を残すことになったようだ。そうでなければ、写真④のようになっていたはずだから(過去ログ)。(*1)


*1 念のために追記するが、山形村には火の見櫓を残した事例もある(写真⑤)


山形小学校の前庭に残された火の見櫓の上部

朝日村の防災広場にもこのような火の見櫓が出現するだろう。


 


人類絶滅は愚行が招く・・・

2022-03-05 | D 新聞を読んで

 恐竜絶滅の原因として最も有力なのが隕石衝突説だ。今から6600万年ほど前、巨大な隕石がメキシコのユカタン半島に衝突、大量の粉塵が巻き上げられたことにより、太陽光が遮られて長期間に亘り気温が低下して植物が育たず、多くの恐竜はエサを失い、絶滅していった・・・。

 
信濃毎日新聞2022年3月5日付朝刊第3面の見出し

同紙の記事はロシア軍がウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発を砲撃したと報じている。また、「「最悪の罪」自覚はあるか」という見出しの社説で**核燃料や格納容器に害が及んでいたら・・・。両国のみならず、周辺国をも取り返しのつかない状況に陥れていた。たとえ誤射としても至近距離で発泡すること自体、常軌を逸している。**と書いている。

恐竜は巨大隕石が地球に衝突したことによって、絶滅に至ったという説が最有力だが、人類絶滅は実に愚かな蛮行が招くのかもしれない。メディアが報ずるロシア軍のウクライナ侵攻のニュースを見ていると、それがリアルな予想となるような気がしてならない。

今日(5日)日本の近くをミサイルが飛翔した・・・。


 


「27 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」再び

2022-03-05 | E 週末には映画を観よう

 寅さんシリーズ第27作「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」。この作品は既に観ている(過去ログ)。今日(5日)改めて観て、主人公は寅さんではなく、ふみ(松坂慶子)さんだと思った。そう、これはひとりの若い女性の・・・、生き様、そう、生き様を描いた作品だ。

瀬戸内海のとある小島、祖母の弔いに帰ってきていたふみさんは、墓地にお参りに来て、そこで寅さんと出会う。わずかの間一緒に過ごしただけなのに船で島を離れる寅さんをふみさんは手にしていた日傘を振りながらずっと見送っている。お互い惹かれるものがあったのだろう。

ふみさんは大阪で芸者をしている。ある日、石切神社の縁日で寅さんと偶然再会する。ふたりは一緒にお宮詣りをするなど、楽しく過ごす。ふみさんが絵馬に書いた願い事によって、生き別れの弟がいることを寅さんが知ることとなり、その日のうちに連れ立って弟に会いに行く。しかし弟は一月前に亡くなっていた・・・。哀しみにくれるふみさん。

その日のお座敷、ふみさんは体調不良を理由に途中で帰ってしまう。夜遅くふみさんは酔って寅さんの宿を訪ねる。優しい寅さんに縋りたかったのだろう。
「うち泣きたい」
「えっ」
「寅さん泣いてもええ?」
「寅さん、うち眠い、今夜ここに泊めてぇ」

だが、寅さんは同衾を避けるため、階下の宿主の部屋へ。翌朝早く、置手紙をして宿を後にするふみさん。寂しそう・・・。

*****

柴又まで来たふみさん、寅さんに結婚報告。対馬から大坂に出てきて板前の修業をしていた男に見初められ、一緒に対馬に帰ってすし屋を開くことになったと。後日対馬までやってきた寅さんと再会したふみさん。寅さんを見つめる目に涙。

♪ 教えて欲しいの 涙のわけを

 (中略)

  今でもあなたを 愛しているのに

 (「夕月」黛ジュン 作詞 なかにし 礼)





「宇宙は数式でできている」

2022-03-04 | A 読書日記

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 『「廃炉」という幻想 福島第一原発、本当の物語』吉野 実(光文社新書2022年)を読み終えた。廃炉作業がいかに困難か、分かった。デブリの取り出しなんて無理、無理と思った。仮に取り出すことができたとして、そのデブリをどうするのか・・・。「廃炉」、この問題は知らぬが仏なのかもしれない。もちろんそれではいけないのだが。朝カフェでこの本を読んで、今日は何か好いことがあるかもしれない、などという明るい気持ちになることはなかった。

次は『宇宙は数式でできている なぜ世界は物理法則に支配されているのか』須藤 靖(朝日新書2022年)。


ちくま新書61冊

自室の書棚に並ぶ新書では中公新書が一番多くて約90冊、次いで岩波新書で約80冊、ちくま新書約60冊の順で朝日新書はほとんど読んだことがなく、書棚に4冊しかない。書店で『宇宙は数式でできている』を目にした時、おもしろそうだな、読んでみようと思った。

宇宙に関する法則、知っているのはケプラーの法則(第2法則)だけというお粗末な状況。ケプラーは神が創造した宇宙だから、美しい秩序がそこにはあるはず、という先入観を持って、惑星を観測した。だから法則を見つけることができた、と昔読んだ本に出ていたという微かな記憶がある。

『宇宙は数式でできている』に書かれていることがきちんと理解できるとは思えない。まあ、なんでもかんでも読んでみようと、買い求めた。

今日(4日)、朝カフェで読み始めるつもり。この本はどうだろう、何か好いことがありそうという気持ちになるだろうか。『本所おけら長屋』なら、間違いなく明るい気分になるんだけどなぁ。最新第18巻が今月末には出るらしいから、楽しみに待とう。


 


関心事は「廃炉作業」

2022-03-01 | D 新聞を読んで

 長野県の地方紙・信濃毎日新聞の3月1日付朝刊の第三社会面に「福島県の今について最も関心のあること」を問うアンケートに関する記事が載っていた。

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全国の地方紙17紙が2月2日~11日に実施したアンケートで45都道府県から2636人の回答が得られたそうだ。アンケートの結果、福島県について関心がある項目では「原発事故の廃炉作業について」が1133人(43%)と最多で、次は「地震、津波からの生活の復興状況」で615人(23%)だったという。

2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故からまもなく11年になるが、やはり一番の関心事は廃炉作業が今どうなっているのか、だ。この結果にはメディアからの発信が減ってきていることも影響していないだろうかと識者のコメントも載っている。確かに新聞などのメディアの「福島第一原発の今」に関する情報発信を目にすることがなくなった。

『「廃炉」という幻想 福島第一原発、本当の物語』吉野 実(光文社新書2022年)を読んでいるが、廃炉なんて無理なんじゃないかと思ってしまう。

**そもそも何をもって廃炉というかの定義すらない。それなのに、政府はなんら科学的根拠も合理性もない「約30年で廃炉」の旗印を降ろさない。
なぜ国と東京電力は、廃炉が「できる」という虚構を広め続けるのか。本書はその虚構と背景、廃炉の本当の未来に迫るものだ。**(はじめに 4頁) 

原発がミサイル攻撃のターゲットになったり、テロ集団に乗っ取られたりすることだって(*1)、このご時世「想定外」にはなり得ない。事実ウクライナ情勢について、チェルノブイリ原発をロシア軍が占拠したという情報もある。

「廃炉作業」などというやっかいな問題を抱え込んでしまったものだな、とつくづく思う。


*1

『スピカ 原発占拠』高嶋哲夫/宝島社文庫

日本海沿岸に建設されたばかりの世界最大の原発がテロ集団に占拠される。彼らは原発を暴走させて、放射性ガスの放出を目論んでいる。日本政府にシビアな要求が・・・。