加藤秀俊著「メディアの発生」は、愉しい読書でした。
おかげで、日本の中世史と現代とがバイパスでつながり、往路復路を楽しむことができるようになったような、そんな爽快感が読後にのこります。
あとは中世史の読物を、この本を水先案内書として読み始めればよいわけですが、いつもここで頓挫してしまうのが、私の悪い癖(笑)。せっかくですから、こんかいは一冊でも中世史の古典を読み込めたらと、せめてもの願望。
それはそうとして、今月も今日10月31日で終り。年賀はがきも、郵便局で発売になっており。親戚にあげる来年のカレンダーも届きました。新聞の整理をしていたら、10月1日の産経新聞「正論」欄が加藤秀俊氏でした。題して「メディアが作る現代『王様殺し』」。
このコラムに背中をおされて、私は「メディアの発生」を注文したのでした。
それまでは、3150円の著作に、躊躇しておりました(笑)。
ここでは、コラム「正論」の加藤氏の文を紹介してみます。
「『一目小僧』というバケモノのことはご存知だろうが、あれは神様にイケニエをささげる慣習があったころの遺制だ、という説がある。・・・」こう始まっておりまして、具体的にはこうつながります。
「なぜこんなめんどうな民俗学の学説をひきあいにだしたか、といえばテレビのタレント某々の麻薬事件の報道があまりにしつこいからである。わたしは不覚にして、そのタレントたちのことをなにも知らなかった。しかし、事件発生以来、テレビのワイドショーが各局そろってこの人物たちのことを取り上げ、この話題に触れない日はほとんど一日としてなかった。事件の発覚からふた月が経過してもまだ余燼(よじん)がくすぶっている。これは尋常ではない。・・・」
とつづくのでした。そういえば、民主党が圧勝する選挙の時、選挙の報道をそっちのけにしてこの事件を大々的にとりあげていたことを、苦々しく思い出します。
こちらは、選挙の様子を知りたいのに。
考えてもごらんなさい、コマーシャルでも国会討論を模してまで、わざわざコマーシャルセットをつくっては放送しているほどの状況でもって、肝心の政治のことを、さらりとかわして麻薬事件ばかりを追う、そらぞらしさ。
私は、ひょっとして酒井法子さんが、民主党を圧勝させたのじゃないかと思っております。それほどに、酒井法子さん(他のタレントもおりました)と選挙とが、民主圧勝の際にダブって記憶に残りました。
横道へとそれましたが、加藤秀俊氏の「正論」の文章の最後を引用しておきましょう。
「こうした『祭り上げ』と『王様殺し』の役割を一手にひきうけているのがマス・メディアである。ついきのうまで、才能がある、利口だ、美女だ、と口をきわめて絶賛していた芸能リポーターが、突如としてこんどは醜聞を報じ、脱税を難じ、酒乱、暴行、あげくの果てに麻薬まで、悪事をことごとく暴露する。いったいぜんたい、同一人物がどうしてかくも豹変できるのであろうか。わたしにはリポーター、ジャーナリストなるものの心性が納得できかねるのだが、占い師のいなくなった現在、『一目小僧』を選定するのはマスコミなのだからしかたない。
政治、政党、政治家についても『祭り上げ』と『王様殺し』の循環がここ何十年もくりかえされている。・・・・」
おかげで、日本の中世史と現代とがバイパスでつながり、往路復路を楽しむことができるようになったような、そんな爽快感が読後にのこります。
あとは中世史の読物を、この本を水先案内書として読み始めればよいわけですが、いつもここで頓挫してしまうのが、私の悪い癖(笑)。せっかくですから、こんかいは一冊でも中世史の古典を読み込めたらと、せめてもの願望。
それはそうとして、今月も今日10月31日で終り。年賀はがきも、郵便局で発売になっており。親戚にあげる来年のカレンダーも届きました。新聞の整理をしていたら、10月1日の産経新聞「正論」欄が加藤秀俊氏でした。題して「メディアが作る現代『王様殺し』」。
このコラムに背中をおされて、私は「メディアの発生」を注文したのでした。
それまでは、3150円の著作に、躊躇しておりました(笑)。
ここでは、コラム「正論」の加藤氏の文を紹介してみます。
「『一目小僧』というバケモノのことはご存知だろうが、あれは神様にイケニエをささげる慣習があったころの遺制だ、という説がある。・・・」こう始まっておりまして、具体的にはこうつながります。
「なぜこんなめんどうな民俗学の学説をひきあいにだしたか、といえばテレビのタレント某々の麻薬事件の報道があまりにしつこいからである。わたしは不覚にして、そのタレントたちのことをなにも知らなかった。しかし、事件発生以来、テレビのワイドショーが各局そろってこの人物たちのことを取り上げ、この話題に触れない日はほとんど一日としてなかった。事件の発覚からふた月が経過してもまだ余燼(よじん)がくすぶっている。これは尋常ではない。・・・」
とつづくのでした。そういえば、民主党が圧勝する選挙の時、選挙の報道をそっちのけにしてこの事件を大々的にとりあげていたことを、苦々しく思い出します。
こちらは、選挙の様子を知りたいのに。
考えてもごらんなさい、コマーシャルでも国会討論を模してまで、わざわざコマーシャルセットをつくっては放送しているほどの状況でもって、肝心の政治のことを、さらりとかわして麻薬事件ばかりを追う、そらぞらしさ。
私は、ひょっとして酒井法子さんが、民主党を圧勝させたのじゃないかと思っております。それほどに、酒井法子さん(他のタレントもおりました)と選挙とが、民主圧勝の際にダブって記憶に残りました。
横道へとそれましたが、加藤秀俊氏の「正論」の文章の最後を引用しておきましょう。
「こうした『祭り上げ』と『王様殺し』の役割を一手にひきうけているのがマス・メディアである。ついきのうまで、才能がある、利口だ、美女だ、と口をきわめて絶賛していた芸能リポーターが、突如としてこんどは醜聞を報じ、脱税を難じ、酒乱、暴行、あげくの果てに麻薬まで、悪事をことごとく暴露する。いったいぜんたい、同一人物がどうしてかくも豹変できるのであろうか。わたしにはリポーター、ジャーナリストなるものの心性が納得できかねるのだが、占い師のいなくなった現在、『一目小僧』を選定するのはマスコミなのだからしかたない。
政治、政党、政治家についても『祭り上げ』と『王様殺し』の循環がここ何十年もくりかえされている。・・・・」