本棚の文庫棚に、
白上謙一著「ほんの話」(現代教養文庫・1980年)が
あるのでした。本を学生に紹介しているのでした。
だいぶ以前に読んだのですが、歯が立たない(笑)。
そのままに、本棚に鎮座したままでおりました。
古本屋に、その白川謙一氏の単行本が出ておりました。
函入りで書名が「現代の青春におくる挑発的読書論」
(昭和出版・1976年)。購入してみる。
単行本には、ご本人の写真が二枚。巻頭に掲げられてる。
内容をめくると、なあんだ。
この単行本は、文庫「ほんの話」の元の本でした。
「まえがき」によると、
山梨大学学生新聞に1962年~1971年に連載された
約50回分をまとめた一冊なのでした。
著者は山梨大学の生物学教授でした。
はい。この機会に「古本屋さんについて」と題した
4頁の文から引用してみます。
はじまりは、
「梨大(山梨大学)の学生が本当に気の毒だと思うことが
一つある。それは甲府に古本屋さんが多くないことである。」
そうして、次の頁に、神田の古本屋さんの話がつづきます。
「・・・学生時代の私は少なくとも年に20回は神田を
おとずれたものである・・・・しかしこのことではない。
私の目にふれずに売れてしまったどれだけの本があることか。
私が知っている本で、今までに一度も古本屋さんで見かけた
ことのない本がどれほど多いか。
何度もおとずれているうちに、今日神田に並んでいる
50万冊の本が氷山の一角であることがしみじみと分かってくる。
多くの善い本は20年か30年に一冊しか現われない。
・・・・・・・・
古本屋とは古ぼけて汚れた本を定価より安く売って
いる店である、などと考えてもらったは困るのである。
書物の購入に関して、彼等の果している役割は、
新本屋さんに百倍するといわなければならない。
特に日本では、出版後十年もすれば、
多くの本は新本屋さんで買えなくなってしまう。
出版社自身が消滅してしまっていることも決して
稀ではない。・・・・」(p27~28)
はい。私はここだけでもう満腹。
あとは文庫と並べて本棚へ。